2話 双牙の家庭事情
調子に乗って一日3話更新です(そのうち一話はこの小説ではありません)
これからもがんばって更新していこうと思うので応援よろしくお願いします。
翌日、双牙はこれから通う九十九高校の前に来ていた。九十九高校は葛城市唯一の高校で、市内の3つの中学から生徒が集まるため、生徒数約1500人、1学年12クラスという大型校である。
「昨日も来たけど本当にでかいなこの学校。」
私立の高校である九十九高校はとある資産家が建てた学校であるため設備等もかなり充実している。しかし学費は公立高校並みとかなり安いため県外から来る生徒もいる。校風は生徒中心の活動を推進しており中でも生徒会は教師と同等以上の発言力を持っている。
「さて、職員室はどこかな?広すぎてよくわからんのだがな。だれかに聞いてみるか。」
とりあえず周りを見回すと近くにスーツを着た教師らしき女性が立っていた。丁度いいと思い双牙は女性に話しかけることにした。
「あの、すいません。」
「ん?見かけない顔だね。私に何か用かい?」
振り向いた女性はショートヘアのボーイッシュな美女だった。活発で明るい雰囲気が印象的だ。
「今日この学校に転校してきた川上といいます。職員室はどこなのか教えていただけないでしょうか。広くてわからないんで。」
「あんたが例の転校生かい。いいよ丁度職員室に戻ろうと思ってたところだ。ついてきな。」
「はい。」
えらくさっぱりとした感じの先生だなと思いながら双牙はついて行く。校門から歩いて5分ほどで職員室についた。
「もう少しで職員朝礼が始まってそこであんたがみんなに紹介されるから。少しここで待っててくれ。」
そう言い残して先生は自分の席へと向かって行った。ほどなくして職員朝礼が始まり先生方の前で自己紹介した。さすがに先生の数も多く、90人くらいはいた。無事に自己紹介を終え担任の元に案内された。そこにいたのは何とさっきの女性教師だった。
「や。またあったね。」
「先生が担任だったんですか。」
「あれ?言ってなかったか?私が担任の三谷理月だ。クラスはBだ。よろしく頼む。」
「こちらこそ。不慣れでご迷惑をおかけすると思いますがよろしくお願いします。」
「じゃ、クラスへ行こうか。」
「はい。」
双牙は理月の後について職員室を出た。教室に向かう途中双牙は気になっていたことを聞くことにした。
「先生は俺のことをどこまで把握してるんですか?」
「どういう意味だい?」
「つまり俺の家族や出生、身体能力などに関してです。」
「大体は聞いている。資料やお前の姉さんから聞いてな。」
「そうですか。」
「心配すんな。秘密は守るさ。」
「そこは心配してませんよ。姉さんや両親がその程度のことを守れないような人間に話すわけありませんからね。それにばれたらばれたでどうにでもなりますしね。今回はただ確認しておきたかっただけですから。」
「そうか。ほら、着いたぞ。ここがB組だ。」
どうやら話してる間に着いていたようだ。教室の中からは男女の話し声が聞こえている
「私が呼ぶまでここにいてくれ。」
「わかりました。」
理月は返事を確認すると教室に入って行った。
「こら!!静かにしろ。HRはとっくに始まってるぞ!」
とたんにバタバタとあわてて席に戻る音が聞こえたあと教室は静かになる。
「では、まずはじめに転校生を紹介する。外国にいたためお前たちより少し遅い入学となった。だから皆でフォローしてやってほしい。女子喜べ。なかなかいい男だぞ。」
中からキャーややった!などという声が聞こえる。外の双牙は何難易度上げてんだよ!と思っていた。
「じゃあさっそく入ってきてもらおうか。川上、入ってこい。」
呼ばれた双牙はドアの前で深呼吸すると、ゆっくりとドアをあけ中に入って行った。中に入り左を見ると40人ほどの男女がこっちを見ていた。その視線を気にせずに教卓の前まで進み黒板に自分の名前を書いてふりむき自己紹介をした。
「はじめまして。川上双牙といいます。親の都合でドイツにいたため少し遅れての入学となりました。特技は武術。趣味は読書と動物の世話です。みなさんの気づきと思いますがおれの眼は生まれつき赤いです。生まれ持ってのことなので個性と思ってください。不慣れでご迷惑をおかけすると思いますがよろしくお願いします。」
