天下一じゃない武闘会
「まずは当分の目的はステーテス上限を上げる為に上限の書を手に入れることだな。」
どうすれば上限の書が手に入るのだろうか?
金なら複製で増やせるのに。
「そういえば、国が開催している武闘会の優勝の副賞に上限の書があるって誰かが言ってたな。
幸い、ステータスは全部999だし出てみるか。」
思い立ったが吉日…と言うわけで、ちょうど今日が大会だと言う会場に行ってみた。
どうやらこの大会は観るためのチケット代で運営しているだけあって客層は良さそうだ。
「すいません。参加したいんですが。」
近くにいたスタッフに声をかけ、そのまま通される。
「案外あっさりと通されたな。」
「これをどうぞ。」
何か本のような物を手渡せる。
「何ですかこれ?」
「それは『鑑定LV5』の書です。相手のステータスやスキルを見れたりします。あと物の鑑定もできますよ。」
「これ、タダなんですか?」
「はい。普通にダンジョンに落ちているんですけど便利なので意外と重宝されているんですよ。
まぁ強すぎる相手に殺される前にギブアップできるように。と」
「へぇ。」
本を開いてみる。すると、何も起きないと思った瞬間光に包まれた。
どうやらこれで鑑定を覚えたようだった。試しに自分の手を見て念じる。
すると、ギルドで見たのと同じステータスが頭の中に浮かんできた。
「なるほど。これは便利だ。」
少し案内され、初戦の相手とステージの上に立つ。
「はじめっ!!!」
その一声で勝負の火蓋が落とされた。
相手から距離をとりつつ、鑑定で相手のステータスを見る。
そこには、『HP 1228』とあった。
「何だよこれ?なんでこいつ上限の書を使ってるんだよ!」
「知らなかったのか?」
相手の筋肉ダルマが答える。
「この大会の副賞は上限の書だ。だが、本来の賞金は金貨1000枚だぜ!
この大会に出る奴らは皆、『上限の書を使っている!!』」
「何だと!」
言い終わると同時に筋肉に距離を狭められる。
一発。目にも止まらぬパンチが自分の腹に入っていく。
とても激しい激痛が走った。
近づいてきたのでこっちも一発パンチしてみる。
「何だぁ?蚊でも止まったか?」
全く効いていない。
「そうだ!こいつに複製を使えばダメージが2倍になるんじゃないか?」
相手に手を当て念じる。
「お!なんか元気になったぜ!」
距離をとり相手のステータスをみる。
HPが2倍になっていた。
「そんな!都合の良いようにいくかと思ったのに!」
「ギブギブ!こんな奴勝てるか!」
ギブアップするとすぐに相手の攻撃が止んだ。
そしてそのまま会場から出されてしまった。
「くそぉ!この世界にはご都合主義って物がないのかよぉ!」