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少年 ツネタロウ  作者: モーニングあんこ
第3章 寺子屋経営
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18話 結果

 寺子屋の師範代に、浪人を募集した。アイズ藩から流れてきたクニアキ。試験は忘れているだろうが続いているのである。

 ―休憩中―


  ツネタロウ「クニアキ殿。人に教えることは過去にありましたか?」


  クニアキ「いえ。初めてです。恐々(おそるおそる)やってる感じです。怖がられないよう気を付けてます。いざやってみると色々と思い出して楽しいですな」


  ツネタロウ「楽しんでもらえて何よりです。楽しむことが大事です。ここの寺子屋は、このような形で進めています。子供たちの目標は、人それぞれ違いますが、文字が読めて書くことが出来、簡単な計算ができるようになるのが目標であり目的です。高度な勉学はしておりませんが、望むのであれば、なにか手を打ちたいと考えています。ですが、まだまだこの寺子屋ではそれだけの余裕がありません。ですので、今の寺子屋で働ける人を募集しています。クニアキ殿が可能だと言うのであれば一緒に働いて欲しいですね。形としては、私の家臣になります。私はまだ名乗ってませんでしたね。ホンダマサズミ家臣ホンダツネタロウと申します」


 マサズミ様の家臣だということを知り恐れた。どこの少年かと思われていたようだ。


  クニアキ「失礼いたした。随分ずいぶん若い主人で、主君になられる方だとはつゆ知らず」


 恐れるあまり平伏へいふくしている。


  ツネタロウ「すみません。そこまでしていただくほどじゃないのです。私は、マサズミ様の家臣ではありますが、少しばかりのろくを貰っているだけに過ぎません。また、遠い縁戚えんせきですので、一族のような扱いはされてません。私は、クニアキ殿より年下です。今年十五になりました。年下の家臣が嫌であれば、断っていただいても結構です」


 あまりにも下手したてに出られたので驚き、年齢などを正直に話した。まだまだ子供である。ツネタロウは、元服こそしたものの前世でも手代てだい見習いでしかなく、人材発掘など経験したことが無い。まだまだ子供なのである。子供の家臣になれと言われて武士が飛びつくのは気持ちが追い付かないのであろう。


  クニアキ「丁寧ていねいに教えて下さりありがたく思います。私はどんな形でも良いと思い声を掛けさせていただきました。軽い気持ちなどありませぬ。主人が年下なぞ関係ありません。寺子屋でよい働きを見せましょう」


  ツネタロウ「それは良いですね。では、今日一日お任せします」


 試験はまだ続いていることは伝えず、気分の良いうちに取り組んでもらった。クニアキは真面目な性格なのか、細かいところまで気が回る。

 お昼になったので、帰る子供もいればそのまま残り夕方近くまで残る子供もいる。ひとまず、お昼なので、自前のおむすびの1つをクニアキに与え、昼休憩をしている。

 子供たちは、持ってきている子もいれば、遊んでいる子もいれば寝てる子もいる。各々上手に時間を使っているようだ。


  ツネタロウ「今日は誰が来るとかわからなかったので、おむすびは一つになりますが、家臣になれば、お昼はニつになります。おむすび一つでもお腹いっぱいになるので、腹を空かせてる子供がいたら分けてたんです。昼休憩は一つ食べ、夕方前まで残っている子に分けて食べてもらってます。おむすびを分けるのは難しいのであまり均等に分けられていません」


  クニアキ「でしたら、かゆにするのはいかがですか?粥にすれば、湯でふやけていくらか増えたように感じます。また、茶碗1杯でも多く感じるでしょう。ツネタロウさまと私のおむすびを一つずつ粥にすれば、全員に行き渡るのではないでしょうか?」


