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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

痴女から始まる恋物語

作者: ピッチョン


 私が学校へ行くのに朝乗っている電車には、とても綺麗な人がいる。

 背中まで伸びた艶やかな黒髪、切れ長の目にすっと通った鼻筋、可愛らしい桃色の唇。他校の紺色のブレザーに身を包んだその女の人は流麗という言葉が服を着ているかのような容貌だった。年齢は私と同じ高二か、もしくは高三か。いつもドア横に立ち、カバンを肩に掛けて単語帳や参考書などを黙読している。

 学生が電車内で勉強をする光景なんて珍しくないけど、何故か私はその人の姿が他とは違って見えた。気品とでも言うのか、立ち姿からなんかこう(みやび)なオーラみたいなものを感じたのだ。まぁ単に綺麗だったから目を引かれただけかもしれないけど。

 私はその名前も知らない女子生徒のことを内心で『黒髪さん』と呼んでいる。日本人はだいたい黒髪だろと言われそうだけど、それほどに私が今まで見た中で一番綺麗な黒髪だったのだ。私自身の髪が天然パーマが入ってるので自然なストレートの髪が羨ましいというのもある。交換してくれるなら是非ともして欲しいくらい。

 黒髪さんを見つけた日から私はずっと黒髪さんと同じ車両の同じ場所に乗るようになった。黒髪さんの視界から外れた場所に陣取り、スマホをいじりながらときどき黒髪さんを盗み見ては癒される。そうした朝の日課はひそかな楽しみでもあった。目の保養は心の保養。黒髪さんと会えるから憂鬱な登校も楽しい登校へと変わる。

 黒髪さんはどんな人なんだろう。勉強できそうな感じだけどもう進学先は決めてるんだろうか。部活は、趣味は、好きなドラマは……聞いてみたいことはたくさんあったけど、実際に話しかけるようなことはしなかった。だって急に電車の中で話しかけてくるような人間なんて怖いでしょ? いくら毎日同じ電車だからって相手が私のことを知っているとは限らない。突然話しかけても変に思われないのはお年寄りか大阪のおばちゃんくらいなもんだ。残念ながら私はどっちでもない。

 でもたとえ話はしなくても私には問題なかった。眺めてあれこれ想像するだけで十分楽しい。実際に話してみてイメージが壊されるのも嫌だし、むしろずっと眺めている方が気が楽だ。


 ある日の朝、いつものように電車に乗っていたとき車両が大きく揺れた。ちょうどスマホを操作しながら黒髪さんを見ていた私はタイミング悪く吊り革も手摺りにも掴まっていなかった。

(あ、わ、わっ!)

 咄嗟に伸ばした手は手摺りを掴みそこねた。周囲が混みあっていれば人に持たれかかるだけで済んだのだがまだそこまで人が乗り込んできてはおらず、私はそのまま前側にバランスを崩した。

(こけ、る――)

 倒れ掛けた私の体は、しかし転んでしまう前に横から伸びてきた腕が支えてくれた。私を助けてくれたのは誰であろう黒髪さんだった。片手に単語帳を握ったまま前のめりになった私に優しく声を掛ける。

「大丈夫ですか?」

 見た目に合った澄んだ声音(こわね)。私はすぐさま体勢を戻してお礼を口にする。

「だ、大丈夫ですっ、すみません!」

 こけかけたことが恥ずかしすぎて黒髪さんと目を合わせることが出来なかった。

 ぺこぺこと頭を下げてから私は何事もなかったかのようにスマホを触り始める。適当にニュースを開いてみたけど案の定まったく内容は頭に入ってこない。私の体に触れた黒髪さんの手の感触や初めて聞いた声のことで私の頭はいっぱいだった。

(めちゃめちゃ恥ずかしかったけどお陰で黒髪さんと話せちゃった。ちょっと柑橘系の匂いがしたんだけどオーデコロンかな? どこの使ってるんだろ)

 恥ずかしさよりも黒髪さんと交流できたことの方が嬉しくて、朝から幸せな気持ちになった。

 これで顔も覚えてくれたかもしれないし、もしかしたら今後これをきっかけに仲良くなれたりするかもしれない。

 ありえないと分かっていても考えるのは自由だ。黒髪さんと一緒に話したり遊んだりする光景をひとりで妄想し、にやついた口を手で隠した。



 それから数日経った朝、電車の遅延のせいで車両内は私が乗るときから混み合っていた。私はリュックを前に抱え、人の隙間に体をねじこんでなるべく奥に進んでいく。入り口の近くだともみくちゃにされるので出来れば吊り革の並んでいる通路の方へ行きたい。

