114「ラッキースケベです」①
遠藤友也は震えた。
千年以上生きてきて、これほどの衝撃があっただろうか。
「――そんなことが許されるのですか!?」
――許されるのです。
――ラッキースケベに愛され、加護を得た者が辿り着いたステージにその力は待っています。
――長い旅になるでしょう。
――もしかしたら、魔族として長い時間を生きるあなたでも辿り着けないかもしれない。
――それでも目指しますか?
「もちろんです! 僕のことをラッキースケベ大魔王と呼んだ奴らに、ラッキースケベの鉄槌をお見舞いしてやりますとも!」
――素晴らしい。
――強い意志を感じます。
――とても私怨なのが良いですね。
「くけけけけけけけけけけけけ! いずれお前たちもラッキースケベる恐怖に怯えるといい!」
――魔王を通り越して何か邪悪な存在になりかけていますが、いいでしょう。
――些細な問題です。
――以上となりますが、何か質問はありますか?
「はい!」
――どうぞ。
「なぜ、今になってコンタクトを?」
――あなたがラッキースケベに歩み寄ったからです。
――サミュエル・シャイトの能力は、今でこそ無理ですが、いずれはラッキースケベを切り裂けるでしょう。
――虹の女神はラッキースケベを失ったらあなた自身に何かが起きるかもしれないと思っていますが、そんなことはありません。
――ラッキースケベは愛の力です。
――愛を拒絶されたからと、与えた愛を取り上げるようなことはしません。
「……今更、じゃあ斬ってもらえばよかった、とはいいませんよ」
――ありがとうございます。
――もうひとつ、あなたにコンタクトを取った理由を話しましょう。
――むしろ、これが一番の理由です。
「聞かせてください」
――神と戦うあなたへ力を貸したかったのです。
「――っ」
――ラッキースケベの暴走がなくなれば、無駄にしていた力がなくなります。
――つまり、あなたは今以上に強くなる。
――そして、ラッキースケベは神にも届くのです。
「なん、だと」
――神界でドヤ顔をして、なんでもできると奢っている奴らをぬっちゃぬっちゃにしてやるのです!
「あなたこそ、ちょっと私怨ありませんか?」
――そんなことはありません。
――おや。
――そろそろ時間のようです。
――名残惜しいですが、あなたは必要に常に寝てしまっていますね。
――起きる時間です。
「……一応、お礼を言っておきます。どうもありがとうございました」
――いいのです。
――私はずっと見守っていました。
――本当に息子のように思っています。
――どうか、神からこの世界を守り切り、幸せになってください。
「――はい」
――では、目覚めの時間です。
――いってらっしゃい。
「いってきます」
友也の瞼が重くなる。
夢の中で意識を失いそうになるという経験はない。
つまりこれは、現実世界で目覚めるのだろう。
――あ、そうそう。
――さっき叫んでもらった「ラッキースケベだいしゅき!」は現実世界でも叫んでいるのでよろしくお願いします。
意識が途切れると同時に、とんでもないことを聞かされた気がした。




