71「出産祝いです」①
「また、頭、痛い……」
シャルロッテが生まれた時と同じように、今回も男性陣の酒盛りとなった。
サムとしては子供たちについていたかったが、他ならぬ妻たちが父親たちと一緒に楽しんでと送り出したのでお言葉に甘えることにしたのだが、飲んで、潰れて、寝て起きて少し後悔している。
「……おはようございます、サム。楽しんでいたようですね」
「……おはよう、友也。あれ? 今回はいなかったよね」
「ええ、最近、ウォーカー伯爵家は来づらいんです。僕のラッキースケベは教育に悪いんじゃないかなと」
「えっと、まあ、うん。そうだね。でも、まだ分からないと思うよ」
「それでもです。僕がラッキースケベをした瞬間をもし赤ちゃんたちに見られていたとしましょう。無垢な瞳で何をしているの、みたいな感じになったら僕の繊細なハートは砕け散ります」
「友也のハートが繊細かどうかはさておき、お気遣いありがとうございます」
食堂で水を飲むサムは、友也の瞳にきらりと光る何かがあった気がしたが気づかないことにした。
「実は、僕も子供を取り上げた経験は何度もあるんです」
「そうなん?」
「はい。子供たちの面倒をみていた時期もありますからね。幸いにしてその時にはラッキースケべったりしなかったんですけどね」
「出産中のラッキースケベってどんなのだよ」
「その初ラッキースケベがサムの奥方になってしまったら大事件ですので、今回はノータッチだったんです」
「……本当にお気遣いありがとうございますっ」
妻が大変な時にラッキースケベされたらたまったものではない。
下手をしたら、ラッキースケベ大魔王対サムと義父たちという壮絶な戦いが始まっていた可能性もある。
友也の気遣いは、間違いなくみんなの幸せを救ったのだ。
「改めて、無事に子供が生まれたことおめでとうございます」
「どうもありがとうございます!」
「これは僕からささやかなプレゼントです」
「プレゼントって、そんな気遣いいいのに」
友也がテーブルに置いたのは小包だった。
「気持ちですから」
「どうもありがとう。えっと、開けてみていい?」
「もちろんです」
サムは小包を丁寧にあけた。
すると、包みの中には鍵が入っていた。
「……同棲の申し込みは俺にじゃなくてマクナマラおばさんに」
「そういうのはいいですから。この鍵は僕の別荘のひとつです。僕が長い時間をかけて集めた俗にいう宝と呼ばれるものがあいます。一部ではありますが、別荘と、土地、宝をサムに渡したい」
「ちょっと待って、さすがにそれはもらえないって!」
「いいんです。受け継ぐ者がいなければ死蔵されてしまいます。宝の中ではリーゼくんや水樹くんが喜びそうな魔剣もありますし、フランくんが喜びそうな魔法書もあります。他にも気に入ってくれるであろう宝があります。サムの子供に受け継がせてもいいですし、売り払って財産にしてくれても構いません」
「本当に、いいの?」
「大切な友に受け取って欲しいんです」
「――ありがとう。友也の気遣い、本当に嬉しいよ」