自己紹介を終え満面の笑みを向けた。すると女子の顔が真っ赤に染まっていく。
「おいおい川上。着て初日でクラスの女子を全員撃墜する気か?」
理月の言葉に不思議そうに首をかしげる双牙。
「?俺なんか変なことしました?」
「お前それ本気で言ってんのか?」
意味が分からず首をかしげ続ける双牙に女性陣はため息をつき、男性陣は殺気立った視線を送るのだった。
「まあいい。とにかく仲良くしろよ。川上、お前の席は窓側の一番後ろだ。わからんことは隣の里中に聞け。里中、川上の面倒みてやってくれ。」
双牙は理月に一礼すると自分の席に向かった。里中と呼ばれていた少女は小柄なおとなしそうな少女だった。
「川上だ。よろしく頼む。」
「里中真衣です。こちらこそよろしく。」
軽い挨拶を交わすと席に着いた。その後HR終わると同時に双牙はクラスメイトに取り囲まれ質問攻めにあった。ちょっとうんざりしながら丁寧に答えていく双牙だった。
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放課後になり双牙は真衣に話しかけた。
「ねえ、里中さん。放課後用事ある?」
「ありませんけど。何か御用ですか?」
「学校の中を案内してほしいんだけど頼めるかな。」
この学校は広いためどこに何があるかわからない。だから双牙は真衣に主要施設だけでも案内してもらって覚えようと考えたのだ。
「かまいませんけど、私部室棟の方とか行かないから案内できませんけどそれでいいのなら。」
「かまわないよ。部活をする気はないしね。」
「それなら僕が部活棟のほうは案内しようか?」
後ろから声が聞こえたので振り向くと一人の少年が立っていた。
「君は北島君だったかな?」
「ほとんど話してないのに覚えてくれてるとは嬉しいね。」
彼は北島海斗。双牙の前の席に座っている。明るく気さくな少年だ。
「しかしもったいないね。武術やってるって言ってたからうちの部にスカウトしようと思ってたのに。」
海斗は剣道部に所属している。
「残念だが無理だ。いろいろ忙しくてね。部活やってる暇がないのさ。」
「ま、無理に誘うつもりはないよ。ほんじゃ行こうか。」
3人は教室を出てまず文化棟へ向かった。
「ここ文化棟は文科系の部室や図書室、放送スタジオ、音楽室などが入っています。後この裏には1500人を収容できる大ホールがあります。」
「中でも図書室は県下最大級の大きさでここで見つからない本はないってくらいたくさんの本があるんだ。」
「私は図書委員なのでよくここを使います。確か川上君は本がお好きでしたね。何かお探しの本があればいつでも言ってください。」
「ありがとう。そのときはよろしくね。」
「それじゃ次は運動場の方へ行こうか。」
海斗がそう言うと二人はうなずいて海斗の後につづいた。双牙はてっきりそのまま運動場に行くのかと思ったら海斗は屋上へむかった。
「何で屋上なんだ?」
「歩いたまわってたら広すぎて日が暮れてしまうからね。屋上からならよく見えるしそっから説明した方が早いと思って。」
「なるほどな。」
3人が屋上につきフェンスごしに学園を眺めた。ここから眺めると改めてこの学園の大きさに驚かされる。
「まずは運動場。トラックが二つ分とれる広さになっている。ま、通常の学校の2倍だね。次に体育館。これは第一から第三までの計三つある。各学年が一つずつ使えるようになっている。その向こうにある四角い建物が武道場。二階建てになってて一階は畳敷き、二階は板張りになっていて我が剣道部は普段二階を使っている。」
他にも弓道場、球場、テニスコート6面、室内プール二つ、人工芝のサッカー兼ラグビー場など広大な敷地に所狭しと施設が並んでいた。
「よくまあここまで施設をそろえたもんだな。」
「ああ。休日には有料で大学や一般に貸し出しもしてるんだ。」
「この学校は世界有数の大財閥である川崎グループと今や世界中で要人や施設警備を行っている川上グループの共同出資により作られてますからね。ちなみに現生徒会長は川上グループのご令嬢。副会長は川崎グループの御子息で理事長のお孫さんです。」
そんな説明を受けていると背後のドアが開く音がした。そこには細身でメガネをかけ、知的な雰囲気の青年が立っていた。
「あれが副会長の川崎幸人さんです。」
