告白
孝治は沙織に対してはまっすぐに話しをするようになった。
傷を負った人は放って置けない、自分が培ってきた経験や考えが誰かを救う手段ならそれを出し惜しみすることはないそんな考えだった。
そうして何日かが過ぎた頃また沙織と会うことになった。
沙織の服装はすっかり変わっていた。
女の子らしいその服装に孝治は一瞬ドキっとしたが、それを表情や態度に出すことは無かった。
沙織は今までとは違うくらい饒舌になっていた。
「あたしもう元彼は振り切ったんだ。それでね好きな人が出来たんだ。」
沙織の再出発の意思を聞いた孝治は自分の役割は終わったと思った。
そして沙織と色々話した後に沙織をいつものように送り届けると、いつもと違う事をした。
自分から沙織にLINE入れたのだ。
「好きな人が出来るくらい元気になってよかったよ。次は絶対幸せになれるよう頑張るんだよ。」
これが最後のつもりだった。
翌日沙織から返事が来る。
「うん、次は頑張るよ!ってかこうちゃんからLINEくれたの初めてだよね。ビックリしたわ!」
「うちね実はこうちゃんのことちょっと気になってた。でも忙しいし邪魔しちゃ悪いかなって思って自分の気持ちをさらけだせなかったんだ。」
孝治はドキっとしたが、転勤の話もあった為付き合って良い訳がないそう思っていた。
「まじで?超嬉しいよ。本当は俺について来い!幸せにしてやるからって言いたいけど、俺にはそんな事言えないんだよなぁ。」
孝治は頭を捻って出した答えだった。
少し時間をおいて沙織からLINEが入った。
「え?マジで!?こうちゃんあたしの事なんてなんとも思ってないと思ってたから…。うちこうちゃんとくっつきたいって思ってました。本当は直接言いたかった事だけど…。ねー、あたしと付き合って!」
沙織から告白を受けると思ってもいなかった孝治は戸惑った。
返信も出来ないまま時間が過ぎていく。