実家へ帰った
本家はザーガルと住んでいるところから歩いていける距離にある。
それにも関わらず、ほとんど帰ることもなかったのだが、久しぶりに帰ってきたのだ。
「お! お嬢様! お帰りなさいませ! すぐに門を開けます」
門番はすぐに私に気が付き、慌てて会釈をしてきた。
セキュリティ万全の門がゆっくりと開き、大きな庭園に足を踏み入れた。
ガーデニングもしっかりと手入れをされていて、久しぶりに気持ちが良い空間に入って癒された。
しばらく庭で待っていると、屋敷の扉が開き、中から出てきたのは……。
「ジュリか! おかえり。帰ってくるなら連絡してくれればよかったのに」
「アルト義兄様! 早朝なのにごめんなさい。急だったものですから」
「……何かあったんだな」
「相変わらず鋭いですね」
私のことをジュリと呼んでくるのは、血の繋がらない義兄様。
小さい頃からずっと面倒を見てくれているし、仲が良い。おまけに私に対しては何故か鋭い。
幼い頃は、義兄様と結婚したいと思って、結婚ごっこをした時に、『私が一八歳になったらお嫁にしてねー』とか、記憶は曖昧だがそんなようなことを言って、手作りの指輪をあげたこともあった。
久しぶりに屋敷の中へ入ると、しっかりした使用人達が入口で整列して私を出迎えてくれた。
執事の爺やは、そろそろ引退の年齢かと思っていたが、まだまだ元気そうでほっとした。
「お嬢様、お帰りなさいませ。お嬢様のお部屋もそのままにしてあります」
「爺や、元気そうで。ひとまず休ませてもらうわ」
「承知しました。では、アーカはお嬢様のお荷物を運びなさい。イーシはお茶の用意を。ウーツは浴場と着替えの準備をしなさい」
「「「畏まりました」」」
なんというおもてなし……使用人もしっかりしている。私はこの屋敷で育っていたことをすっかり忘れているようだった。
ベルベットさんも少しは見習って欲しい。
部屋に移動しようとする私に、アルト義兄様が心配そうな表情で声をかけてきた。
「ジュリ、後で構わないのだが、大広間に来てくれるか? 義父上と母上も交えて少し話がしたい」
「えぇ……」
話と言われても、私は何を喋れば良いのだろうか。
愚痴るのは嫌だし、そんなことを言えば心配させてしまうし、迷惑をかけてしまう。
そんなことを考えながら、私が長年過ごしていた部屋に戻った。




