表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/16

2.知り合いの神に頼んでみよう

「──と、いうわけだ」


「なにが、というわけなのよ⋯⋯百年ぶりに会いに来るって言うから何かと思えば⋯⋯」


 俺が人間になろうとする経緯を一通り話すと、彼女は呆れ声で呻いた。


 今、俺がお邪魔している彼女の住まいは、『ある世界観』の影響が強く、そこの住人がよく建てているような、石材を積み上げた灰色の屋敷だ。


 ただ、俺たちがいる部屋の中には、機械文明世界で「液晶モニター」と呼ばれる映像装置を、彼女が模して具現化したものが大量に置かれている。

 液晶モニターの画面には、彼女が担当する世界各地の映像が映し出され、監視──専門用語で言うとモニタリング──している。


 そのため内装は、石造りのちょっと原始的な建物と調和してる、とは言い難い。

 ま、俺の住まいも似たようなものだけど。


 液晶モニターに映る彼女の世界は、ここと同じく『ある世界観』の影響下にあるのがわかる。


 俺たちは人間から「神」と呼ばれ、人間の文化に「宗教」という形で影響を与える存在だが、実は俺たち「神」自身も、人間の生活や文化にすごく影響を受けている。


 「神」たちは、存在として非常に強力で安定しすぎていて、環境に適応する努力を怠る傾向が強い。

 そもそも環境そのものを、自分の都合に合わせて変化させられるんだから、どうしてもそうなる。


 人間は逆に生存のためや、生活を便利にするため、発明や努力をして環境に適応しようとするからな。

 彼らを見てると「その発想はなかった」みたいなことが結構ある。


 もちろん、人間の生活なんてほとんど見てない奴、見ても変なプライドで頑なに真似しない神も多いけど、俺やヘレネは人間の影響を結構ストレートに受けてる派。


 そういった点でも、彼女には今回の頼み事をしやすい。


 まあ、頼みごとした相手は、現在前向きには見えないが。


「人間として転生してみたいってのはわかったけどさぁ。自分の世界でやりなさいよ、そういうのは。わざわざ私の世界でやらなくてもよくない?」


「いや、自分の世界だと隅ずみまで知ってるからな、驚きがない。せっかく人間として転生するなら、やっぱり新鮮さ、みたいなのが欲しい。ゲームでもほら、俺たち『ネタバレ』する奴は神罰与えたくなる派じゃん?」


 ゲームってのは、俺たちとは別の神が担当する世界で、人間たちが発明した娯楽だ。


 他の神はあまり興味がないようだが、俺とヘレネはお互いゲーム好きで、その世界から取り寄せて楽しんでいるのだ。

 もちろん神の能力なら、ゲームをプレイしてなくても事前に内容を知ることは可能だが、そんな野暮な真似はしない。


 一度、警告を与えたにもかかわらずネタバレしやがった神を、その世界もろともヘレネと協力して滅ぼした事さえある。


 ひどいって?


 そいつは推理もので、犯人バラすという暴挙に出たのだ。

 妥当すぎる処置だ。


 ま、神自体は滅ぼしたところでそのうち復活するけど、一から世界創るのは結構面倒なので、それなりにアイツも懲りたハズだ。


「んー。それはわかるけど⋯⋯やっぱりダメ」


「なぜだ?」


 かたくなに反対するヘレネ。

 ──理由をいちいち聞き出すのは面倒なので、ちょちょいと相手の心を読み、理由を探る。

 

 ほほう⋯⋯ひとりで納得し、理由を口にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
その他の作品連載中です!
是非こちらもご一読を!

騙されてSクラス冒険者になった田舎者、めちゃくちゃ適性があった ~農閑期の英雄~

その他の連載作品もよろしくお願いします!

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