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夏だけの思い出

作者: 結衣兎

処女作です。

現在、ファンタジーものを投稿するため頑張って書いておりますので、そういう話もお好きな方は、投稿した際にもよろしくお願いします。

また、恋愛ものはファンタジーものの方が落ち着き次第書き始めます。



「---ちゃん!待ってよ〜!」


「---君が遅いんだよぉ〜!はやくはやくー!」



これは、五歳の時の記憶。何故なのか毎年夏になると思い出す。あの娘はいったい誰だったのか…顔と名前には靄がかかっているかのようで、全く思い出せない…


高2の夏、僕は親の都合で自然豊かな町へと引っ越すことになった。親が言うには前にも来たことがあるらしいが…全く記憶にない。


僕は山奥にある滝のところまでやって来ていた。そこは少し前に見つけ、ちょくちょく来るようになった。

今日もいつも通り険しい道を歩いて来たのだが…先客がいた…それは、とても綺麗な白い髪の女の子だった…


「あの、君はよくここに来るの?」


「っ…」


僕の問いかけに応えることなく、こちらを見るなり逃げていってしまった。


「何かしたかな…」


少し悲しくなった…


…ズキッ


「イタッ…なんだ今の…?」


頭に痛みが走った。

痛みはすぐに収まったが、不思議と何かを忘れているような気になった…


痛みは治まったが倒れでもしたら大変なので、少し急いで帰った。

その夜、今日起きたことを母に話してみた。


「今日山奥で白い髪の女の子にあったんだけどさ。すぐ逃げられちゃったんだよね。何か知らない?」


「そうねぇ。お話ししたことのある人たちの中にそういう人はいなかったわねぇ。あ…そういえば…前にここに来た時に白い髪の娘と遊んでたことなかったっけ?」


ズキッ


「イタッ…またか…」


やはりこの痛みとあの娘に関係があるのだろうか…


「だ、大丈夫!?」


「あ、う、うん。全然大丈夫。もう寝るね。お休みなさい。」


「そ、そう?何かあったらいってね。おやすみ。」


自室に戻ると、すぐに寝てしまった。



その夜、五歳の時の夢を見た。またいつもの夢なのだと思った。しかし、今日は少し違った。名前は前のように思い出せないが…そこには白い髪の少女がいることがわかった…

そして、すぐに目が覚めた…


「っ…なんで…」


起きると何故か泣いていた…


今日はいつもより早く滝のとこへ向かった。

そこには、昨日と同じように白い髪の女の子がいた…よく見て見ると彼女は泣いていた…


「どうして泣いているの?」


いてもたってもいられず、僕はまた話しかけた。


僕に気づくとその子はこっちを見てこういった。


「…へへへ、また君が来てくれて嬉しかったんだ…ありがとう。」


ズキズキズキッ


「…ッ!」


な、なんでだ。痛みが強くなったぞ??


「…き、君は僕のことを知っているのか?」


「知ってるよ。五歳の時からね…」


女の子は苦しそうな笑顔でそういった。


「やっぱり君はあの時の!」


「また思い出してくれたんだね…うれしいなぁ。」

そういってまた、彼女の目から静かに涙がこぼれた。


ズキンッズキンッズキンッ


「うわぁぁああ!!!」


痛みはさらには激しくなった…









そして、思い出した…



彼女とあった五歳の夏、僕はこの地に引っ越して来たはずだったのだ。そして、この滝のとこでこの女の子と出会い、遊んでいくうちに互いを好きになった…









が、事件は起きた。









その日、僕はいつもより少し遅れて滝へと向かったが、着いた時そこには誰もいなかった。あったのはその子のものと思われる靴のみ…そう、その子は死んでしまっていたのだ。



そこから全てが狂い出す。


そして、女の子が説明し始めた…

僕の記憶が毎年夏にしか戻らないこと、そしてこの地には毎年引っ越しといって来ていたこと、夏が過ぎると戻っていったこと、僕の親の記憶がないこと…その全てを…

ただ、何故こんなことになっているのかはわからないという…


だが、僕にとってそんなことはどうでもよかった…

そして、五歳の時伝えられなかった事を…この娘が死んでから毎年のように言っているこの言葉を…全てを思い出した僕はまた伝えた…



「僕は君のことをずっと忘れない…大好きだよ…」


そして、この娘もいつものように泣きながら微笑んでこう言うのだ…


「うん!わたしもずっと忘れない…大好きッ…」



このやり取りを最後に今年の夏は終わる…また全てを忘れ…来年の夏思い出すのだ…





これは僕の夏だけの思い出。























短めだったかと思いますが、いかがでしたでしょうか?

物足りない!もっと読みたい!と思っていただければ幸いです。



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