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24「あとは丸投げです」①





 白銀の世界にギュンター・イグナーツがキラキラと汗を光らせていた。


「ほらほらー! サムー!」

「ちょ、いたい! つめたい!」


 投げられた雪玉はサムの顔面に直撃した。


「あはははは!」

「……ぶっ飛ばす!」

「追いかけてごらん! あははははは!」


 雪の上を走るギュンターをサムが全力で追いかける。

 悔しいが、じっとしているよりも走っているほうが暖かい。


「あらあら、まあまあ、ギュンター様もサム様も子供のようにおはしゃぎになって、微笑ましいですわ」

「……あれははしゃいでいるわけではないでしょう。ほら、捕まった。全力でぶん殴ってますよ?」

「変態はあのくらいじゃご褒美だろ」

「……ですね」


 友也、クリー、ウル、そしてメルシーはサムのアイテムボックスから薪をもらい、焚き火をしていた。

 火の上にやかんを置いて沸かしたお湯で紅茶を飲んで温まっている。

 メルシーはカロリーが足りていないようで、サムからもらった肉を焼いている。まだかな、まだかな、とよだれをダラダラ垂らしていた。


「……それにしても、変態魔王は王様たちの話に加わらなくていいのか?」

「ウルくん。基本的に、僕は人間の政治には関わりませんよ。スカイ王国で生活をするので少なからず力を貸すことはあるでしょうが、それだって自分の生活を快適にするためだけです」

「そんなもんか」

「言っておきますが、魔王である僕が使える力と権力をすべて使ったら、スカイ王国はさておき、スノーデン王国とオークニー王国なら潰せますし、乗っ取れますよ。他の魔王だって同じです。やっても利がないのでやらないだけです」

「よくわからんな。その割には、人間と魔族の交流を推しているじゃないか」

「そうですね、今更隠すことはないのですが、魔族と人間は「人」です。子供も作れますし、一緒に生活だってできる。しかし、大陸の東と西で分かれている。レプシーが大暴れしたことで行き来がしにくくなったのはありますが、それ以前からです」

「なんでだ?」

「僕たちが禁じていたんですよ。当時、一千年ほど前は人間は魔族を悪としていました。日比谷綾音を復活させようとしていた愚かな男の教えが強かったんです。魔族が全員強いわけじゃない。迫害され、逃げてきた者もいます。なので、人間の中に柔軟な国が現れるまで、交流を最低限にすることを決めたんです」

「で、今か」

「はい。今です。個人的にはスカイ王国のように柔軟すぎる国が現れるとは思いませんでしたけどね」


 友也は苦笑する。

 一方で、ウルは大きくため息をついた。


「こういうツッコミはサムの担当なんだが……まあいい」


 咳払いして彼女は続けた。


「私がスカイ王国を出奔した六年前は、良くも悪くも普通の国だったからな。悪徳貴族がいて、貴族同士の争いがあって、民が迷惑していた。今みたいに、ビンビンだ女体化だ男体化だひゃっはー、なんて喜んでいる国じゃなかったからな!」

「でしょうね!」

「かわらないのは、ギュンターくらいだ!」






 補足:処罰された悪徳貴族の大半が悪いことをたくさんしていたし、人を傷つけもいましたが、ビンビンではなかったです。

 だから王家と相容れなかった――と、後世で議論に上がるとか上がらないとか。

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