37「ギュンターも素直じゃありません」③
「皆様、お願い致しますわ!」
クリーの一言に、控えていた使用人たちが、ギュンターを抱える。
このまま公爵家に回収されていくのだろう。
「サム様、フラン様、ありがとうございました。ギュンター様に嫌われていないとわかってほっとしています」
「なんというか、いろいろ頑張ってください」
「はい! 頑張ります!」
元気いっぱいに返事をしてくれたクリーに、サムも笑顔を浮かべる。
なんだかんだと素直ではないギュンターを相手にするのは大変だろうが、幸せになってほしい。
「でも、クリーちゃんのお腹の中には子供がいるんだから無理はしちゃ駄目よ」
「フラン様、お気遣いありがとうございます。リーゼ様からご奉仕の方法をたくさん教わりましたので、そちらで頑張りますわ!」
「それなら安心ね」
(俺はリーゼになにを教わっているんだ、とかいろいろ突っ込んだ方がいいのかな? あと、フランさんもなにが安心なのかな?)
いろいろ突っ込みたい衝動が湧き上がってくるも、サムはあえて我慢した。
話が面倒になったら困るからだ。
夫婦の事情に口を挟むのは野暮だろう。
「ウルリーケ様から頂いた様々な魔道具を使い、ギュンター様がわたくし以外に反応できないよう調教してみせますわ!」
(ウルぅ、どんな魔道具を渡したのかなぁ? でも、まてよ、ギュンターがクリー意外に反応しなくなれば――いいじゃない!)
「頑張って! みんなの幸せのために!」
「はい! あ、そうでしたわ。サム様はお仕事でお出かけになると伺っていますが」
「うん。ちょっと用事があってね」
「タイミングが悪かったですわね。お父様がわたくしとギュンター様の結婚祝いのパーティーを開いてくださるとおっしゃってくださったのですが」
イグナーツ公爵の本気が見えた気がする。
すでにギュンターとクリーの結婚は周知の事実だが、お披露目パーティーをすることで絶対的なものにしようとしているのだろう。
公爵も、ウルばかり追いかけていた息子が、無事に子供を作ったことが嬉しいのだと思う。
「参加できないのが残念だけど、ふたりの幸せを心から願っているよ」
「ありがとうございます、サム様」
「私はぜひ参加させてもらうわね。ギュンターがどんな顔をしてパーティーに出るのか楽しみよ!」
「……フランさん」
「お待ちしていますわ、フラン様」
クリーは、丁寧に挨拶すると、「では、失礼致します」とギュンターを抱えた使用人たちを引き連れて屋敷をあとにした。
「なんというか、あの子は強い子ですねぇ」
「そうね。だからギュンターと相性が良いのでしょうね。きっと本当に調教すると思うわ」
「頑張れギュンター! お前の幸せを心から願っているよ!」
初めて会ったクリーも印象が強い子だったが、今はそれ以上に強くなったと思う。
ギュンターと暮らしているせいか、それとも子供を授かったおかげか、それはサムにもわからない。
間違いなく、クリーは幸せになるだろう。
誰かが幸せにしてくれるのを待つのではなく、自分から幸せになるように行動できるところは尊敬するし、見習いたいと思う。
「ねえ、サムくん」
「はい?」
「ギュンターとクリーちゃんに負けないように、今夜はよろしくね」
どこか艶っぽい顔をしたフランがサムの顔を覗き込む。
「リーゼたちには話を通してあるから、今夜は初夜よ」
「が、頑張ります」
この日、フランを妻に迎えたサムは、夜遅くまで頑張ったのだった。
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