初見
車のドアを開け沙織が乗り込む。
軽く挨拶をしたのち、沈黙が訪れる。
「とりあえず、ご飯行こうか?おれこっち来たばっかりで全然分からないから、お店教えてくれる?」
孝治のそのセリフから沙織がお店を案内する事となった。
孝治は会話を盛り上げようと終始空気感を探っていた。
ご飯を食べた後車に乗り込みドライブをする事になった。
助手席の沙織は終始携帯を気にしているようだった。
「彼氏とかいないの?」
孝治の質問に沙織はいないと答えたが、孝治はそれが嘘である事を疑ってしまった。
営業という職業上人の声のトーン、仕草などから嘘が見抜けてしまうのだ。
しかし初めて会った人な上、夜なので仕草も見ていた訳ではない。
孝治は半分嘘だろうと思いつつも、半分は信じる事にした。
そうして沙織との会話を盛り上げる事が出来ないまま、孝治は耐えられなくなり沙織を家まで送る事にした。
「ありがとう、また時間あったらご飯誘って。」
そう言うと沙織は車から降りた。
沙織を家に送り届けた後自宅へと車を走らせる孝治は会話が盛り上がらなかった事、楽しませる事が出来なかった事から次は無いだろうと思っていた。
そこへ沙織からのLINEが入った。
「今日はありがとう、また機会あったら遊びましょう。」
孝治はそんな沙織からのLINEを社交辞令と捉え当たり障りのない内容を返した。