「学校一の秀才で去年の全国模試は確か一位だったはずだよ。何しに来たんだろ?」
その時幸人は3人に気づいてこっちへやってきた。なぜだかわからず緊張して固まる二人。だが双牙だけは落ち着いて彼を見ていた。
「や、幸さん。お久しぶり。」
「双牙君。本当に久しぶりだね。そうか。今日転校してきたんだったね。」
「そうだよ。今晩来るんでしょ。」
「ああ、行くよ。楽しみだな。それじゃ、まだ仕事が残ってるから。」
「それじゃまた後で。」
幸人は軽く手を振りながら校内へ戻って行った。
「なあ、川上君。副会長とどういう関係なの?」
幸人が出ていくのと同時に海斗が恐る恐る聞いた。
「ああ。親同士が幼馴染なんだよ。だから昔からの顔なじみさ。」
「なんだそういうことか。」
「副会長さんはよく図書室で見かけますね。」
その時双牙はふとあることを思い出し二人に問いかけた。
「そうだ二人ともこの後用事あるか?」
「ありませんけど、どうかしたんですか?」
「僕もないよ。今日は部活も休みだしね。どうかしたの?」
「今日さ、家で俺の帰国と入学祝のパーティーやるんだ。よかったら来ない?姉さんも友達連れて来いって言ってたし。」
「でもいいの?私たちが行っちゃって。」
「いいさ。他に誘う人いないし、今日のお礼も兼ねて。それにパーティーって言っても来るのは俺と姉さん、あと幸さんとその妹だけだしね。」
「えっ!紅葉ちゃんも来るんですか!?」
「里中さん、紅葉を知ってるんだ。」
紅葉とは幸人の妹で長い髪を後ろで束ねている。知的でおしとやかな大和撫子タイプの美少女である。同じ学年でD組にいる。
「はい。同じ図書委員で好きなジャンルが似てるのでよく話します。」
「そうなのか。どうする?二人とも来るか?
「僕寮生だからね。門限があるからちょっと厳しいかも。」
「心配いらん。副会長がいるからな。権限を少し利用させてもらえばいい。」
「それってやばくないかい?」
「大丈夫だ。それに秘策もある。」
そう言って双牙はニヤッと笑った。
「秘策って何ですか?」
「秘密。家に来ればわかるさ。」
「そこまで言うんなら行こうかな。その秘策とやらも気になるし。」
海斗の参加は決まった。双牙は真衣に問いかける。
「里中さんはどうする?やっぱいきなりじゃまずかったかな。」
「私も参加させてもらおうかな。今日両親いないし。紅葉ちゃんもいるなら行ってみようかな。」
「帰りは送っていくから心配しないで。」
「ありがとう。」
3人は屋上を出てソウガの家へと向かった。
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3人は閑静な住宅街にある双牙の家の前に来ていた。というより二人は呆然と立ち尽くしていた。その理由は。
「ここが・・川上君の・・・・家?」
「そうだけど、里中さんどうかした?」
「どうかしたしたってもんじゃないと思うよ。」
そう言いながら海斗は顔をひくつかせている。二人も目の前にあったのは、通常の一軒家の三倍はあろうかという大豪邸だった。
「ちょっとまっててくれ。今扉を開けるから。」
そういって財布からカードを出すと玄関横の読み取り端末に通すとその隣のプレートが上下に開きそこから20センチ四方の黒いプレートと双眼鏡のようなものが出てくると、それを覗き込みながら、プレートに手を乗せた。少し光ったかと思ったとき機械的な音声が響いた。
−確認イタシマシタ。双牙サマ、オ帰リナサイマセ。−
電子音が流れた後、ドアのロックが外れる音がした。
「それじゃ、どうぞ。」
ドアを開けて中へと促され海斗と真衣はゆっくりと中へとはいって行った。それを確認して双牙がドアを閉めると誰かが入ってくる足音が聞こえてきた。
「双く〜ん!お帰り!」
双牙に飛びついた人は二人もよく知る人物であった。
「な、何で生徒会長がここに!?」
そう、それは九十九高校生徒会長である川上蓮花であった。
「あれ?言わなかったか。生徒会長は俺の姉さんだ。」
「・・・・・は!?」
「ということは川上君は、川上グループの跡取りということに。」
「ま、将来的にはそうなるかな。それが理由でドイツ行ってたわけだし。」
呆然としている二人に苦笑しながら家の中へとはいっていった。この後も驚かされ続けることになるとをこのときの二人が知るわけがなかった。




