43「スノーデン王国再びです」①
「よっと」
朝食も取らずに、防寒着を身につけてスノーデン王国の地に再び転移したのは、サミュエル・シャイトだった。
他にも、魔王遠藤友也、ウルリーケ・ウォーカー・ファレル、そして、サムの祖父であるカリアン・ショーンもいる。
「……まさか、話では聞いていましたが、本当に王宮がなくなっているとは……」
最後に、更地になった王宮跡を見て愕然としているのは、スレイマン・スノーデン第一王子だ。
軟禁されながらも、比較的元気であったスレイマンは、祖国の貴族が愚かなことをはじめたことを恥じ、頭を下げて同行を願った。
最初こそ渋った友也だったが、グレゴリー・スノーデン国王からも頭を下げられてしまい、渋々だが、受け入れた。
そんなスレイマンの護衛であり補佐として、カリアンが同行してくれたのだ。
「さあ! クソッタレな国のクソ貴族どもを皆殺しにしようぜ!」
やる気満々なのは、いうまでもなくウルだ。
彼女は、戦神と戦い消耗していたが、よく食べ、よく眠り、元気いっぱいになっている。
ありえないことだが、再び戦神が現れても嬉々として戦うだろう。
「……神が降臨したと聞き、半信半疑であったが……このような光景を見せられては信じるほかあるまい」
(戦神が降臨するよりも前に、半壊だったんだけど……あいつのせいにできるから黙っておこう)
サムは、戦神に責任を押し付けることにした。
「まったく、戦神も貴族どもを殺すとかサービスがあってもよかったんじゃないか。王宮が亡くなって三日でもう権力争いって、ひっどい国だな。王族を探すとか、普通するだろ」
文句を言うのはウルだった。
サムも同意し頷く。
「……この国の貴族を擁護するわけではありませんが、どこを探せばいいのかわらないというのもあるでしょうね」
カリアンも苦笑気味だ。
王宮跡の更地は、戦いの傷跡が生々しく残っている。
サムの「全てを斬り裂く者」が斬り裂いたのは戦神だけではなく、地面もだ。
事情を知らぬものは近づきたくもないだろう。
「……みなさん、あちらを見てください」
友也が何かに気づき、指差す。
サムたちが彼の示す方を見て、息を呑んだ。
「……相当酷い目に遭ったな」
「ですね」
王宮跡に、泥まみれのドレスを纏った女性が倒れていた。
近づかなくとも息がないことはわかる。
その証拠に、彼女の手足はあらぬ方にへし折られ、背中には無数の刃物が刺さっていた。
「……アリョーシャ! 憎き仇!」
スレイマンの叫び声で、彼女が何者かわかった。
アリョーシャ・スノーデン。
グレゴリー・スノーデンに毒を盛り、スレイマンとリーリヤを幽閉したネイモン・スノーデンの母である。
とくに、リーリヤ王妃を憎んでいたこともあり、王族を地下牢に閉じ込めるという非道なことをした。
リーリヤ王妃救出時に、気絶させて放置されていたことは聞いていたが、その後、どうなったのかまでは知らなかった。
「……金品はすべて奪われているな」
亡骸に近づいたサムは、目を背けたくなった。
指輪を無理やり奪おうとしたのか、指が折れておかしな方向にむいている。
腕輪やネックレスも同様に奪われたのだろう。肌に裂傷がある。
他にも繰り返し暴行を受けたのだろう。顔は腫れ上がり、四肢は折れている。
衣服の下ももっと酷いことになっているだろう。
そして、最後には刺し殺されていることから、死ぬまでいた振られたのだ。
誰がやったかまでは知らぬが、よほど恨まれていたのだろう。
「……死んでしまえば、みんな同じだ」
ウルは炎を腕に宿し、アリョーシャに放った。
一瞬で灰になった亡骸が、風に揺られて舞う。
悪人であろうと、死んだ者になにかをいうことはせず、サムたちはただ見送った。
スレイマンは納得できない顔をしていたが、それでも最低限の礼を持ってアリョーシャの亡骸を見送るのだった。
放置されたアリョーシャさんの結末です。
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異世界帰りの主人公由良夏樹が勇者の力を持ってして現代日本で神や魔族を相手に暴れまくるお話です。ぜひお盆休みの読書にお読みいただけますと幸いです。
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