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第四話 -神の裁き-


ㅤ今さらな気がするけどエリオって人気だなぁ。そりゃあそうか、可愛いし愛想もいいし強いし、家柄もいいんだろうな。


ㅤこの町にあるどの家よりもエリオのとこの家が大きいな。


ㅤふっ、俺もそこに(隠れて)住んでるんだぜ!

ㅤㅤ

ㅤエリオ本当可愛いなぁ。髪とか緑に青がちょっと入ったような淡い感じだし本当綺麗だな。


ㅤ背は…俺より少し高いな…。


ㅤくそっ


ㅤそりゃね?俺は学校でも真ん中くらいだったしね?そんなに低くないほうだと思うよ?あと12だけ足したら180あるしな!


ㅤ高校卒業までの半年で12伸びる予定だったんだが異世界に来たしどうなるかわかんなくなっちまったなー!くぅ〜。悔しい!エリオの買い物終わるまで背伸びでもしてよう。


ㅤん……??ん…?

ㅤㅤ

ㅤも、もしかして…あいつ……ママ?


ㅤい、いや……そんなわけ……


ㅤ気がついたら俺は走ってた。


ㅤ今日が何曜日か知らないがやけに人が多く、ママの姿は見え隠れした。そいつらは相変わらず俺に異様な視線を向けていた。

ㅤㅤ

「くそっ!邪魔だ!のけっ!」


ㅤ周りの人の目がこちらに注目しているが気にしない。異世界に来たいと望んでいたが、家族と別れたい、などとは思って居なかったのだ。


ㅤもう会えないかもしれない、と実は覚悟していたが、たった今希望が舞い降りた。


ㅤここで見失うと絶対にもう会えない。そんな気がして無我夢中で走った。ママの姿が角を曲がる。細い路地に入って行くようだ。


ㅤ(迷ってるのかな?)


ㅤだとしたらなおさらだ。


ㅤ早く見つけて事情を話してエリオにそれっぽいそぶりを見せてみよう。あいつなら俺たちを見捨てたりなんかしない筈だ。


ㅤあいつは全裸で言葉の分からない俺を救ってくれたんだ。単純だと思われるかもしれないが俺はエリオを信用している。

ㅤㅤ

(ここを曲がればっ……)


「ママ!居るのか!?俺だよ!千尋だよ!ママ!どこだよ!」


ㅤそこには…壁しかなかった。


(くそっ…なんでだ?さっきそこに…)


ㅤおい、みんな突然話が変わるが聞いてくれ。俺は大切なことを忘れていたようだ。


ㅤ現世でもこういう細い路地ってヤンキーが溜まってるイメージあるよな。どうやら俺もそれにあっちまいそうだぜ。ひぃぃ。


ㅤそこには人型のくせに目が8個ある馬みたいな顔のやつと、肩から紫色のトゲがでた腕が6本あるやつ、その他にも明らかに人間でいうヤンキーみたいな魔物が居た。


ㅤハハッ。これはアレか?またエリオが助けてくれるのかなぁ。それはないか…いきなり走っちゃったしここがどこかもわかんねぇ。


ㅤ後ろは壁、前には魔物。壁ドンならもっと可愛い奴が来いってんだ!


ㅤいや、まて。こいつら何か話してるぞ?実はこんな顔しながら現世でいう警察官だったりして?


ㅤ路地に迷い込んだガキを保護。うん、いい感じだ。その線で話しかけてみよう。


ㅤ言葉が通じるわけがないのでとりあえず身振り手振りで伝えてみた。


ㅤが、俺の全身を使った渾身の説明に見向きもせずそいつらは俺に襲いかかってきた。


「niormg.pl'm!!!」


ㅤんぇえっ!?!?こ、これは怒られてるのか?こ、こっちくんなよ!せめて日本語で言ってくれよ!うわぁぁぁああ!!!


ㅤ俺は無我夢中でその辺にあった物を投げた。すぐ前に居た目ん玉野郎とトゲ野郎は怯んだみたいで走って振り切ることが出来たが、残りのこいつらどうすりゃいい?


