1「追放系主人公ですか?」①
「ふむ。簡単に追放パワーアップはしないようであるな」
「陛下!」
「なんであるか、グレン侯爵」
顎を撫でながら、大きな声を出したグレン侯爵を見る。
グレン侯爵は、クライドの母の生家である。
そのため親交も深いのだが、今回のサム追放に関しては何も話をしていない。
「なんの茶番だかわかりませんが、ご説明を!」
「……そうであったな。その前に、サムよ」
「はい」
「とりあえず王宮から出ていくのである! 追放であるのに、きちんと外に出ていないのがまずいのであるかもしれぬ」
「……わ、わかりました」
サムは、一礼して再びいなくなった。
「陛下!」
「わかっているのである! ――サミュエル・シャイトはこれから戦いが待っている。貴殿たちにも話はしてあるが、神を名乗る者たちがこの世界を滅さんとしている」
「存じ上げています。サミュエル殿だけが戦わなければならないことに申し訳なく思っています。しかし、それと追放と何が関係あるのですか!」
「初代の残した文献から、追放された者がパワーアップする現象があるらしい」
「……まさかそれをサミュエル殿で実践しようとしたのですか!?」
「そうである!」
「なぜ我々に事前にお話をしてくださらなかったのでしょうか?」
「追放にならぬではないか」
「……そうかもしれませんが、サミュエル殿はご存知だったようですが」
「無論! 本当に追放することなどできぬので、きちんと話をしてある」
「じゃあ、追放にならないだろう! 本人が知っているのでは、私たちが知らずとも意味がないではないか!」
「――あ」
「こ、この、天然ボケビンビン陛下……」
グレン侯爵は拳を握りしめて震えた。
親しい貴族たちが、「まあまあ」と抑えていなければクライドを殴っていただろう。
肝が冷える思いをしたのだ。そのくらいは許されるはずだ。
グレン侯爵以外の話を聞かされていなかった貴族たちも、サムが追放されるわけではないことを知り、安堵していた。
その中には、サムに世話になった貴族も多い。
サミュエル・シャイトは気さくだ。
家族と家族ではないものという線引きが明確に引かれているが、善意には善意で返してくれる。
困っていると相談すれば、できる範囲で力になってくれる善人だ。
彼の強さは、モンスターの被害で困っている領地を救い、民の命も救われている。
毎年、モンスターや盗賊などの対策で大金が飛んでいく貴族も多いのだ。
そんな領地をサムは単独で救っている。
時々、竜の姉妹の過剰攻撃によって、地形が変わってしまったこともあったが、ご愛嬌だ。
もし、今回の追放が本当であれば、グレン侯爵をはじめ多くの貴族が陛下に異議を申し立てていただろう。
それこそ、国が割れるレベルで。
「……ふう」
グレン侯爵は大きく嘆息する。
良かれと思ったのであれば、悪意がないのであれば、我慢しよう。昔から、クライド・アイル・スカイはこうなのだから。
「――しかし、この蛮行を止める者はいなかったのですか?」
責めるようにジュラ公爵、ローガン・イグナーツ公爵、デライト・シナトラ宮廷魔法使い、ジョナサン・ウォーカー伯爵に視線を向けると、間違いなく事前に話を聞いていた面々はグレン侯爵の視線から逃れるように顔を背けた。
ビンビン陛下「では、次はハズレスキルを持っていたと設定して……」
シリアス先輩「あのさ、ちょっと言いにくいんだけど」
ビンビン陛下「ビン?」
シリアス先輩「そもそもサムは早い段階でラインバッハ男爵家を追放されているんだけど……追放って二回も三回も可能なの?」
ビンビン陛下「……」目逸らし
シリアス先輩「うぉい!」
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