97「降伏のようです」①
「……これで見せしめになればいいんだけど」
サムは、今も感じる視線に目を合わせて「次はお前たちだ」と小さく呟き指を刺す。
そして、首を斬る仕草をした。
シューレン魔法国の王都に近づく地方貴族たちが魔法を使って戦いを覗いていた。
もちろん、雑な魔法に気づかないわけがない。
気づいているからこそ、初手に「このくらいの距離ならば視認したら殺せる」と示し、接近されても「こうなる」と戦った。
もちろん、バインツに対しての敬意もあったが、戦いを利用させてもらった。
これでまだ戦おうというのであれば、よほど愚かか自信があるのかのどちらかだ。
ならば受けて立とう。
「お疲れ様です、サム」
「見事な一撃だったよ、サム」
友也とギュンターがサムに労いの言葉をかける。
グラインもサムに駆け寄ってきた。
「お見事だった、サミュエル殿。実力を疑ったわけではないが、この目で見ると……改めて凄まじい」
「バインツ殿は、できれはしっかり埋葬してあげてください」
「無論だ。コーレン公爵と共に、きちんとさせていただく。問題は……」
「他の貴族たちがどう出るか、ですね」
「おそらくだが、レイニー侯爵が私の弟と妹を立ててくるだろうな」
「ご兄弟ですか?」
「腹違いの、な。ただ、魔力はあり魔法も使えるが、王都に迎えられるほどではなかったようだ。俺も、いるのを知っているだけで顔を合わせたことはないからよくわからん」
面倒なことだ、と思う。
グラインは王子でありながら、王都の一角で母と慎ましく暮らしていた。
対して、腹違いの兄妹は侯爵家の庇護下にあったようだ。
すでに死人であるルルカス・シューレンは、何を考えていたのだろうか。
――きっと何も考えておらず、その時の感情で物事を決めていたのだろう。
「よう、サム。お疲れさん」
「デライトさん。お疲れ様です」
周辺の警戒をしていたデライトが、困った顔をしていた。
「朗報というべきか、なんというか。一定の距離をとって様子見していた貴族たちから使者がきやがった。降伏するってよ」
「いいことですよね?」
「いや、俺の経験で言わせてもらうと、さっきの公爵のように戦わずに降伏する奴らの方がタチが悪い。間違いなく、嫌な思いをするだろうし、揉めるぜ」
「……真正面から来ただけコーレン公爵たちはマシだったってことですか」
「そういうことだ。グライン殿」
デライトが、グラインに向く。
「最初に言っておくが、俺はスカイ王国の宮廷魔法使いだ」
「無論、存じ上げている」
「だからこそ、スカイ王国の害にしかならない貴族はここで殺させてもらおう」
「俺も今更、いいとこ取りをしようとする貴族を擁護したりしない。できることなら、全員殺したいくらいだ」
「ならいいさ。……お互いに嫌な役目だよな」
グラインの肩を叩き、デライトはどうしようもないと肩をすくめた。
「さあ、楽しい楽しい貴族との面会だ」
「うへぇ」
シリアス先輩「ふむ、シリアスか?」




