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ミレノアの背中に大きなアザが出来上がっていた。口からは吐血し、一気に瀕死の状態になってた。
「ハハッ!騎士団長の俺様に逆らうからこうなるんだよ。お前たち人外の考えなんて俺には分かるのさ。お前だけ【安全な位置】にいたもんなぁ。分身に攻撃を受けさせようとして、判断を見誤ったな。常に安全な位置にいた分身……それが本体だ」
デビルスは流暢にペラペラと話し出した。確かに3人の中で1人攻撃をせずに守りの動きばかりしてる分身がいた。それをデビルスは見抜いていたのだ。
「おじさん……ごめんね。私のせいで……巻き込まれちゃって」
アレフは気づいていた。決してミレノアが【ビビって守りをしていた】のではないということを。
1人だけ守備ばかりしていた理由。それは【鉄柵の中にいる俺に攻撃が来ないようにするため】であることだ。
アレフの視界から映るミレノアは1人だけただずっと背中しか見えなかった。その理由は無関係のアレフを守るためだった。ミレノアはアレフを巻き込んでしまったことに責任を感じていたのだった。
だから、リスクを取り【1番危険な、攻撃からアレフを守り続けるという立場】を分身でない本人が買って出ていたのである。
「お前……俺のために……」
「おじさんのため……じゃないよ。自分のため……おじさんを巻き込んだ自分が許せなかっただけ……尾行に気づかなくて無関係な人を巻き込んだ自分にね……」
ミレノアがなんとか声を絞り出す。
「私ね……嬉しかったの。初めて人間扱いしてくれた人に出会えて。生まれてきた時からずっと、私は人外って言われて、苦しい労働ばかりさせられて、そんな毎日だったから、おじさんとの会話楽しかったな」
「おい!ミレノアしっかりしろ!死ぬな」
「ごめんね、ずっと無視して。おじさんが私のこと人外だなんて思ってないことは分かってたよ。ありがとう。楽しかった」
そう言ってミレノアは目を閉じた。
「ミレノア……」
俺は鉄柵の隙間からなんとか腕を出し、ミレノアの手を握った。
あったかい。ミレノアの手はあったかいのだ。
ミレノアは人間なのだ。
それがこの世界では、差別されているのだ。
「ミレノア……」
【ノーマル魔法 魔法分離】
俺はなんとかミレノアを助けようと魔力を分け与えようとした。
「はっ?人外を助けるのか?アレフ。お前は知らないかも知らないが人外に魔力を分け与えるのもな政府の許可がいるんだぞ?ミレノア程度の身分の人外じゃまず許可下りないがな」
デビルスが何か言っているようだが、俺には聞こえなかった。
「ミレノア……大丈夫だ。死なせやしないさ。お前も俺たちと同じ人間さ。だから、魔力も分け与えることが出来るんだ。モンスターなら拒絶反応が出る」
「だからぁ、お前程度の魔力を分け与えた所でミレノアは………ってええ!!!!!!!!」
デビルスは驚愕した。ただの分離魔法でアレフの手から出てきた魔力が直径20メートルほどのとんでもない大きさの魔力魂だったからである。
「はっ?お前、そんなに魔力なかったはずだろぉ??」
驚愕するデビルスを無視し、アレフはその強大な魔力をミレノアの体内に入れた。
背中にあった大きなアザはみるみるうちに綺麗になくなっていき、ミレノアの身体中についた傷痕は完璧になくなっていった。
「大丈夫か?ミレノア?生きてるか?」
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