第十四話-冒険部-
すみません、予告詐欺しました。
ザメリ視点ですらないです。
ㅤこの学校に入学して2年。一年生の頃は色々あったな。主に俺がこの世界の常識を知らなかったせいで。
ㅤまあ、そんなのは今でもバンバン起こる。元々17年間地球で生きてたんだ。そのくらいあって当たり前だろ?
ㅤそれに俺が常識知らずでも何でも皆が助けてくれたからな。ん?自力で解決しろって?
ㅤばっかお前、言葉覚えただけでもめっけもんだって!脳が若くてよかったよ。また他の異世界に飛ばされたりしたら言葉覚えるのめんどそうだなぁ。
ㅤフ、フラグじゃないよ?嫌だよ?
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ㅤ入学して一年で感じたことが3つある。一年でたったの3つかよ!とか言うなよ?俺だって結構大変だったんだよ!それにこういうときは大体3つって決まってんだよ。
ㅤまず一つ目。体育が辛い。
ㅤいや、ほんとだって!体育やりたくないとかそんなんじゃねぇんだって!体育の授業で何してると思う?剣術だよ剣術!学校が持ってる木刀借りて剣術の授業やってるんだぜ?
ㅤそれの何が辛いか、だって?そりゃあ誰もがやってることだよ?授業だしな。だか、よく考えてくれ。俺…木刀に拒絶されちゃいました!
ㅤ分かるか!?周りが木刀持って素振りとか打ち合いしてるなか、俺だけ見えない剣を振り回してんだぞ?精神的苦痛しか感じないかんな?
ㅤさすがに俺も何とかしようと思いました。自分の剣使っていいか聞きました。ダメでした。ハイ。
ㅤこの学校はカリキュラムが決まってて、1〜5年生は剣術をず〜っとやって6年生になって初めて、武術を交えた剣術を学ぶことになってるらしい。
ㅤつまりさ、6年生までエアーブレード振らなきゃいけないんだぜ?
ㅤもういっそ授業受けたくねぇよ…単位とか無けりゃサボってんのにな!あーあ!
ㅤだが、残念。単位を取らないと進級できません。…辛いにゃん。
ㅤくくく…俺が今回話したいのはこんなことじゃない。アレだろ?千尋のアレ出来ないコレ出来ないが始まると思ったろ?残念でした!
ㅤ今年で俺達は2年生!部活ってもんができるようになったのさ!やっと俺の時代の幕開けが来たようだな。
ㅤこの学校には沢山の部活がある。野球部から魔法研究部、おまけに違法撲滅団なんてものもあるぞ。違法とは世界規模で禁止されている魔法や気法のことだ。学生がそんなたいそうな事ができるのか?いや、あいつら団室で遊んでるだけだったぞ。
ㅤ俺は昼休みに素振りをする習慣を辞めてはいない。毎日してないと衰えるからな。だが、だからといって体育で周りが木刀振り回してるのみて羨ましくないか、と聞かれれば羨ましいと答える。俺だって皆と剣術学びたいんだ。
ㅤだから俺は一切迷わなかった。入るならこの部活しかないと思ったね。
ㅤそう、冒険部
ㅤ剣術関係ないって?いやいや、よく考えてみろよ。冒険部といえば冒険。冒険といえば敵。敵といえば戦い。戦いといえば?そう、剣術。
ㅤ実戦経験が沢山あったほうがいいだろうしな。それに夏休みには外に遠征に出られるらしい。去年はガビンとトレーニングしかしてなかったから楽しみだぜ。
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ㅤはい、ということで来ました。冒険部の部室!部室に何があるんだろうね。やっぱり冒険に必要な道具とかあるのかな?
