59「ゾーイさんが引きこもりました」①
魔法少女お披露目パーティーの翌日。
やけ酒を煽ったせいで二日酔い気味のサムは、レモンが入った水をごくごく飲むと、ベッドから起き上がった。
「……悪夢のような時間だった。夢にも出てきたんですけど」
着替えをしながら、サムは大きく嘆息する。
夢の中では、サムたち魔法少女たちが、スカイ王国王都から現れた大怪獣と戦っていた。
友情、愛情、そして目覚める力。バージョンアップする衣装。力が増して衣装がチェンジする度、布面積が少なくなっていった。
夢の中で意識があったサムは、「いや斬れよ」とかツッコミを続けていたので、眠っていたはずなのに、疲れがまるで取れていない。
「……着替え終わって気づいたんだけど、俺は魔法少女の格好で帰宅したんだね。リーゼたちに見られていないことを祈ろう。あとやけ酒もやめよう。お酒は嗜む程度が一番です」
身だしなみを整えると、家族が集まる食堂に向かう。
「おはようございます」
「……おはよう、サム。昨晩は素敵だったわ」
「――んん?」
朝の挨拶と共に、頬を赤らめてうっとりしているリーゼに、サムは首を傾げた。
「おはようございます、サム様。まさかサム様があんなことを……思い出しただけで、私は……ぽっ」
「ステラ……え? なにその反応?」
ステラも熱い視線を向けてくる。
「おはようございます、サム様。昨晩のことは、アリシア絶対に忘れませんわ」
「アリシアまで」
アリシアも熱い吐息を吐いて、頬を赤く染めている。
(……俺は昨日帰ってきてから何をしたんだ?)
「サムくん。昨晩は素晴らしかったけど、ほどほどにね」
「フラン?」
「刺激が強すぎるわ」
眼鏡を光らせたフランがお茶を飲みながら、ちらちらサムを見ていた。
「……そ、そうだよ、サム。ほどほどにね」
「水樹まで」
水樹に至っては、目を合わせてくれなかった。
「サム」
「花蓮?」
じっとこちらを見つめていた花蓮は親指をぐっと立てて頷いた。
「どう言う意味!?」
自分は一体なにをしてしまったんだろう、と気にはなるが怖くて聞けなかった。
サムは話題を変えるように、まだ揃っていないウルやゾーイたちのことを尋ねる。
「えっと、他のみんなは?」
返事をしてくれたのはリーゼだった。
「ウルお姉様は、ファレル家の皆様と一緒にご食事をしています。エリカもサリナス家の皆様と一緒です。レプシー様たちはお父様たちとご一緒に。そしてゾーイですが……」
「ゾーイに何かあったの?」
「お部屋に引きこもり中です」
「ゾーイさん!?」
きっと魔法少女になってしまったのがショックだったのだろう。
サムはあとで慰めに行こうと決めた。
サムはなにをしたんだろう!?
次回、ゾーイさん。
ちなみに、オフェーリアさんはお仕事で領地にいます。
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