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『天井』

作者: 怪談男

 俺はかつてあるアパートの一室に住んでいたのだが、どうにも不可解な事があった。アパート自体は二階建て築30年の古い木造建築で、まあそれ相応の安い家賃に、日当たりも良くて非常に住みやすい物件だった。しかし一つだけ気に掛かることがあった。

 部屋にいると、上からだだだだだ、という何かが駆ける音が響いてくるのである。上に住む住人の仕業だと思うかもしれないが、俺は二階に住んでいる。最上階だ。

 つまり天井に何らかの動物、足音から考えるに猫やハクビシンなんかが住み着いているんだと思った。昼間は別に気にも留めないが、寝る間際には眠りの妨げになることも少なくなかった。

 ある日、とうとう覚悟を決めた俺は原因を特定するため、天井を覗いてみることにした。動物であれば大家に頼んで駆除してもらえばいいと、懐中電灯片手に天板を空けて中を覗き込んだ。

 しかし何も発見できない。けれど足音は微かに聞こえていた。当然だ、足音がする時を見計らって突入したのだ。だからこの暗闇のどこかにいることは確かだった。

 懐中電灯を振りながらしばらく見渡していると、奥の角の方に白い何かを捉えた。しめた、と思いながら目をよく凝らすと、その何かがこちらにペタペタと近づいて来るのが見えた。案外人懐っこい動物なのかもしれないと手招きまでして見せたのだが、段々とその様子がおかしいことに気付いた。

 四足の歩き方が、俺の知っている動物と明らかに違っていたのだ。その動物?がやや速度を上げながらこちらに向かって来るのを、俺はじっと見つめていた。やがてさらにスピードを上げたその姿が光の下にはっきりと顕になった瞬間、俺は絶叫を上げた。

 裸の子供だった。白い子供が四足で駆けてきたのだ。俺は慌てて顔を引っ込め、部屋に転がり落ちた。そして天井の蓋を閉める余裕すらなく室外へ走り去った。

 その後、言うまでもなく部屋の解約に至った。

 あれから5年。俺は未だに心休まる快眠を迎えることはできないでいた。何故かって? 今も天井からあの足音が響いてくるからだ。

 ・・・どうやらあの白い子供、転居先にも付いてきたようなのだ。













眠れなくて仕方がねぇ・・・

君達の家は大丈夫ですか?

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