転勤
スーツを着た一人の男が空港の到着ロビーから出てきた。
男は時計こそロレックスをしているものの、何処にでもいるサラリーマンだ。
キャリーを引きながら男はバスに乗り込む。
駅に到着すると、駅前のビジネスホテルに足早に入っていった。
「予約していた松井孝治です。」
チェックインを済ませると孝治は部屋に入っていった。
次の日引越しの荷物が届くので、孝治はレンタカーを借りて新しい家に向かった。
ドアを開けると何もない部屋が広がっていた。
間もなくして引っ越しのトラックが来て、荷物が運ばれていく。
一人暮らしの割に非常に荷物が多く、2LDKの部屋はあっという間に荷物で埋もれてしまった。
やれやれといった表情で孝治は荷ほどきを始めた。
引っ越しから三日後、孝治は新しい事務所に出勤した。
事務所も新設の為何もない。
そこへまた引越し業者が訪れ、事務所の荷物が運び込まれる。
そこまで荷物も多くない為あっという間に新しい事務所が出来た。
孝治の携帯がなる「はい松井です。…はい引越し終わりました。…任せてくださいよ!俺がこの支社立ち上げてみせますから!」
上司と電話を切った後孝治は自分の椅子に腰を下ろした。
そこへまた電話がくる。
「あいよー。…おうなんとかな。…支社長として頑張るわ。…ありがとうな、お前も頑張れよ!」
後輩からの電話だ。
孝治はこれから始まる仕事に希望を抱いていた。