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仕方なく旦那へ融資した

 一萬貨幣が五千枚あれば、一般的な家庭の家一軒は建てられる額だ。

 私だってこれだけの金額を稼ぐのには半月はかかる。

 そんな大金を融資しろとはどういうことだろうか。


「貸すこと自体は問題ありません。ですが、返済できる見込みがない場合は例え夫であってもお断りしますが」


 ザーガルが毎日外で何かしらの仕事をしていることは知っている。

 だが、何をしているのかは知らない。

 この機会だから興味もあるし、なんの仕事を始めたのか聞くのも良いかと思った。


「投資をしているのだが、実は以前見せた一萬貨幣の束も偶然失敗してしまい失ってしまったのだ。だが、この事業は必ずうまくいく。ベルベットもそう言っているし、大きなお金が必要なのだ……」

「ベルベットさんが? 失礼ですが、何の投資ですか?」

「あぁ、結婚生活直後にベルベットに教えてもらったのだが、彼女はお金がないから投資ができないと言っていてな。俺が試しにやってみたら以前のように一萬貨幣をがっぽりと……」

「だから、なんの投資ですか?」

「……戦略によって二十一になるよう調整する事業。あとは三十八種類の中から未来予測をして、その通りになるように投資する事業だ。他にも色々あるのだが、一萬貨幣が五千枚もあれば二倍にできる自信がある。それだけ期待できるのだ」


 そんな投資は今まで聞いたこともない。

 だが、目をギラギラ輝かせて言ってくるザーガルに、私はこれ以上聞くのはやめた。


 なんで夫を疑わなければいけないのか、聞いている内に罪悪感で胸が苦しくなった。

 これでもザーガルは一応資産家の息子である。

 さすがに変な投資はしないだろうし、これだけ楽しそうに真剣な表情をしている姿を見てはノーとは言えなかった。


「わかりました……ですが、これは私の仕事用の貨幣です。さらに結婚の際、資産及び財産は永久的に共有しないという契約も法を絡めて結んでいます。あくまで私の仕事資金からの融資なので、しっかりと契約及び利息も発生しますがよろしいですか?」

「ありがとう、返せるから問題はない」


 融資に関する契約書を書いてもらった。


「おかしな話ですが、連帯責任者は必然的に私になります。よって万一の場合、離婚や絶縁になることもありますので必ず契約は守って返済してください」

「大丈夫だ。むしろこれでジュリアを養っていける」


 契約に従って一萬貨幣五千枚をキャッシュで即座に渡した。

 早速全ての貨幣を持ってザーガルはどこかへ出かけてしまった。


 嫌な予感しかしない。

 だが、今回の融資は私個人としては好都合だった。


 もし本当にこれで稼いでくれれば文句もない。

 仮に返済不可能だったら、縁を切ることもできるのだから。


 残酷なようだが数々の言動や行動に対して、私は限界だった。

 もしもの場合のことも考えておく必要があったのだ。


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