3話 友達
どうも赤眼黒龍です。
テスト中余った時間でストーリーができたので二日連続更新です。
楽しんでいただけたらうれしいです。
2話を少し修正しました。そちらも気になったら確認してみてください。
玄関から移動しリビングへと案内された海斗と真衣。しかしそこに入ったとたんまた固まってしまった。
「な、何だこの広さは!?」
「すごすぎるね・・・・。いろんなところが。」
リビングは広々としていて白と黒を基調としたスタイリッシュな空間となっており、机の上には豪華な料理の数々が並べられていた。そこに一人の女性が入ってくる。
「お帰りなさいませ、双牙様。お出迎えできず申し訳ありません。」
「ただいま、ミリィ。気にしなくていいよ。急に人数が増えると連絡したのは俺だからな。あの短時間で追加をきちんとこなせる時点でさすがだよ。もう一つの件はどうなってる?」
「滞りなく完了しております。お料理の方もあと五分ほどで完成いたしますので。」
「ありがとう。」
「あ、あの、川上君?」
後ろから袖をひっぱりながら真衣が聞いてくる。
「その、金髪の美人の方はどちら様?」
「ああ、そういや紹介してなかったね。ミリィ。自己紹介を。」
「かしこまりました。」
金髪の美女は海斗と真衣の前までやってくると自己紹介を始めた。
「はじめまして。私、双牙様の秘書兼この家のメイド長をさせていただいております、ミリアリア・フェルトと申します。ミリィとお呼びください。この家で何かお困りのことがございましたら何なりとお申し付けください。」
ミリィはセミロングの金髪、知的でクールな顔立ち、スレンダーな体つきが合わさり仕事のできる大人の女性といった感じだった。
「彼女は14歳の最年少記録でうちの秘書養成部門を出た秀才でね、卒業と同時に俺の秘書として働いてもらってるんだ。仕事は早いし、サポートも的確だし、緊急の用件でもきちんと対処できるし、武術の面でも家の師範代クラスだしね。」
「か、川上流総合格闘術のし、師範代!?」
海斗が驚きの余り大声をあげる。それもそのはずである。川上流総合格闘術とは全世界に1万を超える道場を持ち、門下生は100万人を超えるといわれる世界最大の流派である。無手から護身術、あらゆる武器の扱い方、軍事向けの実戦用戦闘術まで教えている。その中でも師範代クラスの人間は0.1%の約1万人ほどしかおらず、一人の師範代がいくつかの道場を掛け持ちしてみている。しかも師範代になるには全世界から集められ日本にある総本家で厳しい修業をしさらにそこで承認試験を受けそれに合格せねばならない。
「だから俺の秘書兼護衛もしてもらってるのさ。」
「双牙様は師範ですから、基本的に私の出る幕はありませんが。」
「川上君が師範〜〜〜!?」
「ああ、8歳から師範やってるな。」
もうありえんといった顔をする海斗だった。
ピ〜ンポ〜ン♪
その時玄関のチャイムが鳴る。
「ミリィ、たぶん幸さんたちだから、お出迎えしてここへ案内してくれ。」
「承知いたしました。」
軽くお辞儀をしてミリィは部屋を出て行った。しばらくするとリビングの扉が開きミリィと二人の人物が入ってきた。
「こんばんは。お邪魔するよ。」
一人は九十九高校生徒会副会長の幸人だった。そしてもう一人幸人の隣に少女が立っている。
「こんばんは。久しぶりね双牙。」
「久しぶり、紅葉。元気そうだね。」
彼女の名は川崎紅葉。幸人の妹で九十九高校の一年生だ。つやめく黒髪と落ち着いた物腰が和を感じさせる大和撫子タイプの美少女だ。実際はとても元気で明るい年頃の少女だ。学年でも有数の美人で学年のマドンナと呼ばれている。その紅葉が部屋の奥にいた海斗と真衣に気づいた。
「あれ!?真衣ちゃん。何でここにいるの?」
「あはは。こんばんは、紅葉ちゃん。」
「里中さんは俺と同じクラスで隣の席なんだ。今日学校を案内してもらったお礼に招待したのさ。」
「そうゆうことか。」
「紅葉ちゃんいるって言うから来ちゃった。迷惑だった?」
「ううん。むしろ大歓迎だよ。」
二人がわいわい騒いでいると幸人が海斗に気づく。
「君は今日二人と屋上にいたよね。」
