後悔
孝治は沙織の言った意味がすぐに分かったが、すぐに答えられなかった。
頭の中で色んな事が巡ってしまっていたからだ、現実的に次の日から出張な事、その準備が何も出来てない事。沙織を大切にしたい気持ち。沙織を傷つけたく無い気持ち。自分の不甲斐なさ。
沙織が問い詰める。
「意味わかるでしょ?」
孝治は無言で車を動かす。
「こうちゃん!」
孝治は無言のままだ、沙織も無言になった。
孝治は道の途中で車を停めた。
「沙織、俺やっぱり明日出張だから朝までいる事は出来ない。だから帰すけどもう少し沙織といたい。」
沙織は少しホッとしたような表情を浮かべると頷いた。
「じゃあどこ行く?」
孝治は意地の悪い笑顔で沙織に聞いた。
「ホテル?」
沙織は照れくさそうに笑いながら言った。
満足そうに笑いながら孝治は車を発進させた。
「なぁ沙織、絶対後悔しない?沙織が後悔したり傷つくならやめるよ。」
孝治は真面目な声で沙織に問いかけた。
「後悔しないよ…。」
沙織は小声でそう言った。
沙織はベッドで泣いていた。
孝治は動揺を隠せなかった。
そそくさと帰る準備をする沙織、孝治はこうなる事も予想していたため、若干の苛立ちを感じつつもそれを表面に出さないように沙織に問いかけた。
沙織は元彼を思い出して泣いていたようだった。
孝治は言いたい事も自分の感情も抑え続けた。
帰る車内も気まずいまま。
沙織を送り届けた後に孝治は後悔していた。
自分のしてしまった事への責任、色んな後悔が孝治の中によぎった。
家に帰って出張の荷物を準備している間中考えた。
外では小鳥がさえずる中孝治は眠りについた。




