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410/2013

24「ビンビンです!?」②




「――ぶっ」


 サムは思わず吹き出しそうになった。


(クライド様、なに真面目な顔をしてビンビンって、他にもっと言葉あるだろ!)


「まあ、そのまだ現役なんで、ビンビンではありますが」


(デライトさんまでビンビンとか言っちゃったよ! 嘘だろ、おい!)


 サムは必死に口を押さえて、吹き出さないように我慢する。

 そんなサムに追い討ちをかけるように、クライドが満足そうに頷いた。


「うむ、ビンビンであるか! ならばよし!」


(も、もう限界、やめ、て)


 身体中が小刻みに震える、少しでも気を抜いたら爆笑しそうだった。


「よかったですわ、デライト様がビンビンで!」

「――ぶっはっ!」


 ついにレイチェルまでもビンビンとか言い出したので、たまらずサムは吹き出した。


「サムよ」

「あ、すみません、ぶっ、いえ、これは、違うんです」

「そなたもビンビンであるか?」

「――ぶはぁっ、って、飛び火しちゃったよ!」


 我慢できず吹き出したサムは、窘められると思いきや、ビンビン具合を尋ねられる始末。

 結局、またしても吹き出してしまった。


「な、なぜ、俺まで」


 困惑気味のサムに、フランシスが笑顔を向けた。


「サム、あなたのビンビン具合を知ることで、ステラとの仲を察したいのです。直接夜の生活はどうかと聞くのは、あなたも答え辛いでしょうし」

「……いえ、ビンビンかどうかを尋ねられた方が、答え辛いんですが」

「どうであるか? ビンビンであるか?」

「あー、ええ、まあ、若いですから」


 答えなければきっと話が進まないと諦めたサムが返事をすると、デライトは仲間でも見るような目で見つめてきて、クライドとフランシスはお互いに顔を見合わせて喜んだ。


「うむ、よいビンビンであるな。ちなみに、私も毎日ビンビンである」

「知らねーよ!」

「とくに、サムのおかげで責務から解放されたおかげでよりビンビンであり、持久力も増えた。全盛期よりもビンビンであるぞ!」

「だから知らねーって!」


 もう不敬とかどうでもよくなったので、突っ込みを入れるも、クライドは気にした様子もない。


(この人、レプシーから解放されて本当にはっちゃけているなぁ!)


 あのときのシリアスはどこに行ったのだろう、とサムは少し泣きたくなった。

 そのときだった。


「いい加減にしなさい!」


 このどうしょうもない会話に参加していなかったコーデリアが、激昂気味に声を荒らげた。

 王家にもまともな感性の人がいることに、サムはちょっとだけ安心する。

 しかし、


「デライトがビンビンであろうと認められません!」

「あんたもビンビンとか言い出しちゃうんだ! びっくりだよ!」

「お母様! デライト様のビンビン具合を心配したのはお母様ではありませんか! デライト様のビンビンが確認できたのですから、認めてください!」

「なにこのビンビン祭り? 俺か? 俺がこの流れを止めなきゃならない?」

「ええいっ、黙れレイチェル! ビンビンだとしても相手にされなければ意味がないであろう! 陛下だって、ビンビンのくせにフランシスばかりに構い、私を放置しているではないですか!」

「急に始まった、王家の夫婦事情に俺は動揺を隠せないよ! え、なにこれ、デライトさんとレイチェル様の話じゃないの!?」


 誰もがビンビンと言い始め、ついにはクライドたちの夫婦関係にまで話が発展してしまい、サムは困惑と動揺を隠せない。

 この話がちゃんと終着点に辿り着くのかさえ怪しくなった気がする。


「誰か、常識ある人を連れてくるべきだったなぁ」


 そんなことを愚痴るも、クライドたちの勢いに勝てそうな常識人が思い浮かばない。


「陛下は私のことなどどうでもいいのだ!」

「コーデリア、それはそなたの誤解である!」

「ならば、ならばどうして陛下はビンビンを私に向けないのですか! フランシスばかりにビンビンなのですか!」

「ねえ、コーデリア様、もっと言い方変えない? ねえ? 変えない?」


 残念なことに、サムの突っ込みはコーデリアはもちろん、クライドたちの耳に届かず、この不毛な言い争いは続いていくのだった。




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― 新着の感想 ―
[一言] 王家の深刻なシリアスブレイク化が特に関係ないサムを襲う。娘的には家の後ろ盾になれて溺愛止まらなそうな嫁さんがデライトの側に居れば婚期早まるし文句無いと思うのよね。
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