寂しさからの出会い
転勤前孝治には10年余り付き合っていた彼女がいた。
一緒に暮らしていたが、結婚に踏み切ることも出来ずに転勤を機に結婚を考えていたが、転勤の話が出たとき別れを切り出したのは彼女の方だった。
しかし別れ方は綺麗なもので、孝治も何処かホッとした気持ちで別れた。
友達とも離れてしまった孝治は転勤先での本当の意味での一人暮らしに寂しさを感じていたのだ。
無論そんな事を考える余裕が転勤当初からあった訳ではなく、帰りは遅いがそんな仕事にも慣れてきた頃に孝治はふと寂しさを紛らわしたい衝動に駆られた。
行きつけの店を作るとか色々方法はあったが、孝治は手軽に紛らわせる方法を探し、出会い系サイトに登録をした。
2、3日くらいはさくらからのメールが多く諦めかけていた。
孝治の掲示板へ投稿に沙織という女の子から返信があった通知が携帯に入る。
またさくらなのだろうと、最後のポイント使って終わりにしようとした。
すると沙織はLINEのIDを教えてくれ、LINEでのやり取りが始まった。
その日のうちに、晩ご飯を食べに行く事になった。
若干の緊張と疑いの意識があったが、孝治は仕事を終えると待ち合わせ場所に向かう旨LINE入れ、車に乗り込んだ。
営業である孝治は初めて会う人との会話は得意な方だった為、待ち合わせ場所に向かう間孝治は色々と頭を巡らせていた。
どのようにホテルに行くかという流れをシミュレーションしていたのだ。
待ち合わせ場所のファミレス駐車場に着くと、孝治は沙織にLINEを入れ待つ事にした。
一人の女の子が自分の車に向かってくる姿を見ていた。
孝治は沙織の着ている服装や髪型などから接し方を考えた。