ㅤ俺は期待いっぱいに部室のドアをノックした。横にはエリオもいる。さっき見つかって冒険部の話をしたら「私も入る!」とか言ってついてきた。まぁ…丁度いいか。一人じゃさみしかったし。
ㅤ中から「どうぞ」と低い声が聞こえたのでドアを開け、出来るだけ礼儀正しく腰を曲げて挨拶をした。
「失礼します。僕は2年生特別クラスの千尋と申します。もう一人はエリオと申します。冒険部に入部しにきました。」
ㅤここまで言い終えて顔をあげた。俺は驚いた。中には妖しく微笑む女性一人を除いて誰も居ない。俺はすぐにその声の正体が分かった。長い金髪、見た目からは想像がつかない程低い声、軍人みたいな服。
「クレンシュナ先生…」
ㅤなんでこんなところに、とは思わなかった。クレンシュナ先生が元冒険家だと知っていたから冒険部の顧問はもしかしたら、と思っていたからだ。
ㅤ俺が驚いたのはそこではない。他の部活が部活動の真っ最中であるにもかかわらず、この部室には誰もいなかったからだ。
ㅤ…嫌な予感がする。
「千尋、エリオ。貴様らは冒険部に入部すると言ったのか。」
「「はい!」」
ㅤおっと、思わず敬礼してしまった。改めて見てみると先生の目の色って緑なんだな。綺麗だなぁ。普段怖い顔してるから顔なんてみることほぼなかったよ。
「では、冒険部の部活の説明に入る。そのまえに質問はあるか。」
ㅤ質問は…ある。でも怖い。言わないほうがよさそうだ。
「千尋、言ってみろ。」
ㅤ考えてることばれてました!えへへ、こうなりゃヤケクソだ!聞いてやれ!
「せ、先生!今は何名の部員がいるのですか?」
「0名だ。」
「「え?」」
「聞こえなかったか、0名だ。」
ㅤまさか部員がいないとは思わなかった。エリオまでも思わずすっとんきょうな声が出てしまっている。
ㅤだがおかしい。部員が居なければ廃部になってもおかしくはないはずだ。クレンシュナ先生が学校に脅しをかけているとか?こ、これも聞いてみなきゃ。
「0名なのにどうして廃部になってないのですか?」
「去年は5名部員が居た。全員2年生だった。しかし今は0名だ。」
ㅤ俺は唖然とした。もしかして冒険部ってかなりやばい部活なんだろうか。その5人ってもしかして…冒険中に…
「先生…まさか…その5人は冒険中に…」
「いや、私が居て誰かが死ぬようなことになるのはありえない。」
ㅤホッ…俺は心からホッとした。ホッとし過ぎて鼻水がでてきた。ぐじゅっ。よかったよかった。
「ではどうして今は0名に…」
「決まっているだろう。全員辞めたのだ。入って1ヶ月で来なくなってしまった。レイブン魔法学校では一度部活に入ると1年間は絶対に入部していないといけない、という決まりがある。だから3年生になったあいつらはもう来ない。」
「…何故辞めたのですか?」
「冒険は厳しい。何が起こるか分からない。だから毎日のトレーニングが必要だ。それに耐えられなかったから辞めた、それだけだ。」
ㅤあ〜、なるほど。なんかそいつら可哀想に思えてきたよ。入学試験にミノタウロスぶち込む人だもんなぁ。絶対厳しいでしょ。俺も辞めとこうかなぁ。
「トレーニングの内容は人による。例えば千尋。貴様は剣を使っているな?剣を使うやつには剣を使うやつのトレーニングメニューを私が用意してある。もちろん実践を意識してのトレーニングだからそのときは自分の剣を使え。」
「本当ですか!入ります!」
ㅤ気付いたときには入部していた。剣を使えると思った瞬間叫んでしまった。聞かないといけないこと他にあったっけな。うーん、もう入部しちゃったしいいや!
ㅤエリオも授業以外で訓練ができることが嬉しいのか、いきなり入部を決めた俺に続いて入部を決めた。
「ガハハハ!俺様も入部しにきたところだ!サーヤも連れてきたぞ!」
「ボクが冒険部!?む、無理だよ…ボク…弱いし…臆病者だし…」
ㅤガビンがいつの間にかサーヤを引きずって後ろにきていた。サーヤとかやばいんじゃないか?先生の出すメニューとかこなせるのか?
