49「ぶっ飛ばす相手を見つけました」②
バーブリン公爵は、わかりやすい人間だった。
「き、貴様! この私を! スノーデン王国の新たな王となる、この私の屋敷に襲撃をかけるとは万死に値する!」
「うっせえ!」
「ひぶっ!?」
サムとウル、そして友也はバーザロフ公爵家から早々に、バーブリン公爵家に襲撃をかけていた。
タイミングもよく、バーブリン公爵家には、新たな王の誕生を祝う貴族たちが集まっていたのだ。
護衛として連れてきていた兵も騎士もすべてサムとウルによって叩きのめされ、友也によってラッキースケベられたため、動けるものはいない。
使用人たちも、公爵や他貴族に思うことはあるのだろう。
盾になって守ろうとする者は皆無だった。
「てめえがくだらねえこと企むから、私たちはこの寒い国に戻ってきたんだぞ! しかも、雑魚ばかりで鬱憤がたまる!」
「し、しらな」
「知らないじゃねえぇえええええええ!」
ウルは溜まりに溜まったフラストレーションを発散しようと、バーブリン公爵に馬乗りになって殴り続けていた。
手加減こそしているが、いくら少女の拳とはいえ無抵抗で何度も殴られてると痛いし、骨も折れる。
サムはウルを止めようとしたが、邪魔をすると自分が殴られそうだったので気が済むまでさせておくことにした。
さすがにウルも、バーブリン公爵を殺しはしないだろう。
「……サム、お待たせしました。貴族たちは一家族ずつ部屋に閉じ込め施錠しました」
衣服が着崩れて肌を露出させた友也が息を切らせて戻ってくる。
「どうして部屋に閉じ込めるだけなのにラッキースケベるのかな?」
「そんなの僕が知りませんよ! ギュンターくんの結界術って本当に生きてます!? 知らない間に、解かれていませんよね!?」
「試してみようか?」
友也の返事を待たずにサムは拳を顔面に叩き込む。
しかし、皮一枚で硬い結界に覆われており、拳は友也に届いていない。
悪意も敵意もなく、呼吸するように拳を放ったというのにきちんと結界は作用した。
「――ちっ。嫌になる程優秀な結界だよね」
サムも結界術を使えるようになってきたが、ギュンターと同等のことをしろと言われたら無理だと断言するだろう。
クライドの結界術にだって及ばない。
やはり自分は守るよりも攻撃する方が性に合っていると、自覚する。
「結界があるのにどうして……」
嘆く友也に、サムは今まで考えていたのだが、怖くて言えなかったことを言ってみることにした。
「あ、あのさ、もしかしてだけど、友也のラッキースケベがギュンターの結界を上回ったんじゃないかな?」
「――なん、ですって?」
信じられない、という顔をした友也はその場に崩れ落ちた。
しくしくと泣き始める友也を慰めるため、サムは元気付けようと声をかけた。
「ラッキースケベも成長しているってことだよ」
「嬉しくないですから!」




