21「ゴレ子さんの変化です」①
数日ぶりに戻ってきたスノーデン王国は変わらず寒かった。
先日伺った王都よりも、雪と風が強く、身体が一瞬で氷になってしまったような感覚さえあった。
「さ、寒い」
「ぐるるる」
寒さな苦手なウルは、文字通り凍りそうになっている。
長いまつげが凍っているようにも見える。
あっという間に頭や肩に積もった雪を払うことさえしない。
サムのコートの中にいるメルシーは、がくがくと震えている。
防寒着をたくさん着せてあげたのだが、オークニー王国とスノーデン王国では寒さが比ではない。
寒い、とも言えないほどメルシーは寒さに震えていた。
かわいそうだったので、優しく抱きしめる。
「――サム、僕も寒いので」
「え? 背中に雪を入れてほしいって?」
「…………ふっ、そういうプレイが好きならお付き合いしようではないか!」
「ですって、クリーさん」
「まあまあ、ギュンター様ったら――さすがにこの寒さの中でのプレイは霜焼けを通り越して死んでしまうので我慢しましょうね」
「クリーママが真顔になる、だと!?」
お約束のようなイグナーツ夫婦のやり取りを耳にしながら、サムたちは周囲を見渡す。
白一色の世界の中に、木々が生えている。
「白樺かな?」
「かもしれませんね」
身体を摩りながら友也が同意する。
この世界に、地球と同じ植物が生えているのか不明だが、目の前に広がる木々の集まりが白樺であれば、燃料になるだろう。
「あとで利用できるか調べよう」
「そうですね。ところで、ゴレ子さんはどこに」
「あの個体を隠すことはできないと思うのですが」
「――ここだ」
幼い少女の声が聞こえた。
どこかで聞いたことがある声だ。
サムたちは、声がする方に視線を向けた。
そこには、白いワンピースだけを身につけた、褐色の肌を持つ幼い少女がいた。
「……まさか」
友也の声が震える。
「もしかして、ゴレ子さん?」
サムが尋ねると、少女は頷いた。
「――――――――」
サムと友也はもちろん、サムさに震えていたウルも、ギュンターとクリーでさえ言葉を失い口を開けていた。
オークニー王国とスノーデン王国の国境に存在していた大きな山々が、ゴーレムの長であるゴレ子だったはずだ。
しかし、目の前にいる少女は、人間に見える。
「本当にゴレ子さんなの?」
サムが恐る恐る問うと、少女はゆっくり頷いた。
「スノーデン王国の気候を安定させるため、今までの身体は脱いで、再構築した。人々と触れ合うことができるように、ちゃんと人にした」
「そんなことできるの!?」




