Rの空想「勉強について」
Rは勉強が嫌いだった。Rは学校で出された宿題をほとんどやらず、自主学習も全くしなかった。勉強するやる気が起こらず、常にだらだらとやりたいことだけをやって過ごしていた。夜遅くまでゲームをやり込み、朝親に起こされて毎日学校に通い、黒板に向かってずっと座っている。そんな日々を送っていた。
Rは考え事が好きで、授業中とかにも我を忘れてぼーっとしている時があった。あるときRは古文の授業を受けていた。古文というものは大昔の人達が使っていた言葉を習うことで、たくさんの単語や用語を覚えなければならなかった。それを覚えるのがRにはとてもつらいことだった。単語を覚えることを放棄していつものように楽しい空想に耽っていると、Rはあることに気づき始めた。そして心の中でこう思った。「あれ、俺なにやってんだろう、何で俺はこんな事を覚えようとしているんだろう。」Rは自分が今やっている事に不安を感じ始めた。
古文単語なんて日常生活で使わないし、それなのに自分は今、つらい思いをしながら単語を覚えさせられている。それは将来の役に立つのだろうか。
「勉強」という学生の模範的な行動をしているにも関わらず、Rの心には妙な焦燥感が湧き上がり、体は心拍数を上げていた。Rの頭はこの議題で一杯になり、授業のことは完全に忘れ、今度は将来の事について想像を膨らませていった。