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10年もの間アレフを苦しめていた鉄柵が、とうとう取り除かれる瞬間が来た。
「分身で・・・行けるなんて・・・思っても見なかった・・・」
「あはは!良かったねおじさん!これで外に出られたね!ほんと、偶然だけど」
六人に増えたミレノアがそれぞれ笑っている。まだ幼い・・おそらく年は15歳かそこらの少女に俺は助けれたんだ・・・。
「・・・ほんと。ありがとう。ミレノア。お前には感謝してもしきれない」
「そんな!やめてよ。おじさん。かしこまっちゃって!」
「・・・すまん」
俺は宝物庫から一歩足を踏み出した。
10年ぶりに俺は宝物庫から出ることができたんだ。10年前ピーナッツたちに裏切られてから、、、ほんと長かった。
「ミレノア・・・あそこにいるデビルスなんだが。あいつは偉いやつなのか?」
「うん・・・私達の階層で一番の上官だよ。私達人外を管轄する騎士団長ってよばれてるけど。何が騎士団なのかイマイチ意味はわからなんだけどね」
「・・・多分それは昔からある役職の名残だな。騎士団長っていう名前自体に特に深い意味はないんだよ」
「ふーん。変なの」
「大人の世界って変なことだらけなんだ。そっか、デビルスは偉いやつになっちまったのか」
「なに?おじさん?デビルスのこと知ってるの?」
「おじさんを閉じ込めた仲間の一人だ。デビルスは」
「えぇ!!!」
六人に増えたミレノアは一斉に驚いた。正直誰と話しているのかはわからない。6人全員に向けて話している。
「デビルスに対しては、おじさんにまかせてもらってもいいかな?ミレノア」
「おじさんがそこまで言うなら。じゃあ私はそのへんの邪魔なモンスターたちを狩っといてあげる」
「すまんな!ここは大人に任せておいてくれ」
アレフとミレノアがそんな会話をしている間、デビルスは必死だった。
デビルスは突然解き放たられた、アレフにどう太刀打ちしていけばいいか考えていた。
「さっき、ミレノアのやつを助けたときのあの魔力値・・・どう考えてもアレフのそれではない。昔やつとこのダンジョンを冒険していたときも、あいつはただのサポート係だった」
考え抜いた結果、デビルスはさっきみたアレフの魔力はなにかの手違いであると思った。今目の前に現れた事実と過去の事実を比較した結果、デビルスは自分の信じたい方を選択したのであった。
人間とはそんな生き物なのかもしれない。
「とにかく、ミレノアのやつをなんとかしないとな。許可なく狩猟行為していたにもかかわらず、何の罰則もないとなれば、また俺が舐められてしまう。なんとか俺の威厳を高めなければ・・・」
デビルスは再び魔法を唱えた。
【操作魔法 獣の集い】
デビルスの魔法をきっかけに再び、周りにいたモンスターたちが一斉にミレノアと俺に向かって突進してきた。
「おい!来たぞ!ミレノア」
「大丈夫だよ、今の私負ける気しないもん!6人だよ!おじさんは本体のデビルスを早くなんとかしちゃってよね」
というと、6人のミレノアは散り散りになり、向かってくるモンスターたちを次々となぎ倒していった。
ミレノアが独立して6人いる状態である。数百匹のモンスターを同時に操っているデビルスもすごいが、それを捌き切っているミレノアはデビルスを少し上回っている用に見える。
「おじさん!今のうちだよ!」
ミレノアが道を開けてくれている。俺はモンスターたちを横目にデビルスの元へ走っていった。
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