ㅤくっ、ここはアレを使うしかないか…いくぜっ!異世界よ俺に力を!!


「UFOだぁあぁぁあああ!!!」


よしっ!!あいつら馬鹿だ!騙されやがった!このまま路地の外に出ればっ……


ㅤハッ…


ㅤだ、だよな。相手は何なのか思い知ったよ。くそっ……目ん玉野郎……いつ間に前に……


ㅤじゅぅぅぅぅ……


ㅤっ!?


ㅤな、なんだ?目ん玉野郎の唾って石とか溶かすの??化学でそんなの習った覚えないんだけど?これ浴びたら死ぬよね?


ㅤああ、もう今度こそ終わった。唾かけられて溶けて液体エンドだよ。俺って無力だなぁ。嫌になるくらいだよ。


ㅤだが…何も抵抗しないと思うなよ…俺かて生きるためなら頑張れるのさ。


ㅤお前らをなんとか倒して俺はエリオと帰る!目ん玉野郎は自分に合うサングラスでも探してきな!

ㅤㅤ

ㅤ俺はやけくそで拳を突き出した。


ㅤここで、神秘なパワーが発生して…


ㅤなんてことはなく、見かけによらずすばしっこい目ん玉野郎に避けられて腹に重いパンチを受けた。


「ぐぉぇぇぇっ!!」


ㅤ誰も殴ったことがなく、本気で殴られたこともない俺は初めて本気のパンチの重みを知った。親父にも殴られたことないのにっ!


ㅤ苦しんだのも束の間、腹を抑えて動けない俺は膝蹴りを受け意識が飛びそうになる。

ㅤㅤ

「ぐっ………や、やばい……」


ㅤ俺は腹と顔に受けた膝蹴りの痛みに耐え、目ん玉野郎の足を思いっきり蹴った。


「ぐああっ!!!」


ㅤ叫び声をあげたのは他でもない、俺だ。

ㅤ奴の足は鉄みたいに硬かった。


ㅤそして悶える俺に容赦無く追撃を入れてきたのは目ん玉野郎。

ㅤㅤ

ㅤくそ…意識が………


ㅤ飛びそうだった。だがそのとき、奴の攻撃が止まった。


(な……なん…だ……?)


ㅤ唾を溜め始める目ん玉野郎と目があった。


ㅤ8個の目ん玉に見つめられるのは寒気がした。背筋が凍りつき、汗が止まらなくなった。


ㅤ人生はコンティニュー出来ない。


ㅤドラ○エとかで主人公たちが金が全くないときに全滅するときもこんな気持ちなのだろうか。


ㅤそんなことはどうでもいい。何故、何故俺はこんな目に遭うんだろうか。そんなことも分からずに殺されるのか……異世界なんて…来るんじゃなかったな……


ㅤなんて後悔を吹き飛ばすかのように路地が凄まじい光に照らされた。


ㅤ目ん玉野郎の体が吹き飛んだ。


ㅤ他の奴らも壁のほうに飛ばされている。


(な…なんだ……?)


ㅤ光はすぐに消え、そこには一人の少女がたっていた。緑に青を少し入れたような淡い髪、俺よりも少し高い背丈。


ㅤエリオだ。


ㅤ剣を構え、左手を突き出した状態でエリオは俺のほうを向いた。


「どうしてこんなとこにいるのよ!私から離れないようにって教えたじゃない!」


ㅤ何故か言葉の意味が理解出来た気がした。


「とりあえずそのまま動かないで待ってなさい。私はこいつらに用があるから。」


ㅤエリオは魔物どもには一言も話さず、冷静に呟いた。


「神の裁き、我に敵する者をその光で焼き消さん。ホーリーフラッシュ」


ㅤエリオの左手が光り輝いた。


ㅤ魔物の絶叫が聞こえる中、俺はそっと意識を手放した。





ㅤㅤ

ホーリーフラッシュ

前方に高熱の放射線を放つ魔法


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