家族で食事をした
お父様と義母様、そして義兄様の四人で、久々にテーブルを囲んでの食事会。
豪華な料理の数々が並べてあり、ワインやシャンパンの用意までされていた。
しかし私は食欲が出ず、箸は止まっていた。
「ジュリアよ、具合が悪いのか?」
「そんなことは……」
お父様たちを心配させてしまい申し訳なく思う。
せっかくの料理だから食べたい。
それでもどうしても身体から拒否反応のようなものが出てしまっていてどうしても口元に持っていくことができない。
「そんなことはあるだろう! 以前のジュリアならば大喰らいで遠慮なく躊躇することなくバクバク食べてたではないか。まるでブラックホール胃袋だなと言ってたら、ジュリアに何度怒られたことか」
「そんなこともありましたね」
からかったり冗談を言うのが好きなお父様の言葉を聞いても、今では怒る気にすらなれなかった。
「全く怒らないとは重症だな……爺やよ、すぐに専属の医師を連れてくるのだ」
ちょっと疲れているだけなのにそこまでしなくても良いのに……と思っている矢先、意識が飛んでしまいその場に倒れた。
♢
──私が育った部屋の天井だ……。
懐かしい。
この天井を見て毎朝目を覚まし、一日のスタートを始めていたっけ。
「ジュリ! 大丈夫か!?」
顔が青ざめている義兄様が椅子に座っていた。
私が顔を向けると飛び上がってすぐに私の頬を撫でてきた。
「よかった……二日も眠ったままで、もうダメなのかと思ってしまったぞ……」
「二日間も……!?」
身体がだるいし頭もクラクラしている。
それでもなぜか昔のように今願っていることは一つだった。
「義兄様、お腹が空きました……」
「おお、そうか! ではすぐにジュリが目覚め腹を空かしていると報告してこよう」
慌ただしく部屋を飛び出し、私が起きたことを大声で告げた。
義母様、爺や、使用人達、更に警備をしなければいけない門番までもが次から次へと部屋へ飛び込んできた。
「ジュリアちゃんーー……」
義母様は皆が見ている前で私に抱きついてきた。
「ちょっと……義母様?」
「ごめんなさい……私たちが間違っていたのよ……こんな結婚させてしまったばっかりにジュリアちゃんをこんな目に……」
言っていることがよくわからないし、話の意図がよくわからない。
それに、私は結婚生活のことを一度も家族に喋っていないのになぜその話になるのかが謎だった。
「義母様? どういうことですか?」
「詳しくはご飯を食べてから、お父様から聞いて頂戴ね」
なんだかよくわからないまま、私のお腹が『ぐぅー』と鳴る音で返事をした。
今までの食欲不振が嘘かのように、用意された食事を次から次へと放り込む。
一通り食べ終わり、久々に心が満たされた。
今までの精神的苦痛とストレスが嘘かのように元気になったのだ。
「よし、これだけ食べられれば大丈夫そうだな。ブラックホールが復活したようで何よりだ」
「お父様!!」
何がブラックホールだ。いつもながら一言が余計である。
私は、昔のようにお父様の背中を引っ叩いた。
「よ、よしよし、その元気もあれば文句もない。では本題に入ろうか」
お父様は真顔で私にとんでもないことを告げるのだった。
「ジュリア、離婚を推奨する」