「そうか!貴様らも入部するか!入学試験のときのパーティ決めの通りだな。さすが私だ。」
「えっ!?あのときのパーティって適当じゃなかったんですか!?」
「違う。学校に入った瞬間から私の目によってきちんと決めている。」
「目?先生の目には何か能力が…」
「ない。」
ㅤ残念。あったらいいな、と思っただけだもん。
ㅤ「千尋、エリオ。部屋に戻ってガビンとサーヤに今日の話を聞かせろ。そして来週の月曜日の放課後17:00。校門に来い。まずはランニングから始める。」
ㅤ先生はそういって席を立ち、職員室へ戻ってしまった。
ㅤおぉ、今日からこってりシゴかれるのかと思ってたけど来週からか。それまでに体調を万全にしておけってことだろうな。その辺もガビンに伝えておこう。
「先生もああ言ってたし部屋に戻るか。来週から頑張ろうな!」
「もちろんよ!」
「ガハハハ!よく分からんが分かったぞ!」
「うぅ…頑張る…」
ㅤサーヤは少し可哀想だな…被害者ともいえる。だが、この4人で折角冒険部に入ったんだ。できるだけサポートして皆で冒険できるようにしなきゃな。
ㅤ俺は部屋に戻り、ガビンに先生の話を聞かせてご飯を食べた。来週に向けて体調管理を徹底しよう。そんなことを思ってるうちにいつの間にか夢も見ずに寝た。
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「では、これよりランニングを始める。校内ではなく、学校を外回りで走る。これは毎日行うつもりだ。気を引き締めて遅れないようにしろ。」
ㅤ柔軟体操を終えた俺達は校門に居た。入学式以来校門に来るのは初めてだ。外にでたところで石投げられたり魔物に襲われたりするだけだろうし、エリオにもそう言って外に行かないようにさせていた。
ㅤ…大丈夫だろうか。
ㅤもしかしたら、俺達だけでなく先生やガビンやサーヤにも迷惑がかかるかもしれない。
ㅤそんな俺の不安を予期していたのか、先生が俺とエリオにフード付きのローブを渡してきた。ネズミ色で裾が少しボロっちい、だがそこが良い。
「貴様らはこれで頭を隠せ。黒髪に関しては仕方がない。人目に触れるところでは今後これで隠すといい。見られなければどうということはない。」
ㅤ先生は「行くぞ」と声をかけ、走り出した。こういうとき先生は自転車に乗って俺達の後ろから怒鳴っているイメージだったが、この世界で今のところ自転車を見たことがない。馬車ばっかりだ。
ㅤ馬に乗って後ろから追いかけられるのも面白いな。
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ㅤ先生は結構はやい。俺とガビンは毎日のように学校の敷地内を走っていたから今のところはついていけるがエリオがそろそろきつそうだ。黒くなった肩ほどの髪を振り乱して肩で息をしている。
ㅤサーヤは…迷子になってないといいな。先生が見えなくなっても学校に戻ればいいだけだから、まぁ大丈夫だろう。
「時間がかかってもいい。ついてこれない奴は自分のペースで完走することを考えろ。」
ㅤ意外に優しい言葉がかけられたようだ。今年は優しめにするのかな?
ㅤ俺とガビンはついていけるので先生についていく。可愛い可愛いエリオを置いて行くのは心苦しいが、エリオは俺を睨んで次こそは、という顔をしている。この分だと大丈夫だろう。
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ㅤランニングを終えた。この学校広すぎる。学校一周とかいって軽く5カルシメールはあったぞ。これを毎日か…うぅっ。考えたくもない。
ㅤエリオは仰向けに倒れてゼーゼー言っている。お疲れエリオ。お前ならすぐに慣れるさ。
ㅤさて、問題はサーヤだ。先程からうつ伏せに倒れこんで動いていない気がする。もしかして…やばい?
