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52「魔王はストレス溜まっています」




 とりあえず、女体化四天王をボッコボコにした。


「――ふう」


 ダグ子はイベントにノリで参加したくらいだったので、顔面に一発拳を叩き込んで吹っ飛んだら、それっきりだ。起き上がらずに手を振るのであくまでもギュン子に付き合っただけなのだろう。


 続いてボー子には、「言っておきますが、あと一歩でも近づいたら全力でラッキースケベしますからね。自分で言うのもあれですが、心に傷を負っても知りませんからね?」とさいご通告すると、顔色を真っ青にして「お婿さんになるまで清い身体でいたいんです!」と逃げ出した。まあ、こんなもんだろう。そもそも彼、いや彼女に魔王と戦うだけの力はない。


 問題なのは青子だった。自称竜王候補を名乗るくらい周囲にもてはやされていたが、それだけの力がある。しかし彼女は、戦う気力があまりないようだ。友也としても、いくら元が青年とは言え幼女を殴るのは気まずい。どうするものかと悩んでいると、まるで事態を把握していたかのようにキャサリンが現れ、「あらぁ、魔法少女の素質のある子を見つけちゃったわん! お姉さん感激!」と言って青子を連れて行ってしまった。無理やり連れていかる体をとっていたが、絶対まんざらじゃない。抵抗していないもの。


 一番面倒なのはレム子だった。しかし、聡明な兄レプシーとは違い、レム子はお馬鹿なようで、「ラッキースケベされる未来はわかっている! ならば、ローション相撲で勝負だ!」とローションを頭からかぶり挑んできた。結果は言うまでもなく、友也のラッキースケベが発動してぬっちょんぬっちょんのぐっちょんぐっちょんになった。今は、いろいろ限界に来たのは、精神がどこかに飛んでいってしまったようだ。


「かつてないほど嫌なラッキースケベでした」


 滴り落ちるローションを袖で拭うと、ギュン子を睨みつける。


「ふっ、四天王を倒したところでいい気なってもらっては困る! このギュン子・イグナーツを奴らと同じだとは思わないでもらおう!」


 まだやる気のギュンターに、友也は盛大にため息を吐き、ついでなので疑問を口にしてみた。


「なぜ、女体化するとみんな名前に子がつくのか不思議ですねぇ」

「君こそ何を言っている? 名前に子がつくのは高貴で素敵な女性の証だろう? 初代国王の日記にそう書いてあるではないか」

「はい! また初代! また異世界人! また日本人だよ! いい加減にしろよ、そいつ!」

「東方にある島国と違い、僕たちの名前はちょっと雰囲気が違うからね。あまり浸透しなかったが、女体化して生まれた変わった僕たちならば、ふさわしいではないかな!」

「いや、別に!」

「ふふふふ。わかっているよ、変態魔王。君は、友子ちゃんになるのが不満なのだろう? 素直に言えばいいのに、まったく。ならば、君は選ばせてあげよう! 友美でも、友恵でも、友香でも好きにするといい!」

「お前、本当に異世界人か!? なんでそんなに名前が出てくるんだよ! 中身日本人じゃねえだろうな!?」

「ニホンジン? なにかな、それは? そんな変態な人種は知らないよ」

「……あれ? まじでこいつ、こっち側じゃない?」


 友也は、もしかするとギュン子が転生者で、しかも日本人ではないかと疑いたくなった。

 しかし、いくら特殊性癖を抱える人間が多い日本人でも、ここまでの奴はいない。

 いるかもしれないが、友也は知らない。


「まあいいです。とりあえず、君の場合は二度と立ち上がれないくらいにギッタンギッタンにしてあげましょう。そして、このくだらないお遊びは終わりです。というか、サムが帰ってきた時に女体化祭りになっていたら僕も一緒に怒られると思うんですけどね!」

「ふはははははは! 僕を倒せるのなら倒してごらん! 僕の野望は君には止められないさ! いいだろう、かかってきたまえ。君を倒して、可愛い少女に変えたあと、大陸全てを女体化してやろう!」

「このやろう、祭りだけで終わらせる気ねえな!」


 とんでもない企みを抱いていたギュンターに、友也が身震いする。


「ぬはははははははは! 神聖ディザイア国? 魔族? 魔王? 人間? すべて女体化すれば正解平和になるのさ! そして、この世界唯一の男子であるサムに平伏すといい!」

「魔王よりも魔王みたいなこと企むんじゃねーよ!」

「男女比1:世界となるのだ!」

「お前、絶対日本の知識あるだろ!」


 言いたいことはたくさんあるが、そろそろストレスでお腹が痛くなってきた友也は、ギュンターをぶっ飛ばして、風呂入って、一杯やって寝ようと決めた。





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