42「貴族たちがやらかしたようです」
サムとゾーイは普段着に着替え腕を組んで部屋から出た。
どことなく甘い雰囲気がふたりから漂っている。
「――おはようございます、サ……ム?」
廊下を歩いていると、魔王遠藤友也と鉢合わせる。
彼はいつも通りの詰襟姿だ。
「おはよう、友也」
「おはよう、ラッキースケベ大魔王」
「……ちゃんと名前で呼んでくださいよ。それにしても……サムに用事があったのですが、まさか……」
急に友也が涙ぐむ。
ハンカチを取り出し、目元を拭う。
「どうしたの、友也?」
「頭でも打ったのか?」
「いえ……妹のように思っていたゾーイがサムとついに結ばれたと思うと、僕もこう感慨深いものがあるといいますか……今夜はお祝いですね。お赤飯炊きます!」
「ええいっ、誤解するな! 祝うな!」
友也の言葉の意味を理解したゾーイが、顔を真っ赤にして友也に蹴りを入れた。
「ええいっ、変な邪推をするな! サムと私は清い関係だ! 仲良くベッドで眠っただけだ!」
「……おっと、それは失礼しました。では、残念会を」
「残念会ってなんだ!? 別に残念なことはなかったぞ! ええい、慈しんだ目で見るな! この勘違いラッキースケベ大魔王め!」
げしげしっ、と何度もゾーイが友也の足を蹴るが、彼はさほど痛みを感じていないようでけろっとしている。
「はぁ……それで、友也は俺に用事だったみたいだけど、どうしたの?」
「ふたりの時間を邪魔してしまって申し訳ありません。ただ、少々面倒なことになったので、力を借りようと思いまして」
「面倒なことって、なに?」
「まさかとは思うが、スノーデン王国でまたなにかあったわけじゃないだろうな?」
首を傾げるサムとゾーイだったが、友也の顔が気まずそうになった。
まさか、と、サムとゾーイが顔を見合わせる。
「僕もあの国の貴族が、これほど愚かだとは思いませんでした。正直、もう放っておいていいんじゃないかって考え始めています」
「聞くのが怖いけど、一応……何が起きたの?」
サムが尋ねると、友也は頭痛を覚えたような顔をして告げた。
「王宮がなくなったことで、王位争いがはじまりました」
「はぁあああああああああああああああ!?」
「……なんと愚かな。王宮が戦神に破壊されてまだ三日目だろう? もう貴族たちが争っているというのか?」
「残念ながら、そうです。部下に見張らせていたのですが、探してもいないのに王族は死んだので新たな王になるのは自分たちだ、と生き残っていた貴族たちが騒ぎ始めましてね。器用なことに、お行儀の悪い民を集めて寄せ集めの兵にしています」
「うわぁ」
「すでに死者も出ているようですね。不幸中の幸いというべきか、保護しようと考えている他の女子供たちは、僕の部下が騒動から遠ざけているので巻き込まれてはいませんが、早急に救出する必要があります」
「わかった。いこう」
「――サム!?」
サムは友也と共にスノーデン王国に再び行くことを決めた。
不満を抱くのは、ゾーイだ。
「くだらぬ争いしかしない人間など放っておけ」
「そりゃそうだけどさ、巻き込まれる子供たちだけでも、助けてあげたいかなって」
「……お前は……甘いな。そんなところが愛しく思うが……少しもどかしい」
「ごめんね」
ゾーイの気持ちに感謝し、サムは謝罪した。
「すみません、サム、ゾーイ」
友也も巻き込んでしまうことを謝罪するのだった。
――そして、二度目のスノーデン王国に向かうこととなった。
今回のスノーデン王国の件はさくっと割る予定です。
当たり前ですが、貴族は全員ぶっ飛ばします(柔らかな表現)。
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