「先生!」
「なんだ。」
「サーヤがピクリとも動きません!」
ㅤ先生はサーヤに寄って行き、サーヤを仰向けにして額に手を添えた。
ㅤおお!ヒーリングか!?と思ったが先生は何も言わず戻ってきた。サーヤは動かないままだ。
「先生、サーヤは大丈夫なんですか?」
「ああ、気を失っているだけだ。おそらく意識朦朧で走っていたんだろう。たいした根性だ。」
ㅤサーヤ凄い!気を失うまで走れるやつなんてお前しか知らないよ!でも…明日も頑張って…
ㅤ俺達がサーヤを気の毒そうに見ていると先生が早速次のメニューの指示をだした。
ㅤこれは筋トレだな。これも毎日やっているので大丈夫だ。量もさほど変わらない。いつもより少ない程度だ。
ㅤ内容は以下の通り
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・腕立て100回
・腹筋100回
・背筋100回
・スクワット100回
・金曜日のみ、これらとランニングの代わりに仁王立ち2時間
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ㅤに、仁王立ち?立ってるだけでいいの?全然きつそうじゃないんだけど?
「貴様ら今仁王立ちが楽そうだ、と思ったか。」
ㅤひぃっ!なんでこの人こんなに俺の考えを読んでくるの!?
ㅤエリオとガビンも俺と同じような顔をしていた。同じことを考えていたんだな。安心安心。
「当日のお楽しみだ。今日はただの筋トレだ。土日はランニングの時間とこの時間を使ってそれぞれのメニューを与える。まずは腕立てからだ。数えながら始めろ!」
ㅤふーん。仁王立ちはともかく土日が楽しみだ!元冒険家の先生がメニュー
くれるってだけでワクワクするぜ!
ㅤ筋トレの途中で意識が戻ったサーヤもきっちりと筋トレをさせられていた。そして筋トレを終えた俺達は解放された。
ㅤ日は傾いて空は夕日の色より夜空の色の方が濃かった。もう7時だ。想像よりもトレーニングがそんなにきつくなかった。この調子だと土日のトレーニングに疲れなしで望めるだろう。
ㅤ俺は寮に戻って一日を終えた。
ㅤガビンもたいしたことなかったと言っていたので大丈夫なのだろう、エリオ達も頑張れよ、そんなことを考えながら。
ーーーー
ㅤおい、みんな聞いてくれ。
ㅤ俺はもうすぐで三途の川を渡りそうだ。サーヤはもちろん、エリオもガビンも倒れてしまった。残っているのは俺だけだ。
ㅤこいつらの意思を無駄にしたくはない。だが、もう限界かもしれん。無理なもんは無理だ。ああ、力が入らなくなってきた。じゃあ……な……
ㅤバタッ
ㅤ
ーー1時間前ーー
「今日も訓練を始める。今日は金曜日だ。わかっていると思うが2時間仁王立ちをする。」
ㅤ今日は楽勝だ。なんせ立ってればいいだけだぜ?今までのトレーニングから比べたらハナクソみたいなもんだ。おっと、それでも一応説明は聞かねーとな。
「まずは立ち位置を決めろ。肩幅以上に足を開け。そして終わるまで絶対に足をその位置から動かすな。膝の屈伸も許さん。質問はあるか。」
ㅤない。楽勝だ。すごい重い物を持たされるとか呼吸禁止とかは無いみたいだ。本当に立ってるだけでいいらしい。サーヤもホッとしている。木曜日まで毎回気を失ってたが今回は大丈夫そうだな。
「立ち位置を決めたか?では始めろ。」
ㅤ
ーーーー
ㅤあれから30分が経過した。やっぱり何ともないじゃないか。あーあ、暇だぜー。歌でも歌おうかなー怒られるかなー。
ㅤ暇に耐えられず俺はちょっと視線を回してみんなの様子を見た。
ㅤうん、わかってる。暇だよな。ガビンと目が合い、アイコンタクトで会話する。エリオとも同じようにアイコンタクトを交わした。
ㅤん?ん?え?サーヤ大丈夫か!?なんか顔が青い…あっ!
