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王都の記憶

 王ビルライト・ビクティヌス・メルリダス7世は、妻であるミサリアの部屋の前を行ったり来たりして、落ち着かぬようだった。王妃ミサリアは昨夜遅くに破水した。それからは、陣痛の波に、彼女の呻るような叫ぶような声と、産婆の時に励ますような、時に叱るような声を聞きながら、既に丸一日が過ぎた。今日も日が昇ろうとしている。王にとっても王妃にとっても初の子ということもあり、心配で(まつりごと)も手に付かず、先ほどまでは妻の側にいた。いや、広い王妃の部屋の中であっちへうろうろ、こっちへうろちょろし、時に王妃が陣痛に苦しみいきむ度に、オロオロしていた。


その結果が今である。男は邪魔だ煩いと追い出され、このように王妃の部屋の前を行ったり来たりしているのだ。男とは、こういう時に何も役に立たぬと、いつの世も女性は言うが、例え一国の威厳ある王であっても、それは同じであった。


「まだか、おい本当に大丈夫なんだろうな?」


王は、側に居た宰相のセオルト・アルフライ・ライシス、通称アルに尋ねる。アルは、淀みなく


「大丈夫です。あの婆が、とりあげた稚児ややこも母体もこれまで、皆健康でピンピンしています。その証拠がここに2人、いや王城には他にも居るでは無いですか?兄上。」


と、答える。そうだ。あの婆は、王自身もそして王の義理の弟アルとその妻で王妹の生まれる時にも、こうやって取り上げていた。為体のしれない婆だ。だからこそ2人には頭の上がらない程に恐ろしいクソ婆でもあった。王は、先ほどから何度もこれをアルに尋ねては、「そうだな」の言葉を繰り返していた。


「オギャー、おぎゃー」


「う、生まれたか?」


王は、呼ぶまで入るなと婆に言われていたことも忘れ、王妃の部屋へと入ろうと扉に手を掛け、開こうとする。そこにアルが


「お待ち下さい。兄上。」


と声を掛けて、止めようとするも、王の手は早く、さっさと部屋の扉を開けて中へと入ろうとした。と、その時、開き掛けた扉の隙間から、目を覆う程眩しい閃光が走ったかと思うと、王は扉から2mも先の通路の壁へと飛ばされた。壁へ激突する。

王は「グヘッ」とカエルが潰れた様な声を上げた。


「王!」


と、近衛達とアルは大声を上げるも、近衛の慌てようとは違い、あちゃーとアルは、額を左手で押さえながら、首を左右に振る。産婆の障壁結界魔道に王は触れてしまったのだ。この魔道で死にはしない。ただ、吹き飛ばされ意識を刈り取られる程度だが、端から見るといたいたしく見える。アルも王も産婆のこの魔道の世話に何度もなっていた。イタズラをしたり、勉強部屋を抜け出す度に、宮廷魔道士でもあった産婆兼任のクソ婆に見つけ出されたり、罠に掛けられこの魔道の餌食になっていたのだ。


アルと近衛が王を起こそうと奔走していると、部屋の扉が開き、しわがれた声が響いた。


「おや、何してんだい。ああ、父親になろうともあろうもんが、寝転がって。ちょっとあんたらお退きな。」


と婆は、近衛とアルをどかせると、指をパチリと鳴らす。すると、こぶし大の水玉が婆がならした指元に生まれた。その水玉は、ふよふよと王の顔面まで2、3cmのところまで来ると、パシャンと音を立てて破裂する。


