【ざまぁ】お届け物
「ベルベット様ーー、お届け物でぇーす!」
ドアのノック音と共にザーガルが不審になった。
「ベルベットよ、ここに住んでいるということを外部の者に告げたかもしくは移住届けを出したのか?」
「していないわよー。でも私への届け物ならば早く受け取らなくちゃ!」
ザーガルは首を傾げながら考えていた。
「そうか! ジュリアが出ている間にベルベットの移住届けを出してくれたのだな」
「あぁ……さすがジュリアさんねー」
ベルベットはザーガルの発言に合わせているだけだ。
本心ではそんなことするわけがないと思っている。
「とにかく受け取りますねー」
ベルベットがドアを開ける。
「誰からのお届け物ですかー?」
「差出人をご覧くださいね。ではこれで」
大きな箱だけベルベットに渡し、すぐに変装しているアルトがその場を去っていった。
「おい、おかしくないかあの配達員! 受け取りサインもしなかっただろう? しかも宛先はジュリアになっているぞ!」
「でもー、しっかりとあの人はベルベット様ーーって言ってくれていたし、問題ないわよ」
「差出人はまだ見ていないが、誰からだ?」
「んーとね、あ。ガージーノルレット……賭博場からみたい」
「なんだと!? まさか!!」
ザーガルの目がギラギラと輝き始めた。
二人は根っからのギャンブラーで賭博場に出入りしている。
だからこそ差出人が賭博場とわかれば、いてもたってもいられなかったのだ。
「おい、早く開けろ! たとえジュリア宛でも構わん! もしかしたら抽選に当たったのかもしれんぞ!」
「かもしれないわね。賭博場の入場者特典と会員特典で応募したやつが当たってたら嬉しいんだけどー」
「確か確率を上げるためにジュリアの名前も勝手に使っていたもんな。間違いない!」
期待を込めてベルベットは大きな箱を開封した。
「え? 何これ」
「当選商品ってこんなもんだったのか……」
中に入っているのはジュースとお菓子だった。
「こんなの賭博場の景品でも交換できるわよね……」
「とはいえタダで手に入ったんだ。幸いジュリアがここにいないから私たちだけで食べてしまおう」
「ねぇザーガルさぁ、もしもジュリアさんがこれを受け取っていたらどうするの!? ギャンブルしてることバレたくなかったんでしょう?」
ベルベットはからかいながらザーガルに近づいていく。
頭を撫でながら自信満々にしていた。
「大丈夫だ。あいつが賭博場の正式な名前を知っているわけないだろう。差出人にも『ガージーノルレット』と書かれている。これは通っている者にしかわからんキーワードなわけだし、どうやっても賭博場だと推測できない」
「それもそうね」
ザーガルも最初はお届け物に違和感があったものの、賭博場からだと思い込んでからはすっかり疑いがなくなってしまい浮かれていた。
二人とも何が入っているかも知らずに、中に入っているお菓子とジュースを頬張るのだった。