ㅤドサッ
ㅤサーヤを俺の視線に気付いて一瞬顔をあげ、その場に崩れ落ちた。顔は真っ青に、唇は紫になり血の気が無くなっていた。
ㅤ先生はやはりか、と呟いてサーヤを木陰に連れて行き寝かせた。
ㅤ何が起こったのかわからない。立っていただけだ。倒れる要素がどこにもない。
ㅤハハーン、わかった。こうやって体調管理や体力回復がきちんとできているか確かめてるんだな。サーヤは毎回のように倒れていて疲れは溜まりまくってたんだろう。そりゃ倒れても仕方がないな。
ㅤサーヤが倒れてもなお動くことを許されていない俺達はそのまま立ち続けた。サーヤは心配だが、先生も居るし大丈夫だろう。
ㅤ……暇だ。
ㅤ脱落者が出てから15分が経過した。
本当暇だわ。あと1時間以上残ってる。何しよ、エロいことでも考えようか。
ㅤそんなくだらないことを考える俺の耳にまたあの音が届いた。
ㅤドサッ
ㅤ気が付くとエリオがサーヤ同様、真っ青になって倒れていた。
ㅤな、なんだ!?エリオも疲れが溜まってたのか!?あ、もう飽きたからって演技か?なるほど、確かに飽きたな。暇で死にそうだし俺も倒れたフリするか?
ㅤあんなに顔を真っ青に出来るなんてエリオも演技派だな。
ㅤ先生はだらりとなった力の入ってないエリオを抱え、木陰で倒れているサーヤの隣にエリオを寝かせた。少し顔色が戻ってきたサーヤと比べるとエリオの顔色はやばい。演技じゃない、と一目でわかった。
ㅤ俺も何だか足が痛くなってきた気がする。だが、まだ全然大丈夫だ。俺は2時間いけるだろう。なんせ立つだけだしな。
ㅤドサッ
「え?」
ㅤガビンが倒れた。運ばれた。俺は一人になった。
ㅤえ?何が起こってるんだ?昨日はあんなに元気そうだったのに…さっきも余裕である!ガハハハ!とか言ってたじゃないか!なんでお前が倒れるんだよ!
「残るは貴様だけだ。精々耐えるがいい。」
ㅤ先生はそう言って俺は残った。ホワット?誰か説明してくれ、どうしてこうなった。
ㅤ仁王立ちを始めて55分経った。
ㅤ俺は、というと全身の力が抜けて行くのを必死に抑えている状況だ。まだいける、そう思っていたらジワジワと足から伝わってきた重さが全身に一気にまわった。
ㅤ力が入らない。足はガクガクしている。腰が痛い。四肢がかなり重い。
ㅤ迫り来る全身の苦痛に必死に耐えていた。これはやばい。あいつらが倒れるのも分かる。うん、死にそう。
ㅤだがここまできたら根性で耐えてやる!俺は覚悟を決めてるんだ!エリオを守るってな!立ってるだけで死にかけるようなヤワな男じゃねぇってことを先生に思い知らせてやるぜ!
ㅤ俺は苦痛を顔を歪ませながら、ギュッと目を瞑った。時間が進むのがかなりゆっくりに感じられる。辛いがここで諦めてはダメだ。
ㅤそして、俺は倒れた。限界だ。どう頑張っても体に力が入らないのだ。はぁ、情けないな。
「1時間2分か。最初にしてはよく保った方だ。因みに今日2時間仁王立ち出来なかったので明日も同じことをする。覚悟しておけ。」
ㅤ俺達の地獄の仁王立ちは始まったばかりのようだ。
仁王立ちはかなりきついです。成人なら1時間は余裕でしょうが2時間は立っていられないと思います。
次はエリオ視点で努力です。




