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エピローグ「なんとか帰ってきました」




「――なんだよ、あいつら? あんなにおっかねえ人間を初めて見たんだけど! ギュンターより怖い!」


 スカイ王国ウォーカー伯爵家の中庭に転移したサムは、地面に寝っ転がって自身が震えていることを自覚しながら叫んだ。


「まさかこれほど早く接触することになるとは思ってもいませんでした。すみません、サム。もっと早くお伝えしておくべきでしたね」

「友也は神聖ディザイア国っていうか、聖力とか聖術とか知っているんだろ? つーか、女神ってなにエヴァンジェリンのことじゃなくて、別の女神だよね!?」

「違いますって。こんなパチモンみたいな女神じゃなくてですね」

「誰がパチモンだ!」


 地面に胡坐をかき、少し疲労を浮かべた友也と、いつも通りを振る舞いながらも顔色を悪くしているエヴァンジェリン。

 ボーウッド、アーリーは聖力に当てられたのか、地面に寝転がって気怠そうだ。

 ダニエルズ兄妹だけが「奴からはパパ力を感じた」「でもおじいちゃん力も」といつも通りで安心した。


「詳細は後日、きちんとした場を設けて話をしましょう」

「おい、そんな猶予は」

「あります。奴らがスカイ王国に攻めてくることはまずないでしょう。奴らの敵は魔族であって、人間ではありませんから。それに、奴らには大きな目的があります」

「女神だっけ?」

「はい。順序があるんです。だから、サムにも時間があると思っていたんですが、まさかオーウェンの背後に神聖ディザイア国がいたとは。サムがオーウェンを気持ちわるがったのかわかりました。奴は聖術によって強化されていたんです。愚かなことを」


 友也が顔をわずかに歪めた時だった。


「――っ、なんだ、これ」


 凄まじい力の余波が、ティサーク国の方向から波のように伝わってきた。

 害こそないが、不快感と恐怖がこみ上げてくる。


「魔王級だろう、これ」


 サムの呟きを否定する者は誰もいなかった。

 魔力を魔法に変えずとも、そのまま放出するだけで人にも魔族にもモンスターにもダメージを与えることができる。聖力も同じだろう。ならば、これほどの聖力を持つ者が、魔王と魔族を敵視しているのは大きな脅威だ。


「先ほどから、何を言っているのかな、君たちは!」

「あ、ギュンターだ」


 ドレスを翻して疾走してくるギュン子に、強張っていた肉体から緊張が抜けた気がした。


「愛しいサムを一番に出迎えるために、リーゼたちの部屋につっかえ棒をしてから迎えにきたものの!」

「しょうもうないことしないでよ! あとでぶん殴られろ!」

「サムを含めて君たちは、性力や性術など卑猥な言葉を連呼して! ティサーク国で何があったというのかね! 猥談なら僕も仲間に入れてくれたまえ!」


 サムは、突っ込む気がなくなり青空を仰いだ。

 友也も、面倒になったのかうつ伏せになってしまう。

 エヴァンジェリンだけが、頬を引きつらせてギュンターに怒鳴った。


「こっちは面倒なことになったつーのに、なにふざけた勘違いしてんだ! 誰も猥談なんでしてねえよ! てめえの脳みそにはそれしかねえのか!」


 はぁはぁしているギュンターに向かって跳躍し綺麗なドロップキックを炸裂させると、変態は吹っ飛び地面をゴロゴロ転がっていく。

 すると、手に武器を持ったリーゼたちが現れ「よくも私たちを閉じ込めたわね! 子供みたいなことをしないでちょうだい!」と追撃されていた。


「あー、いつも通りのスカイ王国で安心した」


 神聖ディザイア国、枢機卿、聖力、聖術。

 考えることは増えたが、すべきことは変わらない。

 大切な家族を守るためにも、どんな力を持った相手だろうと敵対するのなら――斬るだけだ。


 そう決めたサムは、少しだけ肩が軽くなった。


「さて、と。とりあえず、今日はみんなとゆっくりしよう。あ、でもその前にクライド様に報告をしないと」


 立ち上がったサムは、喧嘩を繰り広げる家族たちを止めるべく苦笑しながら近付いていくのだった。





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