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【植物魔法 ファクトコピー】
ミレノアが魔法を唱えると、みるみるうちにミレノアの数が増えていった。三人になったミレノアはモンスターに攻撃しながら、なんとかデビルスの攻撃をかわしていく。
正直、強い。俺には到底できない動きだ。ミレノアは天性の運動能力を持っている・・・。
「出たな!植物魔法。お前だけしか使えない特別な魔法。人外の中でも魔力の高いお前だから分身なんて高度な技ができるんだろ」
「くっ!!数が多い!!」
ミレノアはそれでも多数のモンスターたちの遠距離攻撃や打撃攻撃を三人で受け止めていた。それができるのもミレノアの分身が【実体そのもの】だからである。植物で作った分身魔法は本物のそれと見比べることができない。
「・・・おい!ミレノア、大丈夫か?」
「おじさんには関係ないでしょ!おじさんは純血の人間なんだから、どうせそこからも出られるし、私のこと人外だって思ってるんでしょ!」
「そんなことはない!」
「ウソウソウソウソ!!!!」
デビルスのやつに見つかってしまい、焦っているのか、ミレノアに俺の声が届かない。彼女の中にある純血の人間への不信感は相当強いものがあるみたいだ。
「ミレノア!今のままだとお前がやられるのは時間の問題だ。俺はお前を助けたいんだ・・・。だからなんとか【あと5人】ここに連れてきてくれないか?俺の今の魔力状態ならデビルスに太刀打ちができるかもしれない」
必死にデビルスが操る大量のモンスターたちの攻撃を捌き続けるミレノア。俺の声は届いているはずなのに・・・。
「は?なんだって?アレフが俺に太刀打ちできるだと?そんなわけないだろう?お前はただただダンジョンの知識やモンスターの知識が豊富だったから俺たちのパーティーに入れただけで、使える魔法はただのパンチと魔力を分けるサポート系の魔法だけないか」
そのとおりではあった。俺が使える魔法は主に2つだけ。手に魔力を込めてそれで相手を殴る【ノーマル魔法 魔力パンチ】。そして、魔力を分け与える【ノーマル魔法 魔力分離】。誰でも使える基本中の基本の魔法だ。
「ミレノア!そんなやつの言うこと聞くんじゃないぞ!そいつはムチャムチャ弱かったんだからな」
しかしだ。俺の手に込められた魔力であんなにモンスターが寄って来たことを考えたら、もしかしたら勝てるのかもしれないと思っているのだ。
「ミレノアー!このままだとお前の体力の方が先になくなってしまう。逃げて人を呼んでこい!俺はお前のこと人外だなんて思っちゃいない!」
俺の声が届いたのか、ミレノアがチラリとこちらを見た気がした。
その瞬間だった。
デビルスの操るサイのような獣がミレノアの背中に向かって突進した。
そのミレノアは【本体】だったらしく、勢いよく吹き飛ばされ、おれの目の前の鉄柵にあたり地面に倒れた。
「ミレノア!!!!」
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