108「覚醒の時間です、か?」①
それは、サミュエル・シャイトが一時的に帰宅し、ぎゅんぎゅんワインを飲んでしまった日比谷綾音と結ばれた日と同じ夜のことだった。
ベッドで静かに眠る魔王遠藤友也に語りかける謎の声があった。
――遠藤友也。
――遠藤友也よ。
「……う、ん?」
――遠藤友也。
「うう、ん」
名を呼ばれ、目を開けた友也は自分がベッドの上ではなく、満天の星空の下にいることに驚く。
「え、ちょ!? 久しぶりに寝ている間に転移しちゃったんですか!? ここどこですか!?」
異世界に来てから数えきれないほどやってしまった、転移ミスを想像し、友也は顔を青くする。
時には、半袖で極寒の地に転移してしまい死にそうになったこともある。
――落ち着きなさい、遠藤友也。
「誰だ!?」
女性の声が響いた。
中を見渡すが、誰もいない。
人の気配も、魔力も感じ取れない。
どこまでも続く草原と、星々が煌めく夜空が広がっているだけ。
――ここはあなたの夢の中です。
「夢って。ああ、なるほど、サムが経験したようになんらかの意思が僕にコンタクトをとりに来たんですね」
――話が早くて何よりです。
――私は、あなたの中に宿るラッキースケベの意思です。
「そんな馬鹿な!?」
想定外だった。
何がどうあれば、ラッキースケベの意思がコンタクトをとってくるのか理解ができない。
それ以前に、ラッキースケベに意思があるのか、とツッコミどころが多すぎる。
「待ってください待ってください待ってください! ちょっと、待って! 本当に待って!」
心臓が早鐘のように鳴る。
不安に押しつぶされそうになった。
「もしかして、僕にかつてない取り返しのつかない事が起きようとしているのでは!?」
ラッキースケベが意思を持ってコンタクトを取ってきた時点で嫌な予感しかしない。
どのような話があるのかわからないし、分かりたくないのだが、碌なことにならない自信だけはあった。
――落ち着きなさい。魔王遠藤友也。私はあなたのことをずっと見守ってきました。言わば、母親のような存在です。
「急に母親ヅラしないでくれます!?」
――わかります。反抗期ですね。
「いや、マジで。僕の胸に抱く感情を反抗期なんて三文字で片付けるのやめてくれませんかね!?」
――今日はあなたのために現れました。
「聞けよ!」
――しかし、まだ私の姿を見ることができるほどではないようですね。
「姿があるんだ!?」
――魔王遠藤友也。私の可愛い息子よ。
「だから! ねえ、ちょっとはお話し聞いてくれません!?」
――仲直りの時間です。
シリアス先輩(驚愕)「つ、ついに、サムくんがひとつ覚醒したように友也くんも覚醒するのかシリアスだ! シリアスすぎる! ――え? 本気でシリアスじゃね?」
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