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027 告知配信(1)




「おいおい、ギリギリだぜ」

「ごめん。ちょっとトラブルがあって」


 自宅に戻ったのは午後5時50分。

 告知配信の開始10分前だった。


 佑には合鍵を渡してあるので、僕より先に来て待っていたようだ。


「ほら、コレ」


 佑が皿を突き出す。

 バナナとゆで卵が山盛りだ。


「機材のスタンバイは済ませといたから、さっさと食っちゃえ」

「うん」


 急いで食べて、ミネラルウォーターを流し込む。


「ふぅ」


 ひと息ついて、配信端末の前に腰を下ろす。


 なんとか、間に合った。

 隣には佑が座っている。

 今日は二人での配信だ。


 「えつくすー」で配信告知をして、スタンバイ。

 すでに10万人以上が待機している。

 配信端末に俺だけが映るように角度を調整する。

 深呼吸して気持ちを落ち着かせ、配信時間になった――。


「こんばんは。ひでおのダンジョン配信チャンネルのひでおです。僕の配信にお越しいただき、ありがとうございます」


”ひでお~”

”待ってた”

”ヒーロー登場!”


「昨日お伝えしたように、今日はお知らせが2つあります」


”わくわく”

”なになに?”

”期待”


「ですが、その前に、スペシャルゲストの――」


”ゲスト!?”

”友人Aか?”

”まさかリリたん?”


 僕は配信端末を操作し、佑が映るようにする。


「助けるマン登場!」


 いきなりハイテンションでの顔見せだ。

 といっても、佑はお面を被っているので、素顔は見えない。


”!?!?”

”ヒーローのお面w”

”助けるマンww”

”お祭りの屋台で売ってる奴www”


「えーと、彼が前に話していた幼馴染みの友人です」


”やっぱり友人君か”

”さすがひでおの友人w”

”しょっぱなからテンション高すぎwww”


”誰?”

”何者?”

”ヒーロースーツやら、ひでおにガジェットを作ってる人”


「おう、俺が友人Aの助けるマンだぞ」


”声がイケメン”

”イケボ”

”抱いて”


「どうやら、俺に訊きたいことがいっぱいありそうだな。だけど、今日はそれは後回しだ。俺が登場したのは伝えたいことがふたつあるからだ。先にそっちを済ませるぞ」


”ひでおと全然タイプが違うw”

”だからこそ、仲良しなんだろうな”

”俺様すぎて惚れる”

”場慣れしすぎじゃない?”

”素人じゃないだろw”


「まず、ひとつ目。ヒーローアラート」


 タスクが腕輪を端末に近づける。


「名前の通り、ダンジョン内で危機を探知して通知するガジェットだ。次回のダンジョン配信で使ってみせるから楽しみにな」


”すげえの出て来た”

”まさにヒーローガジェット”

”これでピンチに駈けつけるのか”

”わくわく”

”次回が楽しみすぎる”


「ちなみに探索者協会が使っているあるガジェットを改造した俺作のオリジナル」


”ガジェットってそんなに簡単に作れるの?”

”いや、無理”

”ガジェット開発は大企業とか、研究機関の仕事だぞ”

”NDGIとかな”

”友人も凄い人?”

”ひでおに負けず劣らずの規格外”


「よし、いいか? ふたつ目はお金の話だ。俺が担当しているから、俺が説明する。みんなも思ってるだろうけど、ひでおはこういうの苦手だからな」


”確かに”

”物欲なさそう”

”配信とヒーローしか興味ないからな”


「ヒーローに似つかわしくない話だが、ここはちゃんとしておきたい」


”まあ、気になるところだな”

”ひでおクラスだと、大金だろ”

”4桁万円?”

”5桁いくんじゃね?”


「訊きたくない奴は俺が右手を挙げるまでミュートしとけ」


”友人くん、気遣いもできる”

”ミュートした”

”ミュート完了”

”俺は聴くぞ”

”私も”


「まず、収益化。こっちは週明けにでも申請が通る。スパチャをガンガン頼むぞ」


”スパチャきたー”

”待ち切れん”

”初回スパチャ凄そうw”

”リボ払い準備完了!”

”リボはやめとけwww”


「次は、切り抜き。今までのから金はとらないけど、今後は折半だ」


”まあ、妥当だな”

”えー、俺は反対”

”広まったのは切り抜きの影響が大きいからな”

”難しいよね。”

”私は賛成”


「おお、やっぱり反対の声が出るな。安心しろ、想定内だ」


”カッコイイ”

”俺も言ってみたい「想定内だ!」”

”友人、さっきからイケメン過ぎるw”


「これがお金に関する最後の話だ」


”なんだろ?”

”いい話か、悪い話か”


「ヒーロー活動による収益は必要経費――ひでおの生活費やら探索に必要な費用やら――それ以外は全額寄付だ。これでも文句あるか?」


”おおお”

”思い切ったな”

”さすがはヒーロー”

”太っ腹すぎる”

”物欲なさ過ぎだろw”


「寄付先はダンジョン協会。使途は探索者育成と探索者遺族支援。収支報告はちゃんと公開する。すでに税理士にも話し通してある」


”寄付先がまさにダンジョンヒーローだ”

”友人君、良いパートナー”

”最強のカップリング”

”薄い本出そうw”


”友人君、本当に高校生?”

”俺が高校生のときはおっぱいのことしか考えてなかった”

”おっぱいw”


「よし、お金の話はここまでだ」


 ひでおは右手を挙げて、しばらく待つ。


「ミュート解除したか?」


”聴いてなかった奴、アーカイブ観ろ”

”観なきゃ損”

”ますます印象が良くなる”

”聴いときゃ良かった……”

”なになに、気になる”


「以上。質問ある奴いるか?」


 佑の発言にコメントが一気に流れる。


次回――『告知配信(2)』


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9月12日、飯島しんごう先生によるコミックス1巻発売!

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