 さすがに今日は黒髪さんにの顔は見られないよね、とひとりで悲しんでいたとき、目の前に黒髪さんが現れた。

 黒髪さんも私と同じように通路側へ避難したのだろう。混んでいるからか単語帳などで勉強はしておらず、カバンを両手で持って足元にぶらさげていた。私は黒髪さんと会えた嬉しさよりも不意の遭遇で驚いてしまい思わず顔をまじまじと見つめてしまった。そのせいで黒髪さんとばっちり目が合うはめになった。

(しまっ――)

 慌てて私は顔を背けて体の向きを変えた。私の顔を覚えているかは分からないけど、この距離で目が合うのは不審すぎる。しかし離れようにも人が多くて戻ることも出来ない。結局私は黒髪さんと密着するくらいのすぐ隣で立つことになった。

 気付かれないようにゆっくり深呼吸をして心を落ち着かせる。けれど電車の発車やブレーキのときに黒髪さんの腕とぶつかるたびに大きく心臓が跳ねた。吊り革か手摺りを持ちたかったが、私の背と腕の長さではどちらも満足に掴めそうにない。いや、むしろこれはプラスに考えよう。合法的に黒髪さんの体に触れられるのならそれでいいじゃないか。私が悪いんじゃなくて満員電車が悪いんだ。

 完全に思考回路が犯罪者寄りになっていたのに気付いて胸中で頭を振る。

 ……待て待て。故意じゃなくても体が触れ合って喜ぶというのはマズい。世の中には揺れに乗じて胸やお尻を触ったりする未必の故意的な痴漢をする輩もいるらしい。そういう人達と私が同レベルになるのはごめんだ。

 邪まな心を律しようと意気込んだとき、リュックを抱えていた私の左手の甲に何かが当たった。それは手の表面を撫でるように細かく動きだした。

(え、なに? まさか本物の痴漢? でも痴漢なら普通お尻とかじゃないの? されたことないから知らないけど。まぁたまたま誰かの手かカバンが当たってるだけってオチでしょ。位置的に黒髪さんっぽいし)

 ちらと左手を見下ろしてみる。予想どおり黒髪さんの右手が私の方に伸びていた。……伸びていた?

 さっきまでカバンを両手で持っていたはずの黒髪さんの手がなんでここにあるんだろう。

 疑問に思ったがとりあえず私は手の位置をずらして黒髪さんと当たらないようにした。ずっと手を当てていて痴漢もとい痴女に間違われても困る。

 しかし少しすると再び私の手に黒髪さんの手が当たった。またかと思いさらに手を逃がすが、すぐに黒髪さんの手が私と当たってしまう。

 さすがにこれはおかしい。

 気付いていないということはないだろう。なら黒髪さんがわざとやっているのか、それとも本当に偶然で気にしていないだけなのか。

 私は視線を黒髪さんの腕から辿るように上げていく。そのまま顔を窺うと、黒髪さんが私を見てにこりと微笑んだ。条件反射で私も愛想笑いを返した。

(いやいや笑い返してどうすんの。……これ聞いた方がいいのかな。でも人が多くて声かけづらいし――)

 私の思考はふいに中断させられた。何を思ったか黒髪さんが私の手に自分の手を重ねてきたのだ。

(ひぁ!?)

 黒髪さんは私の指の間に指を滑り込ませ、ゆっくりと動かし始めた。柔らかくあたたかい手のひらと細くなめらかな指が私の手の甲を、指の間をさすっていく。

(え、え? 黒髪さん何やってんの!?)

 思わず黒髪さんに困惑の視線を向けるが、黒髪さんは温和に微笑み返すばかりで手の動きを止めようとしない。私の指の形を確かめるように一本一本指で挟み、上下になぞっていく。

 指先を(こす)られて痺れるようなくすぐったさが襲ってきた。意識を左手に集中すればするほどその痺れは増していき左腕から脳へとのぼっていく。

「――っ」

 声が出そうになって唇を噛んで抑えた。ただ触られているだけなのに左手が異様に熱い。

(だめ……やめてもらわなきゃ)

 学校最寄りの駅までまだ20分以上かかる。それまでずっとこの調子では耐えられそうにない。

 電車が途中の駅に停車した。よろけないように踏ん張ってから黒髪さんに向き直る。

「ぁ、あの……」

 口を開きかけたとき、電車に乗り込んできた人の波に押されて正面から黒髪さんにぶつかってしまった。

 幸か不幸か互いに荷物を体の前側で持っていたので完全に密着はしなかったが、それでも顔は目と鼻の先ほどの距離。

「す、すみません」

 私が小声で謝ると黒髪さんはリュックの下で私の手をきゅっと握った。

「大丈夫ですよ」

 優しい囁き声が耳に届いた。

 私は目を合わせることも出来ずにひたすら体を固くして黒髪さんの襟元を見つめていた。

 かすかに香るオーデコロンの柑橘系の匂い。黒髪さんの息が顔にかかる。体温まで伝わってきそうだ。私の五感のすべてが黒髪さんに埋め尽くされていくように錯覚する。手のひらや指先を弄ばれながら、私は紅潮しているであろう顔を見られないように視線を下へ下へと逃がしていった。

