109「覚醒の時間です、か?」②
――さあ、仲直りの時間です。
「いえ、あの、言い直さなくても。そもそも僕はラッキースケベさんと仲違いしているつもりは……なんだよ、ラッキースケベさんって!」
姿が見えぬ声の主を「ラッキースケベさん」と呼んでみたものの、友也自身が意味がわからないと叫ぶ。
なぜラッキースケベに意思があるのか。
最初から意思があったのか、後天的に意思が生まれたのか、どちらなのかも気になる。
――私はずっと見守っていました。
――あなたのラッキースケベ具合に「まだまだ」と思うこともありました。
――時には、あなたのラッキースケベに失笑したことも、腹を抱えて笑ったこともあります。
「――――おい」
はっきりと笑っていたと言われたら、温厚な友也であっても怒りを覚える。
――私を使いこなせず、前世でも、今世でも辛い思いをしたことは承知しています。
――そのことに関しては、申し訳ないとも思います。
「謝ってくれるなら、まあ、そこまで文句を言うつもりは」
――私の力が強すぎることが本当に申し訳ない。
――あなたが使いこなせないとは思っていなかったので、本当に申し訳ないです。
「これ謝ってないですねぇ。むしろ、煽っていますねぇ」
――私としては、まだあなたがラッキースケベを使いこなせていないことが不満です。
「……使いこなせて何の意味が?」
――かつてあなたはラッキースケベを使い多くの敵を倒し、魔王に至りました。
「否定はしません。使えるものは何でも使わなければ生き残ることはできなかったのですから」
――責めているのではありません。
――ただ、私は不満なのです。
――あなたは、まだ、――本当のラッキースケベを知らない。
「やめて! 不穏な気配しかしないんですけど! 今のラッキースケベだけでも持て余しているのに、これ以上ラッキースケベが凄いことになったら大事件ですから!」
――安心してください。
「安心できる要素がねえよ!」
――あなたはラッキースケベを二割も使いこなせていないのです。
「二割、だと!? 二割でこんな酷い目に遭っているんですか!? 僕と被害者に謝ってください!」
――めんご。
「謝る気なくても、ちょっとくらい謝るふりをしたらどうだ!?」
――まあまあ。そんな血圧を上げないでください。
「お前のせいだよ! そ、それよりも! ラッキースケベがこれ以上、力を発揮したらどうなると言うのですか!?」
――そうですね。
――あなたが思う、酷いラッキースケベを想像してください。
「…………しましたけど」
――軽く、その十倍のラッキースケベが起きます。
ぱたん。
魔王遠藤友也はショックでその場に倒れた。




