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少年 ツネタロウ  作者: モーニングあんこ
第15章 内政

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365話 尻取り

タナベヒロフミの娘のケマリ改めマリが本日より手習道場に通うことになった。

見送ったあとマリを迎えるため早めに手習道場へと向かうのだった。

  キヌ「朝はひんやりとしていて気持ちがいいですね」

  ツネタロウ「ほんとうに。日中は陽が出ると暑いですからね」

  キヌ「たまには、こういうのも良いものですね」


 キヌの速度に合わせて手習道場まで歩く。供はサイチ。


 手習道場に到着。


  ツネタロウ「サイチ済まなかったな。帰りは誰かに頼むよ。気を付けてな」


 まだ早かったらしく開いてない。


  ツネタロウ「開いてないので周りを歩いて見て回ろうか」


 裏には井戸があり、以前ここで水を汲み上げる競争をしたことや長屋の女たちに世話になったことなどをキヌに話す。


  キヌ「そんな面白そうなこと。見てみたいですね」

  ツネタロウ「だったら、手習道場は四つあるうちの三つで競争しても良さそうだな」

  キヌ「面白そう。見てみたいな」


 定期的に実施してもいいだろうかと。


  シノ「おや。ツネ先生じゃないか。久しぶりだね。べっぴんさん連れてどうしたんだい?」

  ツネタロウ「お久しぶりです。近いところなのになかなかお会いできてませんでしたね」

  シノ「一方的にこっちは見てたけどね。手習道場に来るなんて珍しいじゃないか」

  ツネタロウ「ええ。新しく通う子がいましてね。ああそうだ。こちらは妻のキヌです」

  キヌ「旦那様がお世話になってると聞きました。私もここにたまに通います。見かけたらお声かけてくださいね」

  シノ「やだ。もう。立派な奥方じゃないか。どこで見つけたんだい?」

  ツネタロウ「色々ありまして。お互いに大事にし合っているのでご安心を」

  シノ「みりゃわかるよ。あんた。もっと大事にしておやり」


 先輩風をこれでもかと浴びせてきそうになったので挨拶して戻る。

 表でガタガタ音がする。


  ツネタロウ「コウキ来たか。キヌも連れてきた。今日から新しくひとり入るからよろしく頼むよ」

  コウキ「御夫婦でようこそ。今湯を沸かします」


 新しく入るのは、クリハシの代官の娘でマリ。母子はオヤマの長屋に入っている。武士の娘というのはあまり言わないように。本人が言うまでは黙っておくこと。代金はしっかりといただくこと。


  コウキ「他にもふたり通い始めですね。百姓の男児と商人の女児になります。仲良くなるといいですね」

  ツネタロウ「そうだな。それと、キヌも裁縫を教えることになった。また、立ち振舞もそこから学ぶことが出来るだろう。裁縫は、女子おなごだけか?」

  コウキ「男児もいるにはいますが、それほど多くありませんね」

  ツネタロウ「そこは、口でなんとかして裁縫が出来るとどう良いことがあるかを説明してなるべく学ばせてやってほしい」


 侍女の代わりのコウキだったが、しばらくは自分のことは自分でできるのとふたりきりの時を作りたくコウキには断っていた。また、コウキもケイジとの引き継ぎで問題があり余裕がなかったことも考慮。