王は


「うわっちょ~う」


と奇声を上げて飛び起きた。


「おはよう。ビクティ坊。わしが、あんたの稚児を大事に取り上げて居る間、あんたは居眠りとは、王とはたいそうよいご身分じゃの~。あ~、くそ婆は腰が痛いわい。」


と、嫌みたっぷりの一言を嬉しそうネチっこく言った。

王は、アルに視線を送る。アルは、目線と首で飛ばされた事を伝えると、状況を思い出したのか


「いや、その。泣き声が聞こえたからつい。」


と、ばつが悪そうに絞り出す。


「あんたは、既に王だというのに、浅はかじゃね。いいかい、あんたは今日から父親なんだ。稚児のためにも、その後先考えない行動を改めな。」


「お、はい。」


「それから、アル。あんたも、宰相なら王の暴走を止める気概ぐらい持ちい。」


「いや、しかし……」


「なんだい?」


「……はい。」


「もういい、説教は後だ。ビクティ坊は、顔を拭いたら稚児に会って、王妃を労いな。」


と王はクソ婆と呼ばれた宮廷魔道士兼産婆の婆様に、叱られ罵られたあと、すぐに顔を拭いて、王妃と稚児のまつ部屋へと入った。


 その日、王妃の寝台でアリシア・レイラ・メルリダスは、母の胸に抱かれながら、父王であり、後に魔王と呼ばれることになるビルライト・ビクティヌス・メルリダス7世と顔を合わせた。もちろん、彼女は世界を見渡せるほどの視力はなく、自我も持ち合わせていない。彼女の記憶にも残らぬものだったが、母と父、そして王を慕う多くの臣下に祝福され、彼女は天使のように笑みを浮かべたのを、王は暖かな心で記憶している。



********************



「とうしゃま。」


とてとてと王城の中庭を走るアリシアは、数えで3歳になっていた。久しぶりに会う父親に笑みを零し歓喜の声を上げた。十日ぶりに見た父に向かって嬉しそうに駆け出す娘の姿に、王ビルライト(長いので割愛)の顔からも、いや、彼はもちろん、その護衛の誰からも笑みがこぼれていた。

 王という仕事は、決して楽なものではない。先代から「民と共に歩む」を掲げてきたこの王国の歴史は180年と短い。7世と世襲の世代における肩書きは長いが、それは争いが絶えぬ時代が続き、平定したのがビルライト王の父、前王のキーランド時代であったからだ。国土は決して広くないが、この国の多くは肥沃な土地であった。そのため、国内の争いを平定するにつれ、国は諸外国と農産品の貿易で稼げる程度に豊かなものへと変わった。

 それは、先代キーランドと父王ビルライトが地方諸国を回り不満を解消した成果であった。


 キーランドは、収穫が少ない地域には、税の優遇措置を与えた。その一方で、原因の分析を地方の役人や領主、貴族とともに行い、水の少ない地域では灌漑工事を、氾濫の多い地域では川の補修工事を王国事業として行うことに力を注いだ。王家の資財を多少減らしてでも、民と地方の社会発展に尽力したのだ。


 また、税を誤魔化し、私腹を肥やしていた貴族、官僚の排除を進めるため、自らを長とする監査諮問機関、タエドルを創設した。さらに、治政、農業、商工業、王国魔道の発展を促すための教育機関、スクラティ、アグリティ、コマニティ、マギニティと呼ばれる施設を創設、これもまた王家直轄事業として進められ、近年は近隣の諸外国からも優秀な留学生を呼び込むことに成功している。

 父王は、フィナクバンと呼ばれる資金融通機関を創設、優秀な人材が事業を興したいときに資金を融通し、利益が出た際に税と一緒に多少の利息と共に返金する精度を作り上げるとともに、灌漑事業の終わった地域に、新たな交易路となるセルウィと呼ばれる高規格道を作ることを始めた。


 今、この王国はこの世界の人々が知る歴史においてかつてにない程の勢いで、豊かな世の中へと発展を始めていた。ただ、その代償としてビルライト王の休みは僅かしかなく。このように起きている娘とは、10日に1度も会えれば良い方だった。世の働く父さんと違って、ビルライト王が恵まれていたのは、時々しか会えぬ娘が、人見知りをせず、父王を忘れなかったことぐらいだろう。