「は、はい。ぼ、僕はき、北島か、海斗とい、い、言います。よろしくお、お願いします。」
憧れの先輩で雲の上の人だと思っていた人物を目の前にしてがちがちに固まる海斗。幸人は少し笑いながら落ち着かせようといった。
「そんなに硬くならなくていいよ。双牙君の連れてきた友達だ。もっと気軽に話してくれ。川崎幸人ですよろしく。」
そういって幸人は右手を差し出した。海斗はそれをしっかりと両手で握ると元気よくはいと返事をしていた。
「そういえば私自己紹介してなかったっけ。」
「別にいいんじゃない。姉さんしらない人間はあの学校にはいないだろ。」
「何言ってるの。こういうことは礼儀としてきちんとすべきことでしょうが。」
「はいはい。ならご自由に。」
蓮花は咳払いを一つすると自己紹介し始めた。
「二人ともはじめまして。九十九高校生徒会長で双牙の姉の蓮花です。よろしくね。」
「こちらこそ。この度はお招きいただきありがとうございます。里中真衣といいます。よろしくお願いします。」
「北島海斗です。川上君とは同じクラスです。よろしくお願いします。」
「丁寧にありがとう。でも敬語で話さなくていいわよ。気楽にいきましょ。」
そう言って蓮花は微笑むが、海斗と真衣は顔を見合せ苦笑していた。
「そんなこと言われてもな・・・・・。」
「ここにいるメンバーがメンバーですもんね・・・・。」
二人の言うことももっともである。ここには世界を代表する大財閥の子息たちが集まっているのだ。しかも自分たちの高校の全校生徒の憧れの的といっても過言ではない生徒会の会長と副会長。学年のマドンナ的存在の紅葉。挙句の果てに外国から来た帰国子女の美形転校生にして川上グループの御曹司。しかも川上流総合格闘術師範。自分たちとは次元の違う世界にいる人間が今目の前に集結しているのだ。
「今僕たちはとんでもない所にいる気がしないかい?」
「私もそう思います。紅葉ちゃんがいなければここには絶対来れてません。いまだに夢ではないかと思ってます。」
「何言ってるの真衣ちゃん。全て現実だよ。二人はここにいる4人に今日友達として認識されたんだよ。」
「と、友達!?」
海斗が素っ頓狂な声を上げる。幸人が横から話に入る。
「双牙君は信用できない人間を連れてきたりしないさ。双牙君がここに連れてきた時点で僕らは君たちを友として認識してるよ。」
「それに真衣ちゃんはもう私の友達だしね。他の人たちは下心見え見えで嫌なのよ。でも真衣ちゃんは普通に接してくれるから好きよ。」
紅葉がそう言いながら真衣に抱きつく。
「北島君だって来てすぐの俺に親切にしてくれたし、今日1日話してて打算なしにつきあえると思ったから連れてきたんだ。里中さんは海斗と同じ理由もあるけど紅葉が友達ってとこがきめてかな。」
「双くんが連れてきた子たちよ。その時点で信用してるわ。」
双牙が今日1日でそこまで自分たちを観察していたことに驚きつつも、信用してもらえたことをうれしく思う二人だった。紅葉が何か思いついたのかみんなに提案した。
「ねえ、この際だから名前で呼び合わない?いつまでも名字じゃ呼びにくいし。」
「そうだな。俺はいい考えだと思う。北島君たちはどう?やっぱ呼びにくい?」
「みんながいいんならそれでいいと思うよ。」
「私も賛成です。」
「姉さんと幸さんはどう?」
二人に問いかけると二人同時に「「異論なし」」と答えた。
「君やさんは個人の自由ってことで。」
「そうだな。じゃ、改めて海斗、真衣さんよろしく。」
「よろしくね、真衣ちゃん、海斗君。」
「よろしく頼むよ。海斗君、真衣さん。」
「よろしくね、海斗くん、真衣ちゃん。」
二人もあわてて挨拶を返す。
「こちらこそよろしくお願いします。幸人先輩、蓮花先輩、紅葉さん、双牙。」
「よろしくお願いします。紅葉ちゃん、幸人先輩、蓮花さん、双牙君。」
こうして無事挨拶も終え、6人は色々な話をしながらパーティーを楽しんだのであった。
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翌朝、蓮花と一緒にミリィの運転する車で登校した。学校に着くと校門のところで海斗と真衣にあった。
「おはよう、海斗、真衣さん。」