  コウキ「ええもちろん。あと、調理もしてますよ。食材を買う余裕ができたときだけですが」

  ツネタロウ「それも頼む。怪我しないよう頼んだぞ」


 湯が沸き席を離れる。


 大人しく待っていると声がする。

 入れ替わるように、キヌが台所へ。コウキと交代である。


  ツネタロウ「はーい。マリさんですね?ようこそお越しくださいました。さ、履物はこちらへ」

  テマリ「ホマレダ様。この度は、ご迷惑をおかけいたします」

  ツネタロウ「いえいえ。マリさん楽しみにしてました。マリさんはいかがですか?」

  マリ「まだ言われなれてないのできんちょうします。皆さんと色々とお話したい。です」

  ツネタロウ「それで、こちらが現在の経営をしているコウキにございます」

  コウキ「はじめまして。コウキと申します。三代目の経営者として手習道場を預かっております。このあと師範代が来られるので座ってお待ち下さい」


 お茶の在処がわからず困っているとコウキが手渡す。


 しょぼくれた顔で立つ。


  ツネタロウ「どうかしました?」

  キヌ「お茶の在処がわからなくて。結局コウキさんが入れてくださいました」

  ツネタロウ「まだ中のことはわからないでしょう。仕方ないですよ」

  キヌ「なにもできなくて。。かなしい」

  ツネタロウ「でも場所は覚えたでしょ?それでいいじゃないですか」


 台所でぎゅっと手を握り元気になるようおまじないをする。

 コウキはマリと直接会話。歳や何が得意かなど一通り。初めて通う子どもには必ず聞くようにしている。効率を考えてのことだとか。

 その受け答えは、昨日よりも自信を持っているように見受けられる。


 その後、ぞくぞくと子供たちが集まる。新しく通う予定の商人の娘は早めに来て面接を受けたが、百姓の男児は遅れてるのかまだ来ていない。百姓の子らは、朝の作業をしてから来るため慣れないうちは、遅れてしまいがちである。それは共通認識でもあるため、問われることはない。慣れてからでも家のことで遅れることもある。百姓は、子どものうちから作業人数に組み込まれてしまうのだ。


  ツネタロウ「皆さんおはようございます。今日から通う子もいますので仲良くしましょう。では、最初は尻取りをしましょう。隣に座る子と挨拶をしたらはじめてください」


 初めましての人がいる場合、こういった簡単な遊びから始める。声を発することで緊張感を和らげるように仕向けた。


  子どもたち「ツネせんせー。同じの何回も言うんだよー。ずるいよー」

  ツネタロウ「それは大変。ですが、同じのを何度も言わせないようにするのも一つの手段なんですよ。奥深いですよね」


 尻取りには、ハメ技やいつもの流れなどのいつの間にか出来上がっていた技がいくつかある。

 同じ尻文字にすることでハメてしまう技。語尾がルで終わるものを敢えて選ぶ。またル?ハメた側は得意満面な面持ちをするがハメられた方はイライラしてしまう。一見、ハメた側が賢そうに見えるがそれは場数を経験していることが多く、そういう流れに持ち込むことを得意としているだけであり、いつもその単語からハメるよね。経験からの流れ技。あまり賢さは関係ない。そのハメ技から抜け出せた人の方が賢いことが多々見られる。

 仲良くなるための尻取りで、ハメ技は嫌われますので気をつけましょう。


  ツネタロウ「はい。お疲れ様でした。終わっていいですよ。難しかったかな?頭使って疲れたでしょ。少しの間、外で遊んでもいいですよ。羽伸ばしておいで」


 現代ほど単語が多いわけでもないので同じ言葉を何度も使うのは仕方ない部分はある。


 外に出て遊ぶ子供たちの声を聞いていると。


  子どもたち「こっちへおいでよべろべろばぁ」


 子供たちなりの挑発の仕方なのであろうか。なんとも憎たらしい顔をする。

 可愛らしいのではあるが。それだけ、平和になったとも考えられる。


 心配していたマリは、まだまだよそよそしいが他の同性の子たちとも上手く行っているようだ。

 その様子を後ろからそっと見守るテマリであった。


  ツネタロウ「少しずつ慣れていけば良いさ」

 

 と思うのだった。


しりとりと言ったらいつもの流れで全国共通な

しりとり→リンゴ→ゴリラ→ラッパというあの流れ。誰が言い始めたんでしょうね。

少なくとも昭和の頃からありました。

Google先生でもそんなわけないやろなYouTube発信だとか言う始末。

まだ横文字言葉が貧相な時代。子どもが知っている言葉も限られているため何度か使い回すこともしばしば。ただ楽しようとして何度も同じ言葉を使うのはズルですね。


また次回お会いしましょう

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