8「あの種族と会えそうです」①
「闇を極める?」
「はい。闇属性魔法を――ではなく、闇そのものを極めるのです」
「えっと、それって聖術が光だから闇でいこうって感じ?」
「そこまで安直ではないんですが、ええ、まあ間違ってはいません」
魔法には、炎属性、水属性、風属性、土属性、闇属性、光属性とあり、さらに回復魔法、防御魔法、補助魔法、結界術と多岐にわたる。
さらに独自のスキルを持つ者も多く、そのスキルに魔法属性を付与できる場合もある。
(闇属性魔法を極めるなら話がわかるんだけど、闇を極めるってどういうことだ? ていうか、どうやって極めるんだ?)
魔法には得意な属性がある。
ウルが炎、ギュンターが結界術、デライトも炎、そしてサムが突出していないが苦手な属性なくすべて同じように使える。サムが多用するのは炎と水だ。炎は師匠がウルだから、水はウルに対抗するための手段として。
闇属性も使えるし、魔族になってから使い勝手が良くなっている自覚はあるが、それでも闇そのものを極めるという意味がわからなかった。
「残念ながら僕は究められませんでした。どうやら、僕には闇が合わないようです」
「……君のような邪悪な変態魔王が闇でなければ誰が闇だというのかね?」
「ギュンターくんにだけは言われたくありませんけどね! 君なら闇を究められると思っているんですけど!」
「馬鹿な! 光に愛されたイケメンに対してなんという暴言を――イケメンフラッシュ!」
「まぶしっ! 顔を光らせるとかしなくていいですから! つーか、なにげに余計な技術を使いやがって! 忌々しい!」
隣りの席から顔面を光らされれば、それはそれは眩しいだろう。
友也がギュンター顔面を掴むと、やめるようにドスの聞いた声を放つ。
ギュンターは「美しい顔に汚れた手で触れないでもらいたいね!」と顔面を光らせるのをやめた。
「友也、話を戻せって」
「失礼しました。聖術、聖力は人間にとってみれば魔法とかわりません。しかし、魔族だと、そうですね、効果は抜群だ、とでも言っておきましょうか」
「……なるほど。その効果は魔族として強ければ強いほど効くみたいだけど?」
「カリアンの言葉が本当ならば……いえ、実際にすごく効きます。初めて食らったときには死ぬかと思いました。この世界で生きていて一番の激痛と苦痛を味わいましたよ」
「被虐趣味の君が言うなら相当なのだろうね」
「僕は自分に被虐趣味があるなんて一言も言ったことがありませんけどね。むしろ、ギュンターくんこそ被虐趣味があるのでは? クリーさんに毎晩可愛がられているようですしね!」
「――貴様!」
「喧嘩を売ってきたのはそっちでしょう!」
額をぶつけて睨み合う友也とギュンター。
このふたりは最近、喧嘩ばかりだ。
仲がいいほど喧嘩すると言うので放置しているが、話が進まないのは困る。
「おい、戯れてないで話を」
「度々すみません。次は戦力的な話ですが、一介の神父や修道女や騎士くらいならば総合的な戦力を多めにみつくろっても爵位持ちの魔族程度でしょう。しかし、その上がまずい」
「枢機卿たちか?」
「ええ。十人の枢機卿と、十人の聖騎士は準魔王……いえ、魔王級かもしれませんね」
友也の言葉は、驚愕に値する内容だった。
サムだけではない、リーゼたちや、ギュンターまでも驚きを禁じ得ないようで目を見開いている。
「全員が全員、サムやレプシーほど強いとは言いません。相手は人間ですので僕たちのような再生能力もありませんし、膂力でも聖力を強化に使ってもやはり僕らのほうが上です。聖力だけが恐ろしい。しかし、本当にそれだけなのか? という疑問はやはり尽きません」
「友也殿」
「なんでしょうか、ジョナサン殿」
「言ってはすまんが、仮にだ、枢機卿が魔王級、聖騎士が準魔王級としたとしても……数で負けていないかね?」
「負けていますね。だから、戦力を集めています。実を言うと、最悪の場合はレプシーを叩き起こして奴らにぶつけようとさえ考えていましたが、倒されました。そして、最近、新たな魔王が生まれた。君です、サム」
全員の視線がサムに向く。
「この世界で唯一、神聖ディザイア国の聖力と真っ向から戦える種族がいます」
「――まさか!」
友也の言葉の途中で、心当たりがあったのかダフネが叫んだ。
「ダフネのご存知のように、あの種族ですよ」
「あの種族?」
「おそらく、魔族としてもっとも古い種族のひとつ――ダークエルフ。サムには、闇の住人とも呼ばれる彼女たちのもとで闇を極めてほしいんです」
「ダークエルフきたぁああああああああああああああああああああああああああ!」
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