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465/2012

2「魔王が語り始めました」①




(えー? なにそれ、ラッキースケベって、あのラッキースケベだよね? 俺が知らないだけで魔王になれる要素とかあるの!? 誰か教えて!)


 困惑を隠せず汗をかくサムに、


「――僕は物心ついた頃からラッキースケベでした」


(なんか語り始めたー!)


 自身の生い立ちを語り始める友也。

 サムの動揺は大きくなるばかりだ。


「幼い頃、そうですね。幼稚園児の頃まで遡りましょう。僕は女の子とばかり仲が良く、とても人気のある男の子でした。外で走り回るよりも、おままごとが好きな子供でしたが、まだ特別ラッキースケベを意識したことはありませんでした」

「でしょうねぇ」


 むしろ、園児でラッキースケベが意識できるような子なら、末恐ろしい。


「しかし、小学生となり、性を意識し始めた高学年になると、まるでラブコメよろしくハプニングばかりでした」


 友也が言うには、女の子のスカートに頭を突っ込むなど日常茶飯事だったという。

 ただ、そのせいで女の子から疎まれることはなかったらしい。

 当初はびっくりしていた女子たちも、いつしか「遠藤くんがまたやっている」くらいの認識だったらしい。


(すごいね! 多感なお年頃なのに、女の子たちの懐が深すぎる!)


 サムの小学生時代だと、スカートめくりをした悪ガキが女子に吊るし上げられていたのを覚えている。

 そのことを考えると、友也の周囲の女子たちは、とても寛容なようだ。


「放課後の教室で女子の着替えを見たことなんて数えきれません。クラスで一番可愛いと人気の子と体育倉庫に閉じ込められて……まあ、いろいろあったこともあります」

「王道のラブコメ!」


 ラッキースケベというか、ラブコメの主人公体質なんじゃないだろうか、と思えてきた。

 少なくともサムは、そんなイベントを経験したことはない。


「このくらいならかわいいものでした。それに、ほら、僕って可愛い顔をしているでしょう? だから、ちょっとくらいエッチなことになっても女の子たちは怒らなかったんです」

「自分で言っちゃった!」


 確かに友也は少女のような可愛らしい顔をしている。

 サムの中で、ギュンター・イグナーツが相当のイケメンに当たるのだが、彼とはまた違ったベクトルを持つ美少年が友也だ。

 もっとも、千年以上生きている友也を美「少年」と言っていいのか悩むが。

 彼ほどの容姿をしているのなら、女子もお目こぼしをしてくれたのかもしれない。


「ですが、中学生になると状況が変わっていきました」


 友也が通った中学校は、複数の小学校からひとつの中学校に生徒が集まるものだった。

 そのせいで、友也のことを知らない生徒も半数以上いたのだ。

 しかし、彼は変わらずラッキースケベで、かなり際どいハプニングを起こすようになってしまった。

 それでも整った外見のおかげか、もしくは友也に悪意がないとわかっていたからなのか、女子たちは気にしなかった。

 だが、そんな友也を面白く思わなかったのが、思春期真っ只中の男子達だった。


「あー」


 ラッキースケベを起こしながらも、友也は女子に人気だった。

 ときには同級生はもちろん、上級生からも告白されることがあった友也を男子が疎ましく思わないはずがない。


「というわけで、先輩たちに呼び出されてわかりやすくぼっこぼっこにされました」


 友也は理不尽な暴力に負けなかった。

 暴行されたことを警察に言い、先輩たちを停学に追い込んだ。

 先輩たちもプライドがあったのだろう。女子ちやほやされている友也が気に入らなくて暴力を振るったとは言えず、言い訳を重ねるも、結局謹慎処分となる。

 その後、友也に嫉妬して数で囲んで暴力を振るった男子たちは、女子たちから総スカンされて学校に来なくなった。

 こうなると、友也を面白くないと思っていた他の男子たちも手を出せなくなり、とりあえずは平穏が訪れた。

 しかし、ラッキースケベを起こすのは相変わらずで、狙っているわけではないのに女の子とハプニングを起こしては、親しくなってしまう。

 さらに、その子たちが友也を意識し――好意を抱く。

 その繰り返し。


 クラスで人気の女の子。

 学年で一番美人の少女。

 誰からも慕われる明るい生徒会長。

 果てには、他校の生徒まで、ラッキースケベをきっかけに無意識に攻略してしまった友也は、――男子から完全無視されるようになった。





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