 結局その日は授業を受けていても家に帰っても電車でのことを思い出し、体のほてりが治まることはなかった。


 翌日、電車に乗り込むと黒髪さんと目が合った。昨日の出来事を思い出して私の動悸が早くなる。

 ここで私の取れる選択肢は二つだ。遠ざかるか、いつも通り近くへ行くか。

 私が選んだのは後者だった。正直に言うと期待していた。また黒髪さんが私に触れてくれるのでは、と。

 私は素知らぬ顔で黒髪さんのすぐ隣に立ち、いつものようにスマホをいじり始めた。黒髪さんも単語帳を黙読している。

 やがて周囲が乗客で混みだしたころ、じっと私を見つめている黒髪さんに気が付いた。それだけで黒髪さんが何を言いたいのかを私は理解した。私はスマホをリュックのポケットにしまいこんだ。すでに黒髪さんは単語帳を片付けていた。

 人込みに押されるのを利用して一歩、黒髪さんの方へ近づいた。それを合図としたかのように、黒髪さんの手が伸びてきてリュックの下の私の手に触れた。指を絡めるように交わらせ、私の肌を指先でくすぐってくる。昨日よりも触り方に遠慮がない。

 人の手には感覚神経が集中しているらしい。だからこそ黒髪さんの愛撫のような触り方が鋭い電気信号となって私をせめたててくる。

「――っふ」

 声を殺しても荒くなる息だけはどうしようもない。私は必死に下唇を噛んで耐える。

 周りの乗客に気付かれたら面倒なことになってしまう。けど気付かれたら私はなんて言うのだろうか。黒髪さんが勝手に触ってきた? 嫌がる素振りもなく自ら進んで触られに行っているのに説得力がなさすぎる。

(もしかしたらそういうプレイしてるって思われたりして……。いやいや、これはただちょっと電車の中で暇だから黒髪さんと遊んでるだけで、これっぽっちもやましい気持ちなんてないんだから)

 言い訳だと理解している言い訳ほど無意味なものはない。

 私は本心をひた隠したまま自分の手の感覚に意識を集中させた。


 その日から黒髪さんとの指先での交流が朝の日課となった。電車が混み合うころを見計らってどちらからともなく側に近寄り、カバンやリュックで死角をつくり、そのなかで指を絡め合う。

 会話はまったくなかったけど、言葉を使わずとも互いの指先が雄弁に語っていた。それはまるで睦言を交わすかのように(あで)やかになまめかしく。

 しかし黒髪さんは私の手以外には決して触れようとしなかった。もしかしたら黒髪さんなりの線引きだったのかもしれない。私としてはもっと違うところを触ってくれてもいい、というかそうされる覚悟をしていただけに少し拍子抜けだった。

(もっと触って欲しいとか私の方が痴女じゃないか)

 反省するとともに、私は黒髪さんにどうして欲しいんだろうかと考える。痴漢みたいに触って欲しい? そうじゃない。私がやって欲しいことはもっと他にあるはずだ。

 進展のないまま数日が過ぎ、またしても遅延によって朝の電車が混んでいた。

 げんなりとする人の多さはしかし今の私にとってはご褒美でしかない。

 入り口近くで待っていてくれた(としか思えない)黒髪さんの近くへ寄り、いつも通り指と手で語らい合う。満員電車だと体を密着させても不自然じゃないのが素晴らしい。

 電車に揺れながらしばらく黒髪さんの匂いや柔らかさを楽しんでいたとき、乗り込んできた人に声を掛けられた。

「あれ? 北川さん?」

 私は反射的に黒髪さんから体を離した。今更の話だけど北川というのは私の名字だ。だけど今はそれはどうでもいい。問題なのは私のクラスメイトがすぐ目の前にいるということ。

「北川さんもこの線使ってたんだ。遅延とかホント勘弁して欲しいよねー」

「う、うん、そうだね」

 応えながらリュックの下で黒髪さんの手を剥がした。クラスメイトの前はさすがによろしくない。

 黒髪さんに背を向けるようにして私はクラスメイトと話し始めた。満員電車の不満に始まり勉強に対する愚痴や他愛ない雑談。さっきまで後ろめたいことをしていた分、いつもより饒舌に受け答えをした。

 背中に違和感を覚えたのはそれから少し経ってのことだった。

 指で引っかかれているようなこそばゆい感覚。その感覚には既視感以上に身に覚えがあった。

(黒髪さん……!)

 横目で後方を窺うと微かに微笑むのが見えた。

 次いで背筋に沿って指が上下に動き始める。ぞわぞわしたものが走り、私は背中を反らした。

(ま、待って!)