  ツネタロウ「それです!それはいいですね。面白いです。クニアキ殿。あなたのような人を待ってました。是非次回からそれで行きましょう!」


 勉学の時間が終わる頃に伝えた。


  ツネタロウ「終わる前に一言あります。聞いてください。明日よりお昼が出ます。立派なものではありませんが、皆で一緒に食べましょう。身分など元よりこの寺子屋にはありません。家に帰ったら御父上さまに相談するようにお願いします。箸は持参していただけると助かります」


  子供たち「ほんと?すごい!せんせいと一緒に食べれるの?楽しみ」

  子供たち「お昼食べたことないけどいいのかな」

  子供たち「どんなお昼だろ」


 迎えに来た親からは聞いたことも無い提案に驚いている。


  子供の親「先生。初めて聞くことなので驚いてます。それで先生たちは足りるのですか?わたし達に手伝えることはありませんか?」


  ツネタロウ「今日のお昼に決まったことなんです。急で申し訳ありません。皆が楽しく学べる場所として、昼の食事も楽しければ、通うことが楽しくなります。親の皆様には迷惑をかけないよう努めます。できれば、箸だけは持参していただけると助かります」


  親たち「いや。別に。それは別に良いんですがね。寺子屋に支払っている額がピンキリとはいえ少ないでしょう。ホンダさまもその。。なんというか。。」


  ツネタロウ「そうですね。当家は百五十石こく贅沢ぜいたくは出来ませんが、粥くらいなら振る舞えると思います。しばらくは、粥だけとなりますが、食べないよりかはマシだと思ってもらえたら嬉しいですね」


  親たち「粥ですか。なるほど。それなら」


 軽い食事という意味だと理解してもらえた。これで、臆する親は少ないだろう。


  ツネタロウ「クニアキ先生。すみませんが、おチヨちゃんと買い出しに出ていただけますか?茶碗を20ほど購入してもらえますか?代金はこれで足りるようお願いします。なるべく割れてないものをお願いしますね。計算はおチヨちゃんに任せてください」


 2人は、ぎこちなく手を繋いで買い出しに出かけた。その間、明日の準備や片付けをする。言い忘れたことに気づいた。落としても大丈夫な木製の茶碗だと伝えるのを忘れていた。少し気にしながら待つ。


 日が沈み空が暗くなるころ2人は戻って来た。


  ツネタロウ「おお。待ってましたよ。いかがでしたか?茶碗は揃いましたか?」


  クニアキ「柄はバラバラですが、安く買えました。計算は、おチヨさんが懸命に計算してくれましたよ。すばらしいですね。いくつかまとめて買うので割り引くこともおチヨさんが話を付けてくださいました。ですので、お釣りがありますのでお返しします」


  ツネタロウ「そうでしたか。良い仕事をしましたね。おチヨちゃん。いえ、おチヨさん。計算が実践で出来たのは大きいことです。成長しましたね」


 チヨの頭をなでる。良いことが出来た時は素直に褒める。クニアキもそれが言葉で出来る人物であり、ツネタロウが欲してた人材だとわかった。


  ツネタロウ「クニアキ殿。採用します。今日から当家とうけへお越しください」


  クニアキ「ありがとうございます。ご一緒させていただきます」


  チヨ「若さま。若先生。一緒に帰りましょ」


  ツネタロウ「そうだね。おチヨさん。私の事は若さまではなく、先生と呼ぶか名前で呼ぶようにして下さい。クニアキ殿とごちゃついてしまいます」


  チヨ「わかりました。ツネ先生と呼ばせてもらいます。暗くなりましたので帰りましょ」


 3人は、高札たかふだの張り紙を外し、チヨを真ん中に横に並ぶようにして帰った。


 いつもならここで、余談を書いてますが、前編後編みたいになりましたので、もう間もなくすると続きが出てきます。お風呂にでも入って待っててください。


 敢えて引き延ばさずに続きを見て欲しいですね。2つ合わせると6500文字くらいだったので、一度切りました。別日に見る程じゃないですし。


 風呂入ってくらぁ

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