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110「覚醒の時間です、か?」③





 ――立ちなさい。

 ――立ち上がるのです、遠藤友也。

 ――まだ話は終わっていません。


「お願いします。このまま夢から覚めたい」


 ――駄目です。


 倒れて動く気力がなくなってしまった友也に対し、容赦がないラッキースケベの声。


「僕のラッキースケベが二割って、二割って、マジでどうするんですかこれ。十割になったらラッキースケベカーニバルとか始まっちゃうんですか?」


 ――おもしろそうですね。


「面白くねえよ! どんなカーニバルだよ! 自分で言ってあれだけど、そんなカーニバル嫌だよ!」


 ――では、ラッキースケベフェスティバルではいかがでしょうか?


「カーニバルをフェスティバルに変えたところで何の意味があるというんだ!?」


 結局、ラッキースケベなことが起きるだけで誰も得をしない。


 ――落ち着きなさい。

 ――我が息子よ。


「やめて! 息子とか言わないで!」


 ――マイ、サン。


「そうじゃねえよ! 異世界だからって何でもありだと思うなよ!」


 ――わがままな子ですね。


「僕が悪いみたいになってる!?」


 ――いいですか。

 ――ラッキースケベとは、愛です。


「嘘つけ。いい加減にしないとめっちゃくっちゃにすんぞ」


 ――私の姿を見ることができないあなたでは、できないでしょうね。


「声がさっきよりも弾んでいる! 絶対ドヤ顔しているだろう!」


 ――そんなことはいいのです。

 ――ラッキースケベについて少し、真面目に話をしましょう。


「……真面目に話ができないのはラッキースケベさんのせいだと思うんですけどね」


 そう言いながら、ラッキースケベからの提案を飲むしかない。

 友也も、なぜ自分にラッキースケベが宿っているのか興味がある。

 どうしてこんな体質なんだ、と何万回考えただろうか。

 涙で枕を濡らしたことがある。

 ラッキースケベのせいで前世では親から愛されず、ラッキースケベのせいで暴行されて死んだ。

 人生のすべてがラッキースケベに影響を受けていると言っても過言ではないのだ。

 そんなラッキースケベについて、何かわかることがあれば聞いてみたいと思う。


 ――ラッキースケベとは愛の力です。


 落ち着け。

 まだキレるには早い。

 友也は、体育座りをして深呼吸をする。


 ――不思議に思ったことはありませんか?


「何をでしょうか?」


 ――散々ラッキースケベをしたあなたが心から嫌悪されることはなかった。


「ありましたけど?」


 ――えっと、一部を除き嫌悪されることはなかった。

 ――もうしょうがないな、で済ませてくれる人もいたでしょう。


「ええ、確かにいましたね」


 ――それです。


「どれですか!?」


 ――あなたのラッキースケベは人を不幸にしない優しいラッキースケベです。


「……自分で言うのも何ですけど、不幸にした人はいると思いますよ。あとラッキースケベに優しいとか優しくねえとなかないから」


 つい苛立ちで口が悪くなってしまう。

 相手のペースに飲まれてはいけない。


 ――例えば前世で、ラッキースケベをした子に好意を持たれたこともあるでしょう。


「ええ、まあ。ですが、それは僕の顔がいいからでは?」


 ――ははっ。


「……お前、マジで一回姿見せろ! ぶん殴ってやる!」


 ラッキースケベに失笑されて、友也は我慢が限界を迎えた。






 実際、ラッキースケベで本当の意味で「不幸」になった人は少ないです。

 ラッキースケベを使って殺された敵は「不幸」だったかもしれませんが、ラッキースケベによって幸せになった人もいます。


 シリアス先輩「よく考えたら、ラッキースケベが会話できるなら、いずれ私もシリアスさんとして本文に降臨する日が来るんじゃ」



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