 後ろ手を振ってやめてもらうよう懇願するが、黒髪さんの指は背中だけでなく脇腹や、スカート越しに太ももまでをもなぞりだした。

(っひ――)

 手以外に対する刺激に慣れていなかった私は息を止めて歯を食いしばった。変な声をあげてクラスメイトに聞かれたら今後の学校生活にまで関わってしまう。

「大丈夫? 顔赤いよ?」

「っ、大丈夫。ちょっと人が多すぎて当てられちゃったかも」

「危なくなったら無理せず言いなよ」

「そこまでヒドいわけじゃないから……」

 黒髪さんの指がブラウスの裾の隙間から中に入ってきた。

「――――」

 直接腰を指で撫でられて、声にならない悲鳴が出た。

「……ほんとに大丈夫?」

「だ、大丈夫大丈夫。あとちょっとで着くし平気だから」

 クラスメイトに心配をかけさせまいと笑顔を返しつつ、後ろ手で黒髪さんの腕をがっしりと掴んだ。これ以上はやめさせないと。

 さすがに黒髪さんも自重してくれたのか、それから駅に着くまでは何もしてこなかった。

「やっと着いたねー。行こ行こ」

 電車のドアが開きクラスメイトや多くの会社員たちが降りていく。私も黒髪さんの腕を離して人波に続こうとしたとき、私の背中に黒髪さんの指が走った。

 それが何なのかを考える前に私はホームへと降り立ち、クラスメイトと合流した。そのまま階段に向かって歩き始める。

(最後なんだったんだろ。背中に文字を書かれた? なんかカタカナのフにななめの線と、もうひとつはカタカナのニを貫くようにななめの線だったかな)

「あ」

 書かれた二文字が何なのか分かったとき、私の体は自然と動いていた。反転して発車ベルの鳴る電車に向かいながらクラスメイトに叫ぶ。

「ごめん! 忘れ物したから戻る!」

 呆気に取られたクラスメイトを残して、私は閉まりかけのドアに飛び込んだ。

 間一髪。ドア付近にいた乗客が何事かと私を見てくる。車内放送で流れる飛び込み乗車への注意を聞き流しながら、私は驚いている黒髪さんの前に歩いていった。

「なんで……?」

 なんで戻ってきたのか、と聞きたいのだろうか。そんなこと私だって聞きたい。学校に遅刻するかもしれないと分かっているのに体が勝手に動いたのだ。

「えっと……」

 話したいことはたくさんあったはずなのに何から話していいのか分からない。

 背中に書かれた言葉に対する返事?

 クラスメイトの前で触られたことに対する文句?

 毎日の行為に対する感想?

 どれも違うし最後のは何と言えばいいんだ。手を触られて嬉しかったです? 私は変態か。

 もっと大事なことがあるだろう。触ったり触られたりなんていうのは順序をすっとばした先のことだ。手順を踏んでいって仲良くなるのが普通じゃないのか。

 手順……。

 その言葉に私はハッとなった。

 そうだ。私達は何も始まっていない。

 私はぽつりと呟くように問いかけた。

「名前」

「……え?」

「名前、教えてください。私も教えますから」

 いまいち話が飲み込めていない黒髪さんに、私は正面から手を差し出した。

「お互いに名前も知らないままってヘンじゃないですか? そんなの知り合いでもなんでもない、ただの他人です。でも名前を知って握手すれば、もう友達です。まずは友達として、これからも一緒に電車に乗りましょうよ」

 黒髪さんは目を丸くしたあと、恐る恐る尋ねてきた。

「私でいいんですか……?」

「あなたが、いいんです」

 私の返事に黒髪さんは喜びを噛み締めるように笑ったあと、差し出した私の手を握った。

 普通の握手をしているだけなのにどこかくすぐったい。黒髪さんも同じ気持ちなのか苦笑している。

 あぁそうだった。いつまでも『黒髪さん』なんて呼び方はしてられない。

 これからは互いに名前を呼び合って毎日を進んでいくんだから。

 私は自己紹介をするためにすぅっと息を吸い込んだ。




〈おまけ(という名の本編に入りきらなかった会話)〉



「そういえばなんで急に私のこと触りだしたんですか? あれって一歩間違えなくても痴女ですよね?」

「ち、痴女じゃないですっ! あれはその、誰かさんが毎日毎日熱い視線を私に向けてくるものだから、ちょっとからかおうかなって」

「……それ、私だから良かったですけど、他意の無い人相手なら100%アウトですからね」

「大丈夫ですよ。本気かそうでないかくらい分かりますから」

「私、本気でした?」

「えぇ。いじめたくなるくらいには」

「なんか乗る電車一本早くしたくなってきたなぁ」

「そのときは教えてくださいね?」

「……分かってますよ」



            終

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