2「追放系主人公ですか?」②
グレン侯爵が怒りを収め、貴族たちの動揺も静まった時、
「ま、待て! この追放は演技だったのか!?」
青い鎧に身を包んだ銀髪の美少女。準魔王ゾーイ・ストックウェルが叫んだ。
「……あれ? ゾーイは知らなかったんですか?」
詰襟を着た魔王遠藤友也が黒髪を揺らして尋ねる。
「知らん! これだから人間は、ともうこの国を見限ろうと思ったのだが、まさか演技だったとは! なぜ私には話が通っていないのだ!」
ゾーイが、射殺さんばあかりにクライドを睨む。
睨まれたクライドは臆することなく平然と言い放った。
「ゾーイは生真面目ゆえに演技ができないと思ったのである!」
「こ、この、この変態国王め! 叩き切ってくれる!」
クライドにはっきり言われたゾーイが、白い顔を真っ赤にした。
慌てて友也とボーウッドが割って入った。
「まあまあ! まあまあ!」
「ゾーイの姉御、落ち着いてくだせえ。殿中でさぁ!」
「私だけ仲間はずれにしおって!」
「グレン侯爵たちもゾーイと同じですよ。むしろ、事情を知らない人たちの方が多いんですから、気にしても仕方がありません!」
「だが!」
「余計な負担をかけないように、リーゼ殿たちも知らないのですよ。ゾーイもほら、婚約者じゃないですか。なので伝えなかったクライド陛下の配慮です」
「そうか……いや、納得しそうになったが、配慮があれば、この場に呼ばないだろう! 呼ぶならきちんと話を通せ! 報告、連絡、相談の重要性を知らんのか!」
ゾーイの叫びに、貴族たちは拍手した。
まったくもってその通りだ、と頷いている。
「う、うむ。よくないビンビンであったな、反省しよう! すまぬ!」
「……はぁ。なんというか、追放されただけで強くなるのなら、準魔王や魔王はいらんだろうに。そもそもなぜ追放すると強くなるのだ? 仕組みを教えて欲しいのだが」
「わからないである!」
「わからないのにやるな! 適当だな、貴様!」
「何事も初めの一歩は手探りなのである! サムが追放パワーアップしたら、宮廷魔法使いを全て追放予定であったが……残念だ。しかし、私は挫けない! 次に行こう!」
「行くな!」
剣こそ抜かなかったが、ゾーイは友也とボーウッドを振り払うと、クライドに飛び蹴りを放った。
■
――王宮の外にいるサミュエル・シャイトは、頭に雪を積もらせて寒さに耐えていた。
「俺、いつまで外にいればいいんだろう? 寒いし、寂しい。というか、こんなことで強くなるわけないじゃん! 追放系ってこういうのじゃないから!」
シリアス先輩「……やっぱりシリアスじゃなかった」




