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54「嫉妬です」





「むう」

「ロボちゃん、どうかしましたの?」


 屋敷の中から、中庭を見守っていたアリシアの膝の上に頭を乗せて撫でられていたロボが、少し面白くなさそうに唇を尖らせた。

 来客用の一部屋に、アリシアをはじめ、サムの家族とウォーカー伯爵家の面々、子竜三姉妹も一緒だ。

 万が一のことを考えて、ひとつの部屋に全員を集めて守っていた。

 もっとも、ゾーイ、ジェーン、そしてロボ、子竜という面々ではアーリーがどれだけ強くても過剰戦力である。

 敵側の応援が来ることありないわけではなく、友也が屑と連呼するオーウェンの所業を知るゾーイ、ジェーンの助言で、人質を取られては困ると厳重に守られていた。


 そんな中、不機嫌さを隠さず唸るロボに一同の視線が集まる。

 中庭ではすでに尋問とかではない、別の何かが始まっていたので見ないでいようと決めたのでちょうどよかった。

 視線を浴びる中、ロボは不満そうに言葉を吐き出した。


「奴は先日私に好きだと言ったのだが」

「奴?」

「ボーウッドだ。奴は、先日、私に好きだと言ってきたのだが、今は他の雌に言い寄られている。……なんだかぶっ飛ばしたい気持ちになるのは、気のせいか?」

「あらあらまあまあ!」


 アリシアが両手を合わせて満面の笑みを浮かべた。

 続いて、リーゼたちが椅子を持って近づいてくる。


「な、なんだ、なぜ笑顔を浮かべて近づいてくるんだ。おい、こら」


 ジェーン、ゾーイは外を警戒しつつも、にじり寄り、子竜たちもが興味津々だ。

 リーゼとアリシアの母グレイスと、ウォーカー伯爵のメイドたちも、紅茶と茶菓子を片手にロボを囲うように陣取った。

 急に始まる女子会のノリに、男性の使用人と兵たちはちょっと気まずそうだ。


「なんだ? 私は変なことを言ったか?」

「いえいえ、そんなことはありませんよ。ロボちゃんも、少し女の子になったのですわ!」

「女の子だと?」

「はい! ロボちゃんはボーウッドさんのことが気になってしまっているのです!」

「気になるのか? ぶん殴りたいと思っているが」


 困惑気味なロボに、アリシアたちはニコニコと微笑む。


「ロボちゃんはなぜ殴りたいのですの?」

「……それは、とりあえず告白してきたくせに、他の雌にヘラヘラしているボーウッドをぶっ飛ばしたい」

「それは嫉妬ですわ」

「……嫉妬? このもやもやする感情が?」

「そうですわ! ロボちゃんだって女の子です! 気のある素振りを見せたボーウッドさんが舌の根が乾かないうちに他の女性にうつつを抜かしていたらモヤモヤしてしまいますわ!」


 リーゼたちがその通りだ、と頷く。

 口にこそできなかったが、男性陣は別に付き合っているわけじゃないのに、と思う。


「よくわからんが、よくわかった。つまり、このもやもやを抱えているのは嫌だ。ボーウッドをぶん殴っていいのか?」

「問題ありませんわ! その思いを込めてがつんとやってください!」

「――わかった! がつんとやる!」


 女性陣が口々に応援の言葉を伝える。

 やる気になったロボが拳を虚空に放って見せ得ると、轟っ、と部屋の中が唸った。


「……ボーウッドさん、俺たちとも気さくに飲んでくれるいい人なんだけどな。お別れか」


 さすがの魔族も、格上の魔王の一撃をもらったら死んでしまうだろう。

 ボーウッドと交流のある兵士のひとりが、友人がいなくなることを残念そうに呟くのだった。





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