 「おお、アリシア。」


王は威厳をどこに置いてきたのかというほどの、笑顔で溺愛するアリシアを右手で抱きあげると、


「アリシアはまた少し重たくなったか?」


と、側にいる養育係兼侍女のマルフェに尋ねようとするも


「とうしゃま、れでぃーにおもちゃいはきっくでしゅ」


と舌足らずに注意された。王は、娘にお腹でも蹴られるのかと、少し身構えたが、マルフェは笑顔で、


「姫は素敵なレディを目指して、日々健やかに成長されております。王といえど、レディー体重のことは禁句にございます。」


と説明を受け、アリシアのぷくりと膨らんだほっぺを見た父王は、


「うむ。そうだった。すまなかったね。アリシア。」


といいつつ膨らんだ両ほっぺを、左手で押さえると、プシューとアリシアの口から空気が漏れた。


「とうしゃまっ!」


と、アリシアは両手をぐーにして、父の胸を叩いて抗議する。父王はそんなアリシアにごめんと笑顔で謝罪しつつ、中庭庭園の中央にあるテラス席から笑顔で見つめるミサリアに目を向けた。


「ミサリア様は今日は調子が良いようです。」


「おかあしゃま、きょうはげんき」


「そうか。」


アリシアの母、ミサリアはこのところ体調が優れない日が続いていた。昨年の冬から、風邪をこじらせたミサリアは、今では触れるだけで壊れてしまいそうな程に、線が細くなっていた。


当初、宮廷薬師にも、クソ婆にも診せたが、先日ようやく分かったその病魔に、父王は絶句し夜人知れず涙した。「ガビューロの悪魔」と呼ばれたそれは、発熱と同時に食が細くなり、徐々に体力が枯れていく病気である。最後には枯れ木のように痩せ細り亡くなる不治の病であった。

 繁栄への道をひた走り、全てを順風に進めているこの豊かな国の王でも、救えぬもの、決して手に入れることが出来ぬものがあった。それが、今まさに弱っていく妻の病を治すこと。アリシアの純真無垢な笑顔と、妻の儚くも慈愛に満ちた笑顔が、父王の心に何とも言えぬ切なさとともすれば壊れてしまいそうな家族の儚さをおもい浮かべた。


 「とうしゃま?」


抱いていたアリシアが心配そうに見つめるその顔に、父王はハッとして、笑顔を浮かべる。


「な~に、心配ない。」


「???」


その返答に何がという顔で首を傾げるアリシアに笑顔を向けると、父王はアリシアを抱いたまま、愛する妻ミサリアの元へと歩き出す。その後ろを、衛士とアリシアの侍女であるマルフェが、陰のように続いた。




****************



「アリシア姫は、魔道の才も素晴らしく。誰かさんとは大違いでございます。大方ミサリア様に似たのでしょう。」


クソ婆で、産婆でもあった宮廷魔道士ことアシリアの「ばあや」はアリシアにとっての魔道教育担当となっていた。今は、ビルライト王に、アリシアへの魔道教育の成果を丁寧にも嫌みったらしく報告する時間である。王は、婆の嫌みをものともせずに、イラついたように語気を強めて言った。


「聞こえんな。それよりも、昨夜アリシアが辺境領に赴任したいと言ってきたが、どういうことだ。」


アリシアは既に数えで6歳になっていた。王妃でありアリシアの母、ミサリアが亡くなってから1年。母様の病気を治したいと、3つ過ぎから始めた魔道の勉強と、治政の勉強、医術の勉強は彼女の才能をあらゆる方向で伸ばしていた。


英才教育の賜物というには、彼女の頭は違ったようだ。スクラティとマギニティ、コマニティの学者や教授からの講義は全て習得を終え、アグリティの授業も既に実地を残すのみとなっていた。その上、彼女は魔道も婆から直々の鍛錬を受けており、防御結界魔道はばあやを既に超え、ばあやも知らぬオリジナルの魔道まで生み出すようになっていた。

 

 また、ばあやから薬術、整体術も学び既に師範を得ていた。体が小さく筋力や体重が相応しかないこともあり、整体術は十分に習得できていなかったが、既にそれに関しても、十分な知識を持っていた。後は、体が大きくなれば、出来るようになるだろうと、お墨付きを得ていた。


また、彼女は父が行う(まつりごと)も、宰相のセオルト・アルフライ・ライシス、通称アル伯父さんや他の役人に頼み込んで覗いていた。重要な決裁文書を目にする機会もあり、間違いを指摘してくれることもあったため、多くの役人は、彼女に喜んでそれらをみせていた。彼女は立派な事務戦力となる神童であった。そんな彼女が、こんな発言をするのは、近しいものであれば予想が付くことだったかも知れない。ただ、父王はそんな状況になっていることも知らなかった。何せ、しっかり会うのは今も10日~15日に1度であり、母ミサリアが亡くなってからというもの、むしろ仕事の方にかかりきりになることの方が増して居た。だから、


「父様。辺境領に行きたいです。」


と、娘に言われた父は旅行にでも行きたいのか、しかしあそこは旅行先にはむかんだろうと、最初は軽く考えていた。しかし、話を聞くにつれ、父の顔は、変顔コンテストでもしているかのように、青く崩れていった。何せ、領主不在の辺境領で自分の知識を生かしたいと言っていたのだから。数えで6歳の娘がである。王はその状況に困惑し、そして遂に否定してしまっていた。まだ、数えで6つであると。

しかし、彼女の次句は違った。


 「市井では、4つにもなれば家族の仕事を手伝いますわ。私も、お手伝いがしたいのです。」


と、本来5つ6つの子が、父親の「ダメダメだ。絶対に許さん!」という怒鳴り声に、怯えるはずだが、アリシアはそんなことを屁とも思わないかのように、さらっと言ってのけた。それは、まるでミサリアに諭されて――アリシアの幼い表情の中に、母ミサリアの面影が重なって見え頷いてしまいそうになった。

 いや、それでも辺境の地に6歳の娘はやれぬと、王は話を切り上げた。


 王家にとっての辺境の地は、前王が唯一平定できなかった場所である。


その地の状況には、ビルライト王もまた苦しんでいた。夏は暑く冬は極寒、雨季と乾季があり、雨季には低地が浸水し、乾季にはあっという間に乾燥する。それ故に、食物が育ちにくかった。農業と教育で発展するこの王国では、農業生産が不十分なこの場所は、荒れていた。

 だから、税を一時免除したのだがそれが結果的に悪い方向へと向かった。盗人など悪党が住み着くようになり、余計に荒れてしまったのだ。更迭された前辺境伯も、私欲を肥やしていたことが判明したことで、完成間近だった辺境伯の名から付けられていたメッサー砦(現在は領民の反感を和らげるためただ砦と呼ばれている)と辺境領最大都市のメッサリオの町も町民の反乱で荒れてしまった。


前王時代から、その冷却期間に入って既に20年が過ぎている。形だけの代官が1年おきに赴任するものの、実質政は行われていない。徴税もせず、国に刃向かうことがないかを監視するのみへと形骸化している。非民の掃きだめのような場所であった。


そんな場所に、愛娘の姫が赴任したいというのだから、親なら誰もが反対するだろう。しかも、敏くとも5、6歳の子である。


王は、席を立ち後ろも振り向かず去る。


「父様が何と言おうと、私は辺境領に行って領を立て直してみせますから、見ていてください。」


と、アリシアが胸を張って叫ぶ声が後ろから聞こえ。


「はしたないですよ。お嬢様。」


アリシア専属侍従の声が響いた。王は、亡くなった王妃の方針とはいえ、娘を姫とも呼ばぬ専属従者マルフェのことも、頭の中で罵りながら、去って行った。

これが、昨日の夜のことだ。


そして、今朝、彼は目の前にいる宮廷魔道士のクソ婆、アリシアが親しみを込めてばあやと言う彼女に、刺すような難い目を向けている。お前以外に彼女にこのような触れ込みをするものはいないだろうと……。


「ほう、それで坊ちゃんは、私がシア様に辺境の話をして、行くように嗾けたとでも思ってるのかい?」


と、先ほどの固いしゃべりではなく、いつもの調子で聞き返してきた。


「いや、そういう訳じゃないが……」


「フハハハハ、あんたは相変わらずじゃな。其方、王の素質がない。それだからシアに心配されるのさ。シアの方が既に王じゃぞ。」


「煩いぞ。クソ婆。」


「シアは、聡い子だよ。あれを調べたのはあの子自身だよ。市井から来た学者に学んだだろうね。あの子は。で、どうすんだい。」


「俺は、あいつを辺境にやる気は無い。」


「クックック。そうかい。そりゃ良かった。あんたがどう思っても、あの子は止められないじゃろ。」


歯がみするように薄笑いを浮かべた婆に、王は少し躊躇した。


「何が言いたい。」


「わしも、彼女が言い出した時に、説得したさ。たぶん、あんたの前がわしだよ。アル。マルフェ、セル、ミランダ……他にもようけおったようだぞ。わしも、聞いて回ったからの。最後があんたさね。きっと今夜も夜遅くまで起きて待っておるぞ、シアは。残るはあんただけだからね。わしらからすれば、孫みたいなあ()こを説得して欲しいんじゃがの。あんたが頼りだ。王様。」


王は、それに驚きの表情を浮かべる。暫く呆然とした後、言葉を絞り出す。


「何と言われた?」


「うむ?早くわしやあんたの負担を減らしたいとさ。彼の地に新しい産業を生み出すともいっとったねぇ。砦を中心に傭兵と商人、貿易の拠点となる交易都市を作りながら、何か池みたいなのを整備するともいっとったね。地図まで見せてきよったからのー。しかも、学者と商人までもう巻き込んどるみたいじゃ。学者も私らも、シアは物覚えが良いからと、教えすぎたんじゃ。そなたには悪いと本当に心から反省しておる。」


と、婆は頭を下げた。王は、面を上げるようにと伝えると、自分の考えを述べる。


「代官に教えて出すと言えば……」


「そんなんはなから言うた。それではダメじゃ。魔道が長けたあの子があの地には要るんじゃと。魔道が長けた幼い姫が、あそこでワシもしらん魔道を使って治水をするそうじゃ。まさにあの子は神童よ。自分の立場を誰よりしっちょる。」


「其方が覚えられぬか?または、他のものが……」


「そうじゃの、あんこをそれで止められるなら、探そう。他にも、こちらからの案はこれだけある。」


と、婆はニヤリと笑って、懐から紙の束を取り出し、王に渡した。


「それは、やらしてしもうた私らからの、止めるための案じゃ。」


王は、それを読みこなし、3日後にアリシア姫と対峙したが、全て専門家の考えである。王がその全てを細かく知るはずもなく、アリシアに誰から聞いたのかを聞き出され、資料を見せることになった。


「はあ、お父様、ご自分が何を提案しているのかお分かりですか?ばあや、ソルフィス教授、アルおじさま辺りが案を出されたのでしょう。分かりました。では、これは宿題ということで、二日後に回答文をお渡しします。それで、皆さまが納得されたら、私を辺境にいくことをお許しになるということにしてください。」


と、娘に言われ


「ああ、分かった」


と応えざる終えなかった。


姫は、その2ヶ月後に王都から辺境へと8年の期限付き領主として旅立った。侍女のマルフェを連れて。その前日、父王は娘にせがまれて、同じ布団で眠った。眠る前父王は、アリシアに王家の秘宝と言われる「珠」を引き継いだ。この珠に願えば、いつでも自分やアリシアの母ミサリアの姿を見られるのだと説明して。アリシアは、最初こそ受け取りを拒んだが、それを受け取った。

王はその夜、一睡もせずに一晩中、娘の髪を撫でていたという。

ほ:「1時間ぶりにおはこんばんちわ。ほうじゅです。今回のゲストは魔王と呼ばれた王様、ビルライト・ビクティヌス・メルリダス7世さんにお越し頂きました。どうぞよろしく。」

王:「……」

ほ:「あれ?王様。」

王:「ミサリアに次いで、アリシアまで私の元を離れて行ってしまったぁ。」

ほ:「おう()よしよし、なかない泣かない。また、次回で会えますよ。」

王:「そっ、それは本当か?」

ほ:「はい。会えますよ。~半年前に、父王自らがやって来て~というシーンがありますから、会えるはずです。」

王:「そうかそうか、良かった。」

ほ:「あっ、でも実際に2人があって語らう描写はないみたいです。」

王:「……」

ほ:「次回は「砦の城主と魔王の娘」04/20 17時からだって。」


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