アイツら!登場!
さあさてさて異世界に来ました。どうも!上村健斗でございます!いやぁこういう入り方してみたかったんですよね!
ところで、本題に戻りますが私は今何やかんやで拾った…いや手に入れたお金というか金貨で宿に泊まっています!
良いんですよこの宿。え?何処がって?そりゃあねぇ、この部屋、金貨1枚で何日入れると思います?
なんと10日!10日ですよ!凄いですね!…と話が脱線した所で全話に戻るんですが
もう今日は遅いので寝ます!話の切り方が下手!
…あれからどれぐらい経っただろうか?まぁ実際には十時間も経っていない訳だが、
今日も今日とて日銭を稼ぐためギルドに来ました。ギルドには昨日のような喧騒はなく、意外と静かだ。
昨日は時間が遅かったから酒飲みが集まっていたのだろう。
昨日と同じ扉を開け、まだ見新しい景色が飛び込んでくる。
「どうすっかな〜拾った金だけで生活するのは流石に安定しないからな〜」
「あ!こんにちはウエムラさん!」
「ああ、どうも。なんか草を採取するだけとか龍の卵を運搬したり特選キノコを拾う仕事あります?」
「えーっと、確かここら辺にーっと」
お姉さんが横に積んでいた書類の山をガサガサしている。かわいいな。
「あ!ありましたよ!」
「どれですか?」
紙を手渡され、目を向ける。昨日から思っていたのだがこの紙は植物の繊維を編んでいるタイプで技術の発展に違和感を覚える。
「龍灯草の採取…?」
「はい。その龍灯草っていうのは少し光ってましてね、松明の代わりなんかにするんですが数が少ない上に
値段も中の下程度なので中々採取に行く人いないんですよね。」
「なるほど…」
「ウエムラさんは複製スキルを持っているので案外楽に出来ますよ。」
「じゃあ、それやらせてください!」
「解りました。じゃあギルドの前に馬車が止まっているので龍戦山まで送って行ってもらってくださいね。クエストに行く人ならタダですから。」
「なんかちょっと物騒な名前の山ですね。」
「まあ龍は出ないので安心して行ってくださいね。」
ギルドを出ると馬車が止まっていた。
「龍頭山まで行ってください。」
「あいよっ!」
40代半ばであろうというおっさんが手綱を手繰り寄せ馬に指示を送る。
数分で平原まで来てしまった。
「そういやー」
「ん?」
おっさんに急に話しかけられビクッとする。
「お兄さんはなんで龍頭山なんかに行くんだ?あそこ何もないだろう。」
「あぁ、クエストなんですよ。」
「クエスト!?」
「え?」
「クエストなんてよっぽど腕に自信がある奴か職を失った浮浪者ぐらいしか居ないんだぜ。」
「へぇ…そうなんですか。」
びっくりする新事実を聞かされ、納得する。割の良さげな仕事が少ないからか、と思った。
「…さん、お兄さん!」
「ひひゃあ!」
少しうとうとしていてびっくりした。
「着きましたよ。」
「どうも。」
少し会釈をするとおっさんはまた道を引き返していった。
周りを見渡すと人がちらほらいる。どうやら効率のためにグループを組んでいるようだ。
「おい!お前!」
「え?」
若い同年代くらいの男に声をかけられる。金髪だ。
「協力しないか?俺ら全員初めてだからよ。服装を見たところお前も初めてだろ。」
「あぁ、わかった。同行しよう。」
二つ返事で承諾する。少し肩の荷が降りた。
「じゃあ行くぞ。名前は?」
「上村だ。」
「なるほど。ウエムラか。
俺はディーボルトだ。」
しばらく歩いただろうかという所で声を掛けられる。
「ウエムラ、仲間がいるんだが合流してもいいか?」
「良いが、どこにいるんだ?」
「山の中腹にいるんだ。」
なぜ仲間を中腹に残して麓にいるのかは深く考えないことにした。
「わかった。いいよ。」
「ありがとうウエムラ。」
「どういたしまして。」
少し歩いて、仲間と合流する。
「よろしく。俺はバレットだ。よろしく頼む。」
どうやら仲間というのはハゲたおっさんのようだ。薄目で笑っているように見える。
「よろしく。」
「今日はもう休もうか。」
ディーボルトがいったので承諾する。そして山小屋についた。少々の団欒を楽しんだと言う所で
スキルの話になった。
「そういえばウエムラはスキルは何か持っているか?」
「複製は持ってる。」
空腹耐性はマイナーなスキルらしいので言わないことにした。
「LVは?」
少し食い気味に聞かれた。
「5だ。」
その瞬間、俺は倒れてしまった。
目が覚めると、見慣れない小屋に来ていた。さっき居た山小屋とはまるで違い、少し肌寒い。
なぜか手足が縛られている。
「よぉ…目が覚めたか?」
「ディーボルトっ!これは何だ?」
ディーボルトが薄ら笑いしながら話しかけてくる。
「お前が複製のLV5を持ってるなんてなぁ、知ってるか?複製は持ってるだけで金が稼げるんだ。ノーマルスキルだが数は少ない。それこそLV5なんてのは貴族にでもなっていてもおかしくないんだよぉ。」
そんな事知らなかった。
「おい、そこに龍灯草がある。それを複製すれば布団くらいはくれてやるぜ?」
「くそぅ…」
寒かったので諦めて複製することにした。とはいってもどうすればいいのかわからないので念じてみる。
「増えろ…」
突如光を放ち草は二つに増えた。
「ふぅん…複製を持っているのは本当だったんだな。」
「おい、さっさと布団をくれよ。」
「はぁ?やる訳ないだろ。と言うかお前、落ち着き過ぎじゃないか?」
「人生2回目だからな。」
「何いってんだこいつ?」
呆れられてしまった。
それから、地獄のような日々が始まった。ディーボルトに草を増やすよう言われ、増やし続ける。
最初こそ気づかなかったが複製するたびに、疲労が貯まるのがわかる。
疲れて倒れそうになると、バレットに薬を飲まされる。どうやらカフェインのような物のようでこれを飲まされると
精神が覚醒するのがわかる。
それを何度も、何度も、何度も繰り返され、
気づくとその日々は終わっていた。どうやら雪の時期になり、置いて行かれてしまったようだった。
だが、紐で縛られたまま。空腹耐性のせいで死にたくても死ねなかった。どうやら空腹では死ねないようだ。
「そういえば、『ステータスを増やしてみたら』どうなるんだ?」
それに気づき、後ろで縛られた手を背中に押し当てる。そして念じる。
何回も、何回も、何回も、不思議と草を増やす時のような疲労は感じなかった。