「おはよう、海斗くん、真衣ちゃん。」
「おはようございます。蓮花先輩、双牙。」
「おはようございます。双牙君、蓮花さん。ミリィさんもおはようございます。」
「真衣様、海斗様、おはようございます。双牙様、お迎えの方はいかがされますか?」
「まだ今日の予定が決まってないからな。決まり次第できるだけ早く連絡するよ。」
「かしこまりました。何かありましたらいつでもご連絡ください。では失礼します。」
ミリィはゆっくりと一礼すると車に乗り走り去った。4人は校舎に向け歩き出した。すると蓮花が真衣に問いかけた。
「真衣ちゃん。昨日大丈夫だった?家族が心配したりしてなかった?」
昨日すっかり打ち解け楽しい時間を過ごしたのだが、ついつい遊びすぎずいぶん遅い時間になってしまったのだ。海斗は寮生なうえ幸人が送って行ったので心配ないが、真衣は実家から通っているので遅くなり家族が心配していなかったか蓮花は心配していたのだ。
「大丈夫ですよ。家族には事前に連絡しておいたし、送ってくださったミリィさんが家族に説明してくれましたし、少し心配してたけどきちんと話したら理解してくれました。」
「そう。よかった。」
「それよりも川上家に行ったって話したらものすごく驚いてましたけどね。」
苦笑しながら真衣は言った。
「僕も同じだったよ。幸さんに送ってもらったもんだから、寮に入ったとたんみんなに質問攻めにされた。大丈夫だったのか?いいって言うから少し話したが。」
あの後幸さんと呼べと強要されそう呼ぶようになっている海斗が言った。
「いいさ。黙ってても直にばれるさ。というより既にやばいんだけどね。」
「「あはははは・・・・。」」
すでに3人は何で生徒会長と親しげに話してるの?といった感じの好奇心と殺気が混ざった視線にさらされていた。
――――――――――――――――――――
そのあと生徒玄関で蓮花と別れクラスに向かい、自分たちの席で3人で話していると一人のクラスメイトが話の中に入ってきた。
「3人ともちょっといい?」
「どうしたの、みぞれちゃん?」
彼女は神崎みぞれ。海斗の隣の席の子で思ったことはズバズバ言うタイプの子である。ショートヘアで活発な少女で気さくな性格なので男女ともに人気がある。
「あんたたち、蓮花生徒会長とどういう関係?」
「どういうこと?」
「いやだってさ、校門からここまで親しげに名前で呼び合いながら話してたじゃない。北島君は昨日寮まで川崎副会長に送ってもらったらしいし、川上君に至っては同じ車から降りてきてたじゃない。いったいどうなってんの?3人もいつの間にか名前で呼び合ってるしさ。昨日1日で何があったわけ?」
「神崎さん、落ち着きなよ。」
興奮するみぞれを双牙がなだめる。
「双牙に関しては簡単でしょ。生徒会長の苗字を思い出してみればいい。」
「会長の苗字?会長は確か・・・・・っあ!も、もしかして川上君って!」
「そう。生徒会長川上蓮花は俺の姉さんだ。」
驚愕の事実にみぞれは開いた口がふさがらない。
「それでね、昨日学校を案内したお礼にって双牙君家に誘われてね、そこで双牙君の帰国祝いと入学祝のパーティーをしたの。」
「そこに二人の幼馴染の副会長とその妹の紅葉さんが来てそこで仲良くなったんだ。」
話を聞き終えたみぞれは、理解できてないようでぶつぶつ言いながら情報を整理し、確認するように3人に問いかけた。
「つまり、川上君は会長と兄弟で、二人は昨日学校を案内したお礼に川上君の家に招待されそこで会長と出会い、しかもそこに副会長兄妹も参加して、名前で呼び合うほどなかよくなったと。そういうこと。」
「「「はい」」」
3人がそろってそう答えるとみぞれは俯き小刻みに震えだした。周りを見ると、聞き耳を立てていたと思われるほかのクラスメイト達も同様に震えている。
「あ、あ、あ、あ・・・・・・・。」
「「「あ?」」」
クラスメイト全員が声をそろえて叫んだ。
「「「「「「「「ありえねえぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」」」」」」」」
クラスが心を一つにした瞬間だった。




