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46「降伏を勧めます」





 上空から急降下したサムとウルは、魔力を纏い全力で着地した。


「うわぁああああああああああああああああああああああ!?」


 ふたりが着地した場所は、公爵家の屋敷の庭だった。

 轟音と衝撃波が目を地走らせて戦う兵士たちを吹き飛ばす。

 地面に背中から倒れる者、吹き飛んで木に引っかかる者、壁に激突する者と、被害は多数だ。


「ふぅ。ちょっと寒いな。――サム」

「はいよ」


 サムが指を鳴らすと、雪と強い風が結界によって遮断された。


「い、意外と魔力使うな」


 屋敷を覆うように結界を張ったサムは、想像以上に魔力を消費したことに驚いている。

 敵の攻撃を防ぐよりも、常に吹き続く大雪を遮る方が大変だった。

 自然の力というのは、人間が想像するよりもずっと強かった。


「ば、馬鹿な、スノーデン王国の吹雪を……」


 近くにいた兵士がサムの結界に驚きを隠せずにいた。


「うるせえ!」

「げふっ」


 しかし、そんな兵士など知ったことではないと、ウルが顎を蹴り飛ばした。


「ウルぅ」

「まだ私が名乗ってねえだろう!」


 魔力を高め、犬歯を剥き出しにしたウルが、スノーデン王国に轟くような大声を出した。


「私の名は、ウルリーケ・ウォーカー・ファレル! この国を滅ぼす者だ!」

「……滅ぼしたらだめなんだけどなー」

「まったくです。まあ、すでに半分くらい滅びたような国ですがね」


 ふたりに遅れて、友也も地面に降り立った。


「綺麗に滅ぼせる時に滅ぼした方がいいんだよ! 私は、生まれ変わった異世界でいくつもの国を滅ぼしたぞ!」

「――魔王より魔王じゃん! この世界の魔王なんて一番やべー奴がラッキースケベるだけだし、ウルの方がよほど魔王じゃん!」

「……いえ、僕は別にラッキースケベ以外もたくさんしているんですが」


 ウルの異世界での日々は、とても殺伐としていたようだ。

 友也は少し涙を浮かべているが、完全に否定はできないようだった。


「お前ら兵士が戦っている理由なんぞ知らん! だが、私は優しいから選ばせてやる! ――私に挑んで死ぬか、降伏するか、だ!」

「もう言動が魔王! 魔王の中の魔王! 魔王の皆さんだってもっと温厚だしフレンドリーだよ!?」


 サムがウルに突っ込みながら、少し懐かしむ。

 四年間の修行時代、悪徳領主や悪徳貴族を見つけては乗り込んで成敗していた。

 いつだって、今日のように襲撃して、堂々と口上を述べ、やりたい放題だった。

 最初こそドン引きだったサムも、途中で一緒になって大暴れてしていたのはご愛嬌だ。


「――どうする?」


 最後通告だとばかりに、ウルが低い声を出す。

 意識を失っていなかった兵たちは、憑き物が落ちたように静かになり、それぞれ武器を手放した。


「なんだ、戦わないのか? だが、いい判断だ」


 にいっ、と笑うウルは、サムにとっては可愛らしかったが、きっと兵士たちにとってはさぞ恐ろしいだろう。


「――無駄な命を散らさず戦いを止めたので良しとしましょう」

「……だね」





 兵士さんたちは英断です!

 最初の衝撃波で兵士さんたちは大ダメージでした。


 〜〜宣伝させてください!〜〜

 「ブシロードノベルス」様より「異世界から帰還したら地球もかなりファンタジーでした。あと、負けヒロインどもこっち見んな。 」が発売となりました!

 異世界帰りの主人公由良夏樹が勇者の力を持ってして現代日本で神や魔族を相手に暴れまくるお話です。ぜひお盆休みの読書にお読みいただけますと幸いです。


 ――そして、『コミカライズ』進行中ですのでお楽しみに!!!


 何卒よろしくお願いいたします!

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