92「愚か者がいるそうです」②
ギュンターが結界を張ったことで、民に何かされる心配がなくなったことから、グラインの判断は早かった。
「この国は一度滅びるべきだ。その後に立て直そう。ならば、まず、膿を排除しなければならない」
そう宣言し、国に残った兵と共に迫り来る貴族たちを迎え撃つことを決めた。
すでに兵士たちと共に準備をしている。
グラインの生家に残ったサムたちは、自分たちがどうするべきか話をしていた。
「陛下、俺はいつでもいけますよ」
「――サム」
「シューレン魔法国の魔法王を殺したせいでこの国がこれ以上荒れるのを見たくありません。この国の人たちにはもう苦しんでほしくないんです」
「あい、わかった。そなたの意見を尊重しよう」
クライド・アイル・スカイがサムの前に立つ。
「スカイ王国国王として、宮廷魔法使いサミュエル・シャイトに命ずる」
「――はい」
「同盟国となったシューレン魔法国を害する者たちを、倒すのだ」
「承りました」
サムは膝をつき、恭しく礼をした。
そして、立ち上がる。
「すぐに終わらせてきます」
サムが出ていくと、デライトも続く。
「陛下、俺もちょっと働いてきます。一応とはいえサムは弟子ですからね。ひとりで戦わせるわけにはいきません」
「うむ。任せるのである」
「はい」
クライドが許可を出すと、デライトがお辞儀をして出ていく。
「では、僕も行ってきます」
「ラッキースケベを戦場にばら撒かれたら困るので、僕も行こうじゃないか」
友也とギュンターも後に続いた。
扉が閉まり、しん、とした部屋の中でジョナサンが震えた声を出した。
「……過剰戦力では?」
「うむ! こうきりっとした雰囲気だったので、ノリで送り出してしまったのである!」
真面目のように見えたが、クライドはいつものクライドだった。
「よかった。ゾーイ殿たちがこの場におらず。もしいたら、間違いなくサムと一緒に貴族討伐に向かっていただろう」
魔族である彼女たちをクライドが縛ることはできない。
一応は、スカイ王国に住まう者として、話は聞いてくれるが、彼女たちの決断は彼女たちの意思だ。
それは、竜である青牙、青樹も同じだ。
「……はぁ、胃が痛い。それにしても、シューレン魔法国の貴族は本当に愚かだ。あの程度の魔法使いを魔法王として崇め、恐れていた程度の奴らが、集まったところで何ができるというのだろうか」
魔法王が女神の加護を得ていないのであれば、グラインはもちろん、戦闘を得意とせず戦いから退いているローガン・イグナーツでも勝てただろう。
もちろん、ローガンが魔法の才能はもちろん、血の滲むような努力をしてきたことは、学生時代から親交のあるジョナサンはよく知っている。
それでも、相談役として政治を主とした活躍をするローガンは、戦えないわけでではないが、全盛期からはるかに劣る。
抜きん出た実力を持つグライン以外は、この国の魔法使いはローガンを相手にしても敗北するだろう。
問題は数だが、数を相手にしても余裕である火力を持つデライト、サムならばひとりで制圧、いや、殺害できるだろう。
「私は陛下の護衛なので戦場には行きませんが、万が一、王都に敵が現れたのであれば、灰にしましょう」
「うむ。頼りにしているのである」
ギュンターの結界が破られることはまずないとわかっているが、だからといって怠慢をするつもりはない。
万が一に備えておくのが、軍人だ。
シューレン魔法国が今後どうなっていくのか、ここで民に示すときだ。
今度の王は民を守り、前線で自ら戦う王であると知らしめなければならない。
(そのためにも、サムたちがやりすぎませんように)
陛下「うむ! 良きビンビンである!」
シリアス先輩「たまには違うこと言ってみ?」
陛下「ビン! ビンビンビンビンビン!」
シリアス先輩「ひぇっ」
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