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423/2013

37「ギュンターも素直じゃありません」③




「皆様、お願い致しますわ!」


 クリーの一言に、控えていた使用人たちが、ギュンターを抱える。

 このまま公爵家に回収されていくのだろう。


「サム様、フラン様、ありがとうございました。ギュンター様に嫌われていないとわかってほっとしています」

「なんというか、いろいろ頑張ってください」

「はい! 頑張ります!」


 元気いっぱいに返事をしてくれたクリーに、サムも笑顔を浮かべる。

 なんだかんだと素直ではないギュンターを相手にするのは大変だろうが、幸せになってほしい。


「でも、クリーちゃんのお腹の中には子供がいるんだから無理はしちゃ駄目よ」

「フラン様、お気遣いありがとうございます。リーゼ様からご奉仕の方法をたくさん教わりましたので、そちらで頑張りますわ!」

「それなら安心ね」


(俺はリーゼになにを教わっているんだ、とかいろいろ突っ込んだ方がいいのかな? あと、フランさんもなにが安心なのかな?)


 いろいろ突っ込みたい衝動が湧き上がってくるも、サムはあえて我慢した。

 話が面倒になったら困るからだ。

 夫婦の事情に口を挟むのは野暮だろう。


「ウルリーケ様から頂いた様々な魔道具を使い、ギュンター様がわたくし以外に反応できないよう調教してみせますわ!」


(ウルぅ、どんな魔道具を渡したのかなぁ? でも、まてよ、ギュンターがクリー意外に反応しなくなれば――いいじゃない!)


「頑張って! みんなの幸せのために!」

「はい! あ、そうでしたわ。サム様はお仕事でお出かけになると伺っていますが」

「うん。ちょっと用事があってね」

「タイミングが悪かったですわね。お父様がわたくしとギュンター様の結婚祝いのパーティーを開いてくださるとおっしゃってくださったのですが」


 イグナーツ公爵の本気が見えた気がする。

 すでにギュンターとクリーの結婚は周知の事実だが、お披露目パーティーをすることで絶対的なものにしようとしているのだろう。

 公爵も、ウルばかり追いかけていた息子が、無事に子供を作ったことが嬉しいのだと思う。


「参加できないのが残念だけど、ふたりの幸せを心から願っているよ」

「ありがとうございます、サム様」

「私はぜひ参加させてもらうわね。ギュンターがどんな顔をしてパーティーに出るのか楽しみよ!」

「……フランさん」

「お待ちしていますわ、フラン様」


 クリーは、丁寧に挨拶すると、「では、失礼致します」とギュンターを抱えた使用人たちを引き連れて屋敷をあとにした。


「なんというか、あの子は強い子ですねぇ」

「そうね。だからギュンターと相性が良いのでしょうね。きっと本当に調教すると思うわ」

「頑張れギュンター! お前の幸せを心から願っているよ!」


 初めて会ったクリーも印象が強い子だったが、今はそれ以上に強くなったと思う。

 ギュンターと暮らしているせいか、それとも子供を授かったおかげか、それはサムにもわからない。

 間違いなく、クリーは幸せになるだろう。

 誰かが幸せにしてくれるのを待つのではなく、自分から幸せになるように行動できるところは尊敬するし、見習いたいと思う。


「ねえ、サムくん」

「はい?」

「ギュンターとクリーちゃんに負けないように、今夜はよろしくね」


 どこか艶っぽい顔をしたフランがサムの顔を覗き込む。


「リーゼたちには話を通してあるから、今夜は初夜よ」

「が、頑張ります」


 この日、フランを妻に迎えたサムは、夜遅くまで頑張